新型コロナ感染拡大で駅などに個室ワークスペースの設置が進む中、4月22日からこのスペースを活用した新たなサービスが始まることになり、21日、報道陣に公開された。

プライバシーが保てる空間ならではの活用方法

東京・秋葉原の商業施設に設置されたテレワーク用の個室スペース「CocoDesk(ココデスク)」。プライバシーが保たれる空間を利用していろいろなサービスを受けられるようになる。

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富士フイルムビジネスイノベーションがスタートアップ企業と協業して、22日から始める実証実験。それが個室型ワークスペースを活用したオンライン相談サービス。

不動産や法律、保険の相談に加え、中には占いも。

こうしたワークスペースは駅や商業施設などに現在100カ所設置されているが、この場所で新たにオンライン相談のサービスを始める狙いは...

富士フイルムビジネスイノベーション デジタルプラットフォーム部・山口晃さん:
最近だと不動産の相談とか保険の相談とか、そういったところでもオンライン面談が一般化してきています。ただ一方で、家とかカフェだと周囲に人がいるのでなかなかプライバシーに関する相談ができない。人々の動線上にあって、かつプライバシーが保たれた空間で相談ができる場所を提供できないかと…

プライバシーが確保しやすく利便性の良い立地は、オンライン相談サービスを提供する側にとっても新たな顧客獲得や間口を広げるチャンスにつながるという。

相談サービスを提供する企業側は...

サービスを提供する法律事務所:
日本人は弁護士に相談するという発想がなかなかなくて、そもそも敷居が高い。とにかくアクセスのしやすさという選択肢を増やしたい

プライバシーとセキュリティーの確保

内田嶺衣奈キャスター:
「キャスター」取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。今回の試みをどうご覧になりますか?

「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
ワークスペースを取り巻く変化は2つ起きていて、どちらも兼ね備えているケースだと思います。まず1つは、オフィスとオフィス以外の場所の境目がなくなってきていることです。今回の取り組みだと、オフィススペースが仕事以外のことにも利用される場所になっていることだと思いますが、逆にオフィスではないと思われていた場所、例えばネットカフェでも今は防音機能を強化してテレワークができたりするわけです。つまりオフィスでない場所でも仕事ができるようになってきた変化があります。さらにもう1つ大きな変化は、テクノロジーによってこれまで対面が絶対と思われていた業務の急速なオンライン化が進んでいると思います。

内田嶺衣奈キャスター:
確かに様々なシーンで対面からオンラインへの切り替えが進んでいますが、生産性が上がるケースもあるようですね。

「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
いまサービス業の店舗に来たお客さんを家やオフィスから遠隔で接客するお店が少しずつ出てきています。例えば店長が離れた場所から店内の映像を見て、「あのお客さんに注文聞きにいって」などとスタッフに遠隔で指示を出すサービスが急成長しています。遠隔の接客サービスは実際に店舗にいるよりも広い視野で店内の様子を見られるので、細かい指示を出しやすく結果的に顧客満足度も上がるし、1人の店長で10店舗くらい管理できたりして、人手不足の解消、生産性が一気に上がることが注目されています。

内田嶺衣奈キャスター:
一方、課題についてはいかがですか?

「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
安心と安全の確保だと思います。まず安心については、遠隔で見られていることへの不安をどう取り除くかということと、プライバシーに配慮した運用ができるかです。お店に監視カメラがあるというのは今は普通のように聞こえますが、本来の目的以外に使わないようにする仕組みとスタッフ教育が必要だと思います。安全の面ではセキュリティーの確保があります。すべての業種で今までと違ってデジタルデータだったり個人情報を扱うことになるので、どの業種の人でもセキュリティ-のリテラシーやデジタルリテラシーが求められるようになることが大きな点だと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
便利で生産性が上がるとすればますますオンライン化を期待してしまいます。ただ一方で、対面だからこそ出来る細やかな気遣いやケアもあると感じます。それぞれの強さに磨きをかけ、それぞれの良さを生かす、そんなバランスが求められているのかもしれません。

(「Live News α」4月21日放送より)