5歳児遺体”床下”事件 傷害致死で再逮捕
埼玉県・本庄市で住宅の床下から5歳の男の子の遺体が見つかった事件からひと月が過ぎた。柿本知香容疑者(30)、丹羽洋樹容疑者(34)、石井陽子容疑者(54)の3人は、柿本容疑者の息子・歩夢くん(当時5)に暴行を加え死亡させた傷害致死の疑いで再逮捕された。
この記事の画像(9枚)歩夢くんの死因は、脳幹損傷。何度も床に投げ飛ばされ、後頭部を強く叩きつけられ、生命維持に必要な脳幹を損傷したことが死につながった。暴行について、3人は「しつけのため」という内容の話をしているというが、果たしてその“言い訳”は通るだろうか。今後の捜査の行方に注目したい。
「息子を守らなくちゃ」そう話していた母親だが
当初から、その関係性がナゾに包まれていたこの3人。10年以上前に現場となった住宅の賃貸契約を結んだのは石井容疑者だった。高齢の男女もこの家に住んでいたが、近所の人によると「いつの間にかいなくなった」という。
それと前後して丹羽容疑者が登場する。内縁関係にある石井容疑者と丹羽容疑者が住む家に、柿本容疑者が転がり込んだのが去年1月。それ以前には、柿本容疑者は、夫と歩夢くんの3人で本庄市内の別の場所に住んでいたが、家庭の事情で知人の家で暮らすようになったという。
この知人によると、柿本容疑者は、2020年の夏ごろ、夫からのDVがきっかけで家を出て、およそ半年間、知人の元へ身を寄せていた。当時、柿本容疑者は「歩夢がパパを怖がっている。私が守らなくちゃ」と話し、歩夢くんをとてもかわいがっていたという。
「自分の生活立て直す」 始まった”謎”の同居
歩夢くんも、当初は「怖い」と身を震わせるなど、時折、不安げな様子を見せていたというが、次第に元気を取り戻しつつあった。しかし、去年1月になり、柿本容疑者が「自分たちの生活を立て直す」と知人に言い残して、丹羽容疑者と石井容疑者が暮らす住宅に同居を始める。
転居後も、柿本母子が気がかりだった知人は、石井容疑者に会った際に、2人の様子を尋ねることがあったという。しかし石井容疑者からは「あなたの家を出たので、もう関わらないでいい」と言われ、その後は一切、柿本容疑者と連絡が取れなくなったという。
”広島弁”の女 祖父と父が「長者番付」
こうして丹羽容疑者と石井容疑者との同居が始まったわけだが、そもそもこの2人はどのような人物なのだろうか。2人を知る人物がFNNの取材に応じ、“奇妙な生態”というべき人となりを語ってくれた。
知り合ったのは10年ほど前で、石井容疑者は「ナカムラアオイと名乗っていて、20代前半と言っていた」。当時40代の石井容疑者は20歳ほどサバを読んでいたことになる。ただ、「髪の毛とか身なりがちゃんとしていたので何も疑いはしなかった」というのだから、驚きだ。
石井容疑者はおっとりとした話し方で、「~じゃけ」と広島弁を連想させる言葉を使っていたという。“広島弁”については「兄が広島によく出張に行くのでそれがうつった」と説明していたという。
また、ある時は、「フェリス女学院出身で広尾ガーデンヒルズの最上階が実家」と自称し、「祖父と父が長者番付に載った」とも語っていたということだ。「あおい、ひろき」と呼び合っていて、いつも手をつないでいるなど、はたから見ても仲のいいカップルだった2人。
現場取材で分かった容疑者カップルの生活
丹羽容疑者についても「明るくて話好きだった」と2人の知人は、当時を振り返る。本庄市の現場周辺では「話すのはだいたい石井容疑者で、丹羽容疑者はほとんど話すのをきいたことがない」という証言が多かったのに比べて、丹羽容疑者についての印象は異なる。
2人は毎日のように外食をしていて、お金はどこから出ているのかを問うと、「あおちゃん(石井容疑者)が株の投資をやっている」と説明していたという。しかし、これとは別の話もある。石井容疑者の株投資名目の金銭トラブル話だ。
石井容疑者が「株で儲けて上乗せしてあげるから」などとある知人から20万円を借り、結局返済しなかったというのだ。“長者番付の娘”を続けるためには、金がいくらあっても足りなかったのだろうか。
5歳児は”床下” 現場の住宅で「お祓い」か
一方で、現場取材を進めたところ、“ある異変”が近隣住人に目撃されていたことがわかった。この住人によると、今年2月、現場近くの駐車場で丹羽容疑者が神主と話し込んでいるのを目撃したというのだ。
「丹羽容疑者が自宅に神主を呼んでいました。神主さんは、まさに地鎮祭などでお祓いをする格好で、白っぽい服装で下がムラサキっぽい、お祓いの棒も持っている姿でしたね」と住人は語る。死亡した歩夢くんが床下に埋められたのが1月19日ごろとされるが、住人は「子どもが死んじゃった後で、お祓いをするために呼んだのかな」と当時の状況を推測する。
「生活を立て直す」そう言って同居を始めた相手は虚実の綱渡りをしているようなカップルだった。「あんなにかわいがっていたのに信じられない」とは前出の柿本容疑者が一時身を寄せた知人の言葉だ。奇妙な同居生活の中で、何かが少しずつ損なわれてしまったのだろうか。
(フジテレビ社会部・埼玉県警担当 金子聡太郎)