上皇ご夫妻は連休直前の4月26日、東京・港区元赤坂の赤坂御用地にある仙洞御所で新たな生活を始められた。豊かな自然に恵まれた御用地は、今がまさに新緑がまぶしい季節。思い入れのある植物に囲まれた新しい暮らしでは、孫の愛子さまや悠仁さまとも植物を通じた新たな交流が生まれるかもしれない。
「3人の子どもが育った」赤坂御用地へ
ご夫妻は26日午後、2週間滞在していた神奈川県の葉山御用邸を後にされた。沿道には見送る地元の人たちが間隔を空けながら長い列を作り、車のスピードをかなり落として応えられたため、予定よりも15分ほど時間がかかったという。


赤坂御用地の近くには雨の中100人以上が出迎え、「おかえりなさい」という声も上がった。ゆっくりと車を走らせながら、上皇さまは笑顔で手を振り、上皇后美智子さまは会釈をされ、仙洞御所に到着されると、玄関では、赤坂御用地に住む皇族の代表として、秋篠宮ご夫妻が出迎えられたという。
今回のご移居は、代替わりに伴うお住まいの交換によるもので、仙洞御所は、結婚後30年余りを過ごし、天皇陛下や秋篠宮さま、黒田清子さんを育てられたご夫妻にとって思い出深い場所だ。2018年の誕生日の文書で、美智子さまは「3人の子ども達も皆この御所で育ち,戻りましたらどんなに懐かしく当時を思い起こす事と思います」と綴られていた。

GW中は「慣らし」期間
仙洞御所では、今回の入居にあたり、居住部分にはエレベーターや手すり、スロープの設置などバリアフリー化の改修が行われ、職員らが詰める事務部分には、医療体制を充実させるためのスペースが設けられるなど、およそ200㎡が増築された。



改修工事前には、以前どの部屋をどのように使われていたのかを美智子さまから聞き取り、なるべく当時の状況に近い形で部屋を整えたという。ご夫妻はこの連休を、久しぶりにお住まいになる建物や庭の様子をひとつひとつ確かめながら、赤坂御用地の環境に慣れる期間に充てられているという。
思い入れのある植物で庭を造りあげる楽しみも
仙洞御所のある赤坂御用地は、東京・港区元赤坂の大都会にありながら、多くの木々に囲まれ、季節ごとに様々な花が咲く。
ご夫妻は毎日朝と夕方に散策をし、規則正しい生活を送られている。お引越しにあたり、仙洞御所の庭は散策しやすいように道が整えられ、上皇后さまの「お印」のシラカバの木の植え替えも行われた。
黄色いユウスゲは、出会いの地軽井沢に数多く咲く花で、ご夫妻がかつて赤坂の庭で育て、軽井沢に贈られたこともあるご夫妻にとって思い入れのある植物だ。皇居の御所の庭、仮住まい先の仙洞仮御所の庭にも植え、これまで常にご夫妻の日常を彩ってきたユウスゲは、既に職員の手によって仙洞御所の庭に植えられたという。

ご在位中に訪れた岩手県大槌町のホテルから贈られ、皇居の御所の車寄せに咲く姿が東日本大震災で被災した町の人たちを勇気づけたハマギクも、これから植えるという。上皇后さまが以前、「陛下が関心をお持ちの狸の好きなイヌビワの木なども御一緒に植えながら、残された日々を、静かに心豊かに過ごしていけるよう願っています」と綴られていたイヌビワなども今後お二人で相談しながら植え、お好きな植物で少しずつ庭を造り上げる楽しみもありそうだ。


ご夫妻が大切にされているユウスゲやハマギク、シラカバは、天皇皇后両陛下と愛子さまが去年入居された御所の庭や車寄せにも植えられている。新型コロナ禍で行き来が難しい状況が続いているが、赤坂の上皇ご夫妻と、皇居の両陛下と愛子さまは、それぞれの庭で同じ草花の彩りに心和むひとときを過ごされる。
秋篠宮家と赤坂御用地
30年前、赤坂御用地にお住まいのころ、上皇ご夫妻は結婚直後の秋篠宮ご夫妻や幼い初孫の小室眞子さんと一緒に散策されたり、往き来されることがあったという。

また、秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまは、赤坂御用地内でトンボの生息環境の研究や田んぼで稲作にも取り組まれているが、ご夫妻は稲作や生き物にも関心が深い。同じ赤坂御用地の住人となられたことで、今後秋篠宮ご一家との交流の機会も増えるのかもしれない。(眞子さま当時の画像を含みます)

(フジテレビ社会部・宮内庁担当 髙澤真澄)