天皇皇后両陛下は4月18日、東京・千代田区で開かれた「第16回みどりの式典」に出席されました。
みどりの式典 「みどりの学術賞」の受賞者を称えられた両陛下
式典では自然保護や植物、緑地の研究など「みどり」に関して学術上顕著な功績のあった研究者に「みどりの学術賞」が贈られました。
今年の受賞者はシロイヌナズナを用いた研究で、植物分子遺伝学の発展に寄与した龍谷大学エクステンションセンターの岡田清孝顧問と、熱帯林の保全につながる研究で気候変動対策に貢献した京都大学大学院の北島薫教授の二人です。

両陛下は拍手で受賞者を称え、式典後、お祝いを伝え、和やかに懇談されたということです。
「みどりの日」にちなんで行われる「みどりの式典」。
国土の緑化事業には、皇室が様々な形で関わってきました。
昭和天皇から始まった国土緑化の行事 「全国植樹祭」
昭和天皇は終戦の翌年から全国の視察を始め、戦争によって荒れ果てた国土や山林を各地で目の当たりにされました。国土の復興を目指して緑化運動の気運が高まり、その中心的な行事として昭和25年に始まったのが「全国植樹祭」です。
昭和天皇は、自ら苗木を植える「お手植え」に強い思いを持たれていたといいます。

全国植樹祭は、その後も毎年開催。年を重ねる度に国土緑化への取り組みが全国に広がっていき、植樹祭の規模も大きくなっていきました。
昭和43年、秋田県で行われた植樹祭の直前に十勝沖地震が発生し、昭和天皇と香淳皇后の訪問がとりやめになりました。皇居には急遽、秋田からスギの苗木が運ばれ、お2人が鉢に植えられたものが、会場に届けられたといいます。
その一回を除き38年間、毎年のように植樹祭に足を運ばれた昭和天皇。 昭和62年の佐賀大会が最後のご出席となりました。
〈昭和天皇のお言葉〉
本日、第38回全国植樹祭に臨み、ここ嬉野総合運動公園において、諸君と共に親しく植樹を行うことは誠に喜びに堪えません。

時代は平成となり、第53回山形大会には、およそ1万2000人が集まりました。
昭和天皇の思いを受け継がれた上皇ご夫妻。お二人は、「みどりの少年団」の子どもたちと交流しながら、苗木にやさしく土をかけていらっしゃいました。

天皇から皇太子へ…森林を育てる「全国育樹祭」が始まる
親から子へ、そして孫へ…。 世代を超えて森林を引き継ぎ、育てる必要性を伝えるという趣旨で、天皇が植えた木を皇太子が手入れする「全国育樹祭」が昭和52年に始まりました。
平成5年の育樹祭にはご結婚から4カ月、当時の皇太子ご夫妻が出席されました。木の手入れのための「枝打ち」では、13年前に昭和天皇と香淳皇后が植えられたヒノキの枝を丁寧に切り落とされました。

昭和・平成・令和…受け継がれていく「全国植樹祭」
令和となり、天皇と皇后として初めて臨まれた「全国植樹祭」。陛下は昭和・平成・令和と続く行事の歴史を踏まえ、お言葉を述べられました。
〈陛下のお言葉〉
初めて全国植樹祭に臨み、国土緑化の中心的行事として、70年にわたり開催されてきた歴史の重みと、国土緑化に長い年月を掛けてこられた先人の努力に思いを馳せ、感慨を覚えます。

「みどりの感謝祭」「全国都市緑化祭」へと広がる 緑化活動
緑化に関わる活動は、ほかの皇族方にも広がり、緑化に貢献した人を表彰する「みどりの感謝祭」には、平成2年から秋篠宮さまが名誉総裁として出席してこられました。その活動はお代替わりに伴い、長女の眞子さんに引き継がれました。

そして今年3月には、次女・佳子さまが「全国都市緑化祭」にオンラインで出席されています。豊かな緑ある国土を願い、緑化活動への思いは皇室の若い世代へと受け継がれていきます。

(皇室ご一家 4月24日放送)