日本では子宮頸がんで年間4千人が命を落とす

専門家によると、「子宮頸がん」を防ぐHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、「肛門がん」「中咽頭がん」なども予防する。
特に、この子宮頸がんは若い女性に多い病気で、日本では非常に多い。かかっている人は上皮内がんを含めると年間約3万5千人。その中でも子宮を失う浸潤がんは約1万人。約4千人もの人が毎年命を落としている。

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先進国では患者が減少している中、日本は逆に増加傾向だ。その理由は、ワクチンと検診の組み合わせでほぼ完全に予防できるにもかかわらず、日本ではできていないからだ。
特に、ワクチンは世界100ヵ国以上で公的に予防接種され、イギリスなどは約8割の接種率だが、日本はグラフのように低い。それは、かつてワクチンの副反応が問題になったからだ。

このワクチンは日本では2009年に接種が始まり、その後、若い女性への定期接種が始まった。
しかし、「痛み」や「運動障害」など多様な症状が出たと報道されるなど問題となり、2013年6月、積極的な接種が中止となった。
その後様々な検証が行われ、約8年を経て2021年11月に、2022年4月からの再開が決まった。

いわゆる副反応をどのように考えればいいのか、専門家に話を聞いた。

「8年前以上に安心して、効果期待して接種できる」

自治医科大学付属さいたま医療センター産婦人科・今野良教授:
(副反応は)シンプルに答えれば、大丈夫です。皮肉なことにこの8~9年の間、安全性いわゆる副反応問題も有効性も、ものすごくデータが集まって、8年前以上に今は安心して、効果を期待して接種ができる状態になっています。
日本では残念ながら、8年も9年も判断するのに時間がかかったんですが、このHPVワクチンは、世界中で今非常に好評で評判がよく、使われています

自治医科大学付属さいたま医療センター産婦人科・今野良教授:
最初は子宮頸がんの70%ぐらいを予防できると考えられていましたが、実際に使ってみると日本でも90%、日本よりも早く接種したスウェーデンやイギリスでも90%、しかも浸潤がん(子宮を切除など重いもの)もきっちり予防できる。
HPVワクチンを接種することで、子宮頸がんの患者さんを10分の1にできるんですね。ワクチンで90%がんを減らし、残りの方は検診を受けることで見つけられますよということで、両方受けるということの重要性を改めてご承知いただきたいと思います

ポイントをまとめた。

・約8年にわたる検討で、痛みや運動障害など問題となった症状との因果関係は認められない。

・HPVワクチンの子宮頸がんの予防効果は80~90%と高い。

・子宮頸がんは、ワクチン接種と検診のセットでほぼ完全予防できる。

年齢によっては接種が無料

その接種について、無料で定期接種できるのは

・小学6年生から高校1年生に相当する女子は無料。

・この8年間接種していない1997年度から2005年度生まれの人も、3年間無料での公費接種が可能。

・この間に自費で接種した人も、その費用が戻ってくることも3月に決まった。

接種後の体調不良があるときは、「接種医または自治体窓口に」連絡して欲しい。
このワクチンに対しては、2013年のころのネガティブな印象が残っている人も多いのでは。
自治体や医療機関には、安全性・有効性について今の正しい情報のさらなる発信が求められている。

(テレビ新広島)

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