育児の悩みや不安にAI(人工知能)が寄り添ってくれる。
月齢別の離乳食レシピも
森永乳業が23日に発表したのは、AI音声アシスタント「Amazon Alexa」に対応した新たな育児サポートサービスだ。
この記事の画像(9枚)記者が「アレクサ、ミルクのつくりかたを開いて」と画面に向かって話しかけると、「育児用ミルクの作り方」のサイトが開く。
育児中は両手が塞がっていることが多いが、赤ちゃんを抱っこしたままでもハンズフリーで動画を確認してミルクを作ることができる。
アレクサは音声で「ミルクを腕の内側に落としてやや熱く感じるくらいの温度が適当です」などと細かく的確な指導をしてくれる。
今度は記者が画面に「アレクサ、生後5カ月」と話しかけると、アレクサは「生後5カ月のお悩みですね?」と生後5カ月に「よくある相談」を画面に提示してくれる。
森永乳業では40年以上前から育児に関する無料電話相談窓口を開設し、育児の悩みや不安に寄り添ってきた。今回はおよそ100万件の質問データをもとに育児コンテンツをデータ化。発育や健康状態、しつけなどの悩みや疑問、月齢別の離乳食レシピなどを調べることができる。
開発のきっかけは、担当者が育児に関わる中で気軽に調べられる正しい情報が欲しいと思ったことだった。森永乳業ヘルスケア事業マーケティング部の青木陽リーダーはこう話す。
「ネットを調べれば色んな情報が出てくるけどそれが果たして正しいのか。妻以外に相談できる誰かがほしかった。 男性って正直、育児のことを聞くのはちょっと恥ずかしかったりするところがあると思うんです。アレクサなら恥ずかしげもなく何でも聞けるのではないかなと」
育児や保育の負担をテクノロジーで軽減する「ベビーテック」。少子化が進む中で年々注目は高まっている。
青木リーダーはベビーテックの未来に期待を寄せる。
「ベビーテックに関しては今後も拡大していくだろうと見込んでいます。色んな方の生活スタイルが変化していて、忙しい中で育児をしなくてはいけない。実際商品を販売している会社なので商品の開発で培ったものを今後は組み合わせることで当社ならではのサービスをつくっていきたいです」
また、アレクサの利用者は多くを男性が占めることや、 育児休業法の改正なども見越し、男性の活用も見込んでいるという。
医学情報など説得力ある回答が普及の鍵
三田友梨佳キャスター:
「キャスター」取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。AIが子育てをサポートしてくれるベビーテック、どうご覧になりますか?
「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
テクノロジーを活用して子育ての負担やストレスを軽減することはいいことだと思います。
私も子どもがいますが、初めての経験だったので生まれる前や生まれた直後は何か気になることがある度にすぐ検索していました。
ただ、どう検索しても人によって意見が違うし、どれが本当なのかもわからない。じゃあ全てをお医者さんに相談できるかといったら小さい疑問も含めてそんなにいつでも相談ができるわけでもないので、自分たちで取捨選択してやるしかなかった記憶があります。
その中でAIを使ってこれまでの大量の知見や事例から一定の答えが示されるのは親にとって安心感があるし、支えになる可能性があると感じます。ただ、AIは今回の試みに限らず、使い方次第という側面もあると思います。
「文章の意味」理解 AIは難しい
三田キャスター:
確かにAIスピーカーを使う時はAIならではの特徴やクセなどを理解しておく必要があるようですね。
「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
AIは人と違い文章の「意味」を理解できるわけではないんです。例えば、Siriに「近所のイタリアンレストラン教えて」と言った時と、「近所のイタリアンレストラン以外のお店を教えて」 と言った時に同じ結果を出してくることは有名な例です。
「AIに合わせた指示の出し方を」
これは「近所」、「イタリアン」、「レストラン」 という単語にわけて膨大な検索を一瞬で行っているために起こるもので、AIは「意味」や「文脈」を理解してないからこそ、 人間の方がAIに合わせた指示の出し方や話し方、聞き方をマスターしないといけません。
三田キャスター:
AIに合わせたやり方が大事ということですが、一方のサービスを提供する企業も継続的な改良を行うとさらに使い勝手が向上していきますよね。
論文も…読み込む情報量を増やす
「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
AIにどんな情報を読み込ませるかで結果も変わるので、その情報量や質がポイントになります。今回のサービスも利用者をどう増やして情報量を増やすかが大事です。
一方で、医学的な論文なども読み込ませるなどいかに親が心配していることにピンポイントでかつ説得力のある答えを返せるように育てていくかも普及の鍵になりそうです。
三田キャスター:
子育てにおいて不安は尽きないと思います。 テクノロジーの力によってその不安な気持ちが少しでも楽になることに繋がればと思います。
(「Live News α」5月23日放送分)