信州を代表する春の味覚・山菜。雪が多かった影響で北信はようやく出始めたところで、これからシーズンが本格化する。山菜を採って、食べる。まさに春の醍醐味だ。
待ち遠しかった山菜シーズン
サクサクの天ぷらに、ほろ苦さが春を感じさせるおひたし。春の味覚、山菜のシーズンが巡ってきた。
この記事の画像(14枚)4月15日の長野市の「道の駅 信州新町」。
記者リポート:
こちらの道の駅では、旬の山菜などがずらりと並び始めています
コゴミやワラビが店頭に並び、多くの人が買い求めていた。
客:
待ち遠しいよね、こういうの出るまで
客:
孫の天ぷらのリクエストで
2022年の冬は雪が多く、山菜が出始めたのは例年より半月ほど遅かったと言う。ただ4月中旬になって暖かい日が続き、山菜の王様「タラノメ」も並ぶようになった。
タラノメを出荷した人:
このところの20度過ぎたあの2日、3日で、ばあっと(出た)。こうなると春がきたなと
早速、買い求める人も…
客:
(タラノメ)今年初めて。天ぷらで(食べると)おいしいですよ
山菜採り名人に同行
実際、山はどうなっているのだろうか。
4月18日、長野市内で郷土料理が人気の飲食店を営む赤池健さんに同行させてもらった。
赤池さんは「山菜採り名人」。店で出す山菜のほとんどを自分で調達していて、2021年は3段の重箱すべて山菜づくめの「おせち」を販売した。
やま茶屋・赤池健社長:
里山は一番身近なところから、だんだん山に向かっていく中間なので、いろんなものが楽しめる
入ったのは長野市郊外の里山。
まず見つけたのは「スイバ」。酢の物や天ぷらで食べるのがおすすめだ。
食べてみると、名前の通り…
記者リポート:
ん~、すっぱい。柑橘系のすっぱさですね
定番の山菜も…
やま茶屋・赤池健社長:
なじみのあるタラノメ、かわいい
これはまだ採るには早いようだ。
やま茶屋・赤池健社長:
出始めているのは、もっと標高が低いところか日当たりの良いところ。寒かったのと、3月にも雪が降ったので遅めですね
こちらの山も、1週間から10日ほど遅れているという。それでも、定番のコゴミなどは既にたくさん顔を出していた。
やま茶屋・赤池健社長:
これはくせがないから、誰でも問題なく食べられる
やま茶屋・赤池健社長:
ちょっとマニアックになりますけど
コゴミのように先が丸まっている「ジュウモンジシダ」。
やま茶屋・赤池健社長:
開いたときに一番下が長い。だから「ジュウモンジシダ」
苦みがあるのが特徴で採らない人も多いと言うが、天ぷらにして食べるとおいしいという。
他にも、つぼみと葉っぱ両方食べられる「ニワトコ」や、どんな料理にも使えるという「カンゾウ」などが採れた。赤池さんが心待ちにしていた春だ。
やま茶屋・赤池健社長:
個性のある香りや、あくやえぐみが、春が来たなという思いにさせてくれる。冬の閉鎖的な環境の中から解き放たれて、自由を得るうれしさ、その解放感、のびのびとした気持ちが幸せで大満足
旬の山菜料理を味わう
店に移動し、採れたての山菜を店で実際に出している料理にしてもらった。スイバやジュウモンジシダなど8種類は天ぷらに。
ジュウモンジシダの天ぷらをいただく…
記者リポート:
草の香りが鼻を抜けていきますね。コゴミより苦みを感じます。それが山菜らしくて、おいしいです
コゴミのおひたしなど7種類の山菜が並ぶ盛り合わせや、ワラビなど6種類の山菜の入ったシャモ鍋も。
店は出具合にあわせ、4月から山菜料理を提供している。
この2年、店はコロナの影響を受けてランチ営業を復活させたり、屋上で料理を提供したりと試行錯誤を重ねてきた。依然、宴会などは少ないままだ。
ただ、2022年は善光寺御開帳が開催中で、山菜シーズンとも重なり、赤池さんは大きな期待を寄せている。
やま茶屋・赤池健社長:
信州の豊かな山菜を五感で味わっていただくことが、御開帳に来るお客さまにとってもいろんな思い出の中に一つ、また思い出をつくれるのではと。これからが本番、5月6月まで十分に楽しめますので、ぜひとことん長野を味わってほしい
雪が解け、ようやく出始めた春の恵み。信州の山菜シーズンはこれからが本番だ。
(長野放送)