「銀行員」を思い浮かべるとき、女性だけが「制服」を着用しているイメージはないだろうか? 実は今、銀行業界ではこの制服を廃止する動きが広がっており、半数に近い人が歓迎しているという。

“女性行員の制服”廃止に45.8%が賛同

満足度などの市場調査を行う日本トレンドリサーチは4月13日、就労経験のある男女計480人に「企業の制服に関するアンケート」を行ったことを発表。

その結果、女性行員だけが着る制服廃止の動きを「よいと思う」と回答したのは45.8%、「よいとは思わない」の24.2%を大きく上回ったことがわかった。

(出典:日本トレンドリサーチ)
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年代別に見ると「よいと思う」割合は20代以下が56.3%で最も多く、最少は70代以上の33.8%。

また「よいとは思わない」と回答した人は30代が12.5%で最も少なく、60代が37.5%と最も多くなっていた。

(出典:日本トレンドリサーチ)

「企業の制服」は48.8%が男女ともあるほうがいい

なお、企業の事務職や営業職の制服についての質問もしており、最も多かった回答は「男女とも制服のほうがよい」の48.8%

そして「男女とも制服ではないほうがいい(34.6%)」「女性のみ制服のほうがよい(8.8%)」「男性のみ制服のほうがよい(0.4%)」が続いた。

(出典:日本トレンドリサーチ)

制服の有無より「女性のみ」に反対している

半数近くが女性行員の制服廃止を歓迎している一方で、職場での制服を求める声も約半数に上ることがわかった今回の調査。この結果から、今後の職場の制服はどう変わるのか?

日本トレンドリサーチを運営する株式会社NEXERの担当者に聞いてみた。


――銀行の女性制服廃止を「よいと思う」人が半数近くいる。その一方で事務・営業職は「男女とも制服がよい」の意見が最も多かった。この理由は?

企業の事務職・営業職の制服については、「男女とも制服のほうがよい」「男女ともに制服でないほうがよい」という回答が多かったことから、男女で統一されていることを重視する方が多いように感じました。

そのため、銀行業界の件については、制服の有無よりも、「女性のみ」という部分に反対という考えを持った方が多かったのだと思います。


――銀行の女性制服廃止は、世代間でなぜ意見が違う?

最近の銀行では(新生銀行・りそな銀行)ではすでに制服がないこともあり、若い方には私服でも違和感がないのかもしれません。

もともと銀行の女性行員の制服は、女性のスーツの選択肢が少ないことも考慮されていたようなのですが、女性のスーツやオフィスカジュアルの選択肢が増えたことで、若い方のほうが制服の必要性を感じていないのだと思います

一方で、年代が上がると、銀行員(特に窓口)は制服というイメージが強いのではないかと思います。また誰が行員か客が分からなってしまうという回答も多かったです。

ビジネスの制服はなくならない?(画像はイメージ)

――これから企業の制服はどうなっていく?

今回のアンケートでは、仕事のために洋服代がかかることや、毎日の服装を考えるのが面倒と考える、つまり制服のほうが良いという方が男女問わず少なくないように感じました。このことから、完全に制服がなくなることはないと思います。

一方で制服は、ジェンダーフリーの考えから、男はスーツ・女はスカートといった取り決めはなくなっていくのではないでしょうか。

クリエイティブな仕事や、ラフやカジュアルが問題ない業種では私服制度がさらに進んでいき、銀行や病院といった“堅い”職場では制服はなくならないものの、例えば「スカートとパンツ」のようなデザインや色などが選択できるようになっていくのだと思います。

制服を廃止する佐賀銀行にも聞いた

このように女性行員の制服廃止に好意的な意見も増えている中、当の銀行はどうとらえているのだろうか?

佐賀県佐賀市の佐賀銀行は、今年4月から窓口業務など営業店の行員はビジネススーツの着用もOKになった。

来年4月の制服完全廃止を目指し、現在は制服とスーツを併用する移行期間にあるという。また同じタイミングで本部勤務の従業員は、ビジカジ(ビジネスに相応しい範囲内でのカジュアルな服装)に切り替えるそうだ。

廃止される制服 (出典:佐賀銀行)

なお、同行が制服を廃止するのは今回が初めてではない。実は2002年に一度、女性行員の制服を廃止したが、2016年に改めて導入していたのだ。

なぜ再び廃止することを決めたのだろうか? また今回の廃止の評判は? 佐賀銀行の担当者に聞いた。

廃止される制服 (出典:佐賀銀行)

一部からは惜しむ声も

――女性行員の制服を廃止・再導入した経緯を教えて。

2002年制服廃止の理由としては、社会的な価値観の変化に対応し個人を尊重するためでございます。2016年の再導入は当行の60周年記念事業の一環として導入いたしました。

2023年4月からの廃止理由としては、更なるダイバーシティの推進を図るとともに、お互いの個性を理解し、認め合うことで、イノベーションが起こるような組織を目指します。


――今回の廃止について行員や顧客からの反応は?

制服に親しみを持っている職員、お客さまからは廃止を惜しむ声もありますが、一方で多様性の観点からビジネスカジュアルを歓迎している声も多数ございます。

施行前後で変化としましては、ビジカジ導入の本部職員間でお互いの服装に興味を示し、コミュニケーションが増えたり、着用する色味が増えたことで部内が明るくなったという声もございます。また、在宅勤務、時短勤務、フレックス導入など、当行の仕事の有り方の変化に対応する上でも制服廃止は歓迎されております。

(画像はイメージ)

ちなみに以前廃止にした際には、不要になった制服をNGOに寄贈し、難民キャンプの支援物資として役立てたそうだ。今回はまだ検討中だという。

在宅勤務などさまざまな働き方も出てくる中、女性だけが制服を着用するという時代は終わったのかもしれない。

記事 4297 プライムオンライン編集部

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