埼玉・越谷市で最近カラスによる被害が相次いでいるといい、25日、めざまし8が取材すると、カラスによる襲撃に住民から困惑の声があがっていました。

駅前に群れをなすカラス ゴミ漁りにふん被害

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田中良幸キャスター:
カラスが上から1羽、もう1羽。何か下に落ちてますね。くわえました

5月26日午前5時過ぎの埼玉県、南越谷駅前。

田中良幸キャスター:
まもなく午後1時になりますが、南越谷駅の駅のターミナルなんですけど、カラスが相当な数います。奥の看板のようなところに1羽とまっています。

午後1時、駅前に“群れ”をなすカラス。
ビルの上など、あちらこちらにその姿が確認できます。

田中良幸キャスター:
バス停脇の標識の上に1羽カラスがとまっています。まったく逃げないですね。
駅の方の人の流れを見ているのでしょうか。すぐ下、人が歩いていますが全く動じないですね。

恐れるどころか人に向かって飛んでくる、予測不能の動きに恐怖を感じる場面もあります。
また、駅近くにあるコンビニの周りでは…

ディレクター:
いました。カラス鳴いていますね。だいぶ大きな声で鳴いています。
先ほどいたゴミ置き場の近くにカラスがいますね。
くちばしで突っついていますね。(ゴミを)あさっています。

迷惑な行動は、ゴミ漁りだけではありません。

田中良幸キャスター:
この辺のふんはカラスのふんなんでしょうか。
ここがまさに南越谷駅の入口と書いてある場所です。

駅前の至る所にカラスの「ふん」が落ちていました。

街の人たちにカラスについて話を聞きました。

高校生:
すごく多くなってきました。凶暴なカラスですね。
私は自転車乗ってたら頭の上に飛んできました。蹴られました。

Q:痛かった?
痛いです。爪みたいなのでぎゅっと

市民:
すごく増えたなっていう印象はあります。いまのカラス頭が良くて、ネットの中に入ってゴミをあさって、生ゴミとか外に散らかしてしまうんですよね。片付けが本当に大変なんです

越谷市民によると、増えているだけではなく、凶暴な印象だといいます。
カラスの生態を研究している東都大学の杉田昭栄教授によると、この時期のカラスには、ある特徴があるといいます。

「5月末ごろまではナーバスな時期」時に襲いかかることも

東都大学 杉田昭栄教授:
繁殖期と言いまして、巣作りから始まれば3月から巣立ちまで考えると5月の末くらいまでは、カラスはナーバスな時期です。

繁殖期でもある3月から5月末ごろは、特にナーバスになり、巣などに近づいてきた人に対し、威嚇をして、時に襲いかかることもあるといいます。

取材中にも、カラスが止まっている方向に犬を散歩する女性が向かっていきます。
すると、カラスは飛び立ち、建物の屋根に止まります。

ディレクター:
犬を威嚇するようにあのカラス鳴いていますね

女性と犬を遠ざけたいのか、威嚇しているかのように力強く鳴き続けます。
さらに駅前のビルでは、驚きの光景が見られました。

自動ドアから”駅ビルに進入” ビルの中を右往左往

田中良幸キャスター:
店の自動ドア、さすがにそこまでは入らないですよね。
入っていきそうですね、自動ドアの中入っていきました。普通にお店の中入りました
駅ビルの中にカラスが。もの凄い光景になってますね
さすがに結構周辺歩いてる人たちも驚いています

自動ドアが開いたタイミングで、ビルの中に進入したカラス。その後、ドアが閉まったため、出られなくなってしまったようです。

ビルの中を右往左往するカラス。

完全に駅ビルの中に閉じ込められてしまう形になりました。その後、ビルの中のカラスは、エスカレーターがある場所からどんどん上の階へ。

田中良幸キャスター:
いました!あそこ、3階ですかね窓のところにカラスいますね。完全に駅ビルの中に閉じ込められるような形になりました。また飛んでいきましたね。
飛び回っているような形になりますね。

ビルに入ってから、およそ20分後、ようやく屋上から外に出たようです。

越谷市でさまざまな“被害”をもたらしているカラス。
住民たちは「最近、急に増えた」と感じているということですが、その理由はなんなのでしょうか。専門家や自治体に取材しました。

東京から埼玉に移動の可能性も「減らすのは難しい」

25日早朝、東京の上野駅周辺でカラスを探してみると。

ディレクター:
ネットでカラスの対策がしてあります

駅前の商店街に、数羽のカラスはいるものの、ゴミ箱にはカラス対策のネットが張られています。周りを伺うような仕草を見せますが、諦めたのか、どこかに飛んでいきました。

これまでカラスの被害に悩まされた東京都は約20年前から、対策を強化。
エサやり防止やネットを用いたゴミ対策、カラスの捕獲や巣の撤去などを行ってきました。

その結果、20年前と比べ、カラスの生息数は約7割減少したといいます。

めざまし8は、減少したカラスについて、東京大学の樋口広芳名誉教授に話を聞きました。

東京大学 樋口広芳名誉教授:
他に移動させることを促すということになっているわけですよ。
なので、その周辺地域、埼玉、千葉、神奈川。その方面にカラスが移動したという可能性が考えられます。

東京で暮らしていたカラスが、埼玉県などに移動し、そこで繁殖している可能性があるといいます。

一方で、越谷市の担当者は…

越谷市 環境経済部 環境政策課:
統計を取っているわけではないが、ふん害や襲撃などの相談件数で見ると、件数が増えているわけではない。

被害相談の件数などは増加しておらず、カラス自体も増えている訳ではないといいます。
しかし…

越谷市 環境経済部 環境政策課:
相談が寄せられても駆除するわけにはいかず、追い払うだけなので、時間がたつと戻ってきてしまう

現在、ゴミにネットをかけたり、パトロールなどの対策を行っていますが、なかなか数は減らないといいます。
専門家は、越谷市が東京都のようにカラスを減らすのは、難しいと指摘します。

東都大学 杉田昭栄教授:
東京都のような場所と違って、自然界の中で、本来そもそもカラスにとってのいろんな餌があるわけですね。なかなか地方でカラスが減るという要素が出てこないんですよね

実際、25日夕方、カラスの巣があると見られる越谷市の郊外へと行ってみると。

田中良幸キャスター:
ちょうど、すぐ裏手が大きな木々があるような場所なんですけれども、そこではなくてその手前の集合住宅の一番上に止まっています。あっという間に集まってきましたね。午後6時45分ですけど、もう止まっていない部分の方が少ないくらいになっています。30羽以上はいますね。

集合住宅の上にたくさんのカラスが。ここから巣のある森や林に向かうのでしょうか。
さらに取材中、こんな光景も。

「餌付け」が原因? エサやり禁止の張り紙も

ディレクター:
女性がエサを与えていますね。あのカラスはくちばしにパンをくわえています。
やってきました。多くのカラスがやってきましたね。先ほどまで全くカラスがいるそぶりがなかったのですが、この時間、女性がくるようになってからいきなり増えましたね。
立ち去っていきました

駅前で、カラスにエサを与える女性の姿が。さらに近くの場所でも・・・

ディレクター:
8羽ほどのカラスが群がってエサに食いついてますね

複数の人がカラスにエサを与えていました。
こうした「餌付け」によってカラスが越谷市に集まってしまっている可能性はないのでしょうか。取材中、カラスにエサを与えたことがある女性に話を聞くことができました。

カラスにエサを与えたことのある女性:
カラスも一生懸命生きていると思って。山を開発して住むところと食べるところがなくなったから。私たちもお弁当の残り、かわいそうだから、ちょっとあげちゃいけないって言われても

駅前の飲食店の壁には、「エサやり禁止 各所から苦情がきています」という張り紙がありました。越谷市は、生態系への悪影響や近隣住民への被害などを考え、カラスなどにエサやりをしないよう呼び掛けています。

(めざまし8 5月26日放送)