障害者スポーツ「ボッチャ」で、佐賀県の育成指定選手となっている女性。生まれつき脳性麻痺があり動きに制約があるが、2024年に佐賀で開催される全国障害者スポーツ大会での活躍を目指している。

「ストレスが発散できる」県の指定選手に選出

牟田晴美さん:
ボッチャは転がすところが楽しいです。あんまり遠くに投げ過ぎないようにしている

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吉野ヶ里町の牟田晴美さん(24)は2018年、知り合いの紹介でボッチャを始めた。

ーー目標近くに投げられた時の気持ちは?

牟田晴美さん:
「よっしゃー!」って。ボッチャはストレスが発散できます

2020年には、県障害者スポーツ大会で12人中2位になるなど着実に力をつけ、今では3人いる県育成指定選手の1人だ。

波佐間崇晃アナウンサー:
ボッチャのボールは、私の拳くらいの大きさです。これを「ジャック」と呼ばれる白いボールにどれだけ近づけるかを競います

白い目標球の「ジャック」にどれだけ近づけるかを競う
白い目標球の「ジャック」にどれだけ近づけるかを競う

イタリア語で“ボール”を意味する「ボッチャ」。ボールを投げられない人でも、「ランプ」と呼ばれる器具を使うことで参加できる。

ランプの角度や高さを調整してボールを転がす
ランプの角度や高さを調整してボールを転がす

パラリンピックの正式種目にも採用されているほか、高齢者施設でもレクリエーションとして取り入れるなど、広がりを見せている。

戦略を考えプレー 熱心さに協会も期待

県障がい者スポーツ協会・今井康太さん:
6球のボールをどの位置に置くか。寄せるのか、押すのか、弾くのか。使い分けで試合ができるので、頭も使うスポーツ

県ボッチャ協会は、2024年に佐賀で開催される全国障害者スポーツ大会で活躍できる人材を育成しようと、2022年3月に佐賀市内を拠点としたボッチャサークルを作った。牟田さんは、6人いるメンバーの1人だ。

佐賀県の育成指定選手に選ばれた牟田さん
佐賀県の育成指定選手に選ばれた牟田さん

サークルでの練習は週に1度。母親の幸子さんと双子の妹・宏美さんが付き添う。

県障がい者スポーツ協会・今井康太さん:
投球をしながら良い方法を探してほしい。牟田さんは、練習にものすごく熱心に取り組まれている。自分の頭の中で戦略を考えて、しっかりプレーできている

練習熱心な牟田晴美さん(24)
練習熱心な牟田晴美さん(24)

赤と青に分かれ、それぞれ6個のボールを使うボッチャ。ジャックに近いほど得点が高いため、投げ終わったボールに当てるなど、相手のボールを動かすことが重要だ。

県障がい者スポーツ協会・今井康太さん:
あとは力の強弱というか、ジャックに寄せることをできるようになれば、すごく強い選手になる

難しい動きも…ピアノでの経験を糧に

練習は自宅でも続く。牟田さんは脳性麻痺の影響で、緊張すると体が硬直することがある。緊張にいかに向き合えるかが大きなポイントだ。

牟田晴美さん:
力の加減を意識しています。試合中、会場はものすごく静かでシーンとしている。不安になるというか

日中、牟田さんは鳥栖市の就労継続支援B型事業所で働いている。この日の業務は、プールサイドの溝の蓋に部品をはめ込む組む作業だ。周囲から大きな音が聞こえると、体が反応して手元が狂うことがあるため、業務中は耳当てをつけている。

牟田晴美さん:
部品は上手く入る時もあれば、入らない時もあります。すごく難しいんですけど、頑張ってやっています

難しい動きがあるボッチャや仕事に取り組む、努力家の牟田さん。その原点は10歳から続けるピアノだ。

牟田さんの原点というピアノ
牟田さんの原点というピアノ

牟田さんは生まれつき脳性麻痺で、左手と両足を動かすことができない。今は右手を動かせるが、ピアノを始めた頃は…。

牟田晴美さん:
最初は右手の指が1本ずつしか動かなくて…。徐々に動いているという感じ

ピアノを通じて、牟田さんは努力や挑戦することの大切さを知ったのだ。

県内でボッチャの有力選手となった牟田さん。全国障害者スポーツ大会での活躍に期待が高まる。

牟田晴美さん:
佐賀県代表なので、全国障害者スポーツ大会に向けて頑張りたいです

(サガテレビ)

サガテレビ
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