大雨で毎年のように被害を被っている農業。収穫できる農地への復旧ができていない状況が続いていて、2022年も雨の季節を前に農家は不安を募らせている。

2018年から4年連続で浸水被害にあった佐賀県のアスパラガス農家は、農業を続けるために、ほかの作物の栽培も検討せざるを得ない状況に追い込まれている。

「水が引くのを待つしかなかった」400kgを廃棄

春と夏の年2回、旬を迎えるアスパラガス。夏芽の収穫が少しずつ始まっている。

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あきら農園・田中亮さん:
実際、中に入って収穫してみると去年とも全然違う。「おかげさまで復旧しました」というあいさつをしたかったが、今年に関してはちょっと難しかった

2021年8月14日、大雨に見舞われた神埼市千代田町。アスパラガスを栽培する田中亮さんのハウスにも水が押し寄せた。

あきら農園・田中亮さん:
これだけ降ったから、もう見ているだけ。水が引くのを待つだけの状態。作業も何もできていない。いろいろ物が流れていかないように、ロープで縛ったりはできたけれども

浸水被害にあったのは、2018年の西日本豪雨から4年連続。田中さんは約400kgのアスパラガスを廃棄した。

ーーアスパラにも影響出る?

あきら農園・田中亮さん:

だいぶストレスというか、65時間も水に浸かっていたら正常な状態ではないと思う

水が引いたあとも、流れ着いたゴミの撤去など復旧作業に3週間かかり、被害総額は約300万円にのぼったという。

浸水で株にダメージ 例年より4割の収量減

2021年8月の大雨から約9カ月。アスパラガス農家では、春芽から夏芽に切り替わるシーズンを迎えている。

ハウスの中を見ると、ある異変が起きていた。1棟あたり600株が植えられているが、芽が出ていない場所が多く見られる。

あきら農園・田中亮さん:
水害が毎年続いてしまうと株自体が痛んだり疲れたり、呼吸ができない時間がどんどん長くなって、株がダメになっている可能性がある

アスパラガスは株を植えると10年以上植え替えずに、成長した芽を切って収穫する。施設は復旧できても浸水で株がダメージを受け、2022年は例年のように芽が出ない。

あきら農園・田中亮さん:
例年より40%くらい収量減の状態で今、夏芽に切り替わろうとしている。物がなくて出荷ができない状態が何週間も続いている

農家歴7年目で過去最悪の不作だったという2022年の春芽。これから旬を迎える夏芽も多くの収量は見込めないという。

麦などの栽培検討「支援者にいい報告したい」

大雨の被害後、田中さんが相談に訪れている場所がある。上峰町で就農などを支援する「県三神農業振興センター」だ。

あきら農園・田中亮さん:
あの状態でもアスパラが何とかとれる栽培方法とか…もうちょっと復活させたい。春芽を12月に初出荷とかできない?

県三神農業振興センター担当者:
気温が15度を下回ると休眠しちゃうので、そもそも株が動かなくなる。加温しないと無理。現実的なのは…麦とか。そっちが安定している

この日は、1時間ほどの相談で終了。田中さんはアスパラガスを栽培しながら、出水期前に収穫できる麦などで生計を立てたい考えだ。

あきら農園・田中亮さん:
たくさんの方から水害の度に応援の電話や心配の電話をもらうが、毎年現状がひどくなっているので、なかなかいい報告ができない状態が続いている。なんとか被害がないシーズンを終えて「今年はよかったよ」の連絡が早くできればそれが一番ですが、なかなか現状は厳しいですね

九州北部の平年の梅雨入りは6月4日。2022年もまもなく不安な時季を迎える。

(サガテレビ)

記事 416 サガテレビ

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