塩分のとりすぎが生活習慣病につながると言われているが、「減塩」の取り組みが学校給食でも進められている。長野県の小中学校では、2022年4月から減塩したパンを給食で提供することにした。

長野県学校給食会によると、給食用のパンは小麦粉を主原料に、食塩、砂糖、脱脂粉乳などで作られている。この小麦粉の総重量を100としたとき、塩分の使用率を1.8%から1.6%に減らすという。

減塩パンとその断面図(提供:長野県学校給食会)
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塩分はパンの製造で大切な役割をする

子どものころから薄味に慣れることは将来の生活習慣病の予防のためにも大切なことだとしているが、塩分をパンで減らそうと思ったのはなぜだろう。味や食感に影響が出たりはしないのだろうか。長野県学校給食会の担当者に、取り組みの経緯を聞いてみた。

――給食で減塩パンを提供するのはなぜ?

学校給食の栄養には、文部科学省が定める摂取基準(学校給食摂取基準)があります。以前からナトリウム(食塩相当量)の摂取が高いと言われていて、2021年には改正で見直しもされました。そのため主食での減塩を考えられないかと、県から相談を受けたのがきっかけです。

学校給食摂取基準の2021年の改正(出典:文部科学省)

――どうして、減塩の対象にパンを選んだ?

現代の給食は米飯が多いですが、一般的に塩分を使わないこと。給食のメニューはおかずも含めたトータルで塩分が考えられていること。こうしたことから、パンで調整できないかとなりました。(減塩できたのが)0.2%と聞くと、わずかのように思うかもしれませんが、給食での減塩では大きな数字です。塩分はパンの製造で重要な役割もしています。
 

――塩分は必要?減塩パンはどう作っている?

パンの製造では小麦粉を発酵させますが、塩分は過度の発酵を抑え、発酵時間の調整や生地を引き締める役割があります。また、旨味や甘味も出してくれます。パンは県内の業者に委託し、製造したものを届けてもらっていますが、今回の減塩にあたり、製粉協会のプロに注意点などを書面化してもらい、お渡しをしています。減塩できたのは皆様の努力によるものです。

減塩パンと給食での提供イメージ(提供:長野県学校給食会)

減塩でもおいしい…国産100%の小麦粉もポイント

――減塩パンの味や食感は?子どもたちの反応は?

おおむね変わらないという評価をいただいています。2022年1月に県内の一部学校で試食してもらい、児童ら約1800人にアンケート調査をしましたが、約97%が肯定的な意見でした。4月以降の提供や反応は把握していませんが、機会があれば実際に聞いていきたいと考えています。
 

――おいしくするために工夫したところはある?

長野県では2015年にも、パンの減塩の取り組みをしたことがあり、その時は砂糖でおいしさを補うという考えもあったそうです。ただ、今回は塩だけを減らそうと、発酵時間や生地をこねるミキシングなどで工夫をしています。これらは業者の努力になります。また、県内では2021年1月から、パンに使用する小麦粉の100%を国産(長野県産と北海道産)に切り替えてもいます。

生地の発酵などでも工夫をしたという(画像はイメージ)

――給食について、今後の目標はある?

長野県は食文化として、漬物などを食べることもあるので、塩分の取り過ぎには注意する必要があると思います。そういう意味では、学校給食は意識してもらう一つの機会になると考えています。今後も給食に関わる皆さんの意見を聞き、協力をしていきたいと考えています。

 

子どもは比較的濃い味が好きな印象があるが、パンの製造で旨みと甘みに重要な役割のある塩分を減らしながら味をキープする関係者の工夫があった。2021年に学校給食の摂取基準の改正もあり、今後こうした取り組みが広がっていくのかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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