新型コロナの感染拡大防止策として出された営業時間の短縮命令(時短命令)をめぐって、飲食チェーン「グローバルダイニング」が、営業の自由を保障した憲法に違反するなどとして、東京都を訴えていた裁判で、東京地裁は請求を棄却する判決を言い渡した。一方で、時短命令の必要性について「認められず違法」と判断した。

訴状などによると、グローバル社は、「権八」や「モンスーンカフェ」「カフェ ラ・ボエム」など41店舗を首都圏を中心に展開する大手飲食チェーン。都内では、去年1月~3月、特措法に基づく2回目の緊急事態宣言が出されていた。

この宣言期間中、東京都は、飲食店に対して、営業時間を午後8時までとするよう要請。一方、グローバル社は、ホームページで「今の行政からの協力金やサポートでは時短要請には応じられません。事業の維持、雇用の維持は無理です」などとする考えを掲載し、通常営業を続けていたという。

東京都は、3月18日、要請に応じなかった27店舗に対して、時短命令を出したが、このうち26店舗は、グローバル社の店舗だったという。時短命令は、4日後の21日に解除されている。

このためグローバル社は、営業の自由を保障する憲法に違反するなどとして、損害賠償を求めて、東京都を提訴した。また訴えの中で、グローバル社は、時短要請を拒否する考えをホームページ上に「発信」したことで「狙い撃ち」されたと主張。都知事に反論をしたことに対する”見せしめ”で、時短命令の目的・意図は違法だとしていた。

きょうの判決で、東京地裁は、「不合理な手段とは言えず、営業の自由を侵害しておらず違憲ではない」と判断。さらに、時短命令の意図・目的などについても違法性を認めず、グローバル社の請求を棄却した。

一方で、時短命令の期間が4日間だけだったことに触れ、「都知事が4日間しか効力が生じない時短命令を、あえて発出したことの必要性について合理的説明がない」と指摘。その上で、特措法の要件に該当せず、時短命令の必要性は認められず”違法”と判断した。

しかし、都知事による、職務上の注意義務違反はなかったとして、請求棄却の判断は変更しなかった。

判決後、グローバル社の長谷川社長は、「(主張のうち)75%ぐらいは、裁判官に分かってもらえたと思う。東京都が勝った形になったのが納得いかず、控訴をお願いした」と話した。

社会部
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