市長によって明らかに…ロシア軍に「占領された」メリトポリ

激戦地マリウポリから、西に約170キロに位置する南部の街メリトポリ。
一見、大きな被害を受けたように見えないこの街では、ロシアによる”実効支配”が進んでいる。ロシア軍の占領下にあるという場所で今、何が起きているのか?
Mr.サンデーは、この街の市民を取材。見えてきたのは「ロシア化」の実態だった。

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ウクライナ メリトポリ イワン・フェドロフ市長:
メリトポリは一時的に占領されています

市長によって、ロシア軍による占領が伝えられたメリトポリ。市民たちの声は…

メリトポリから脱出した ナタリアさん:
メリトポリは占領されているから、ウクライナ軍はいません。ロシアの軍隊だけです

メリトポリに残り続ける イリーナさん:
戦争が始まって1週間で、6台の大きなバスが(メリトポリの)外から入ってきたんです

衛星画像で、メリトポリの被害を東京大学大学院の渡邉英徳教授に解析してもらった。

東京大学大学院 渡邉英徳教授:
メリトポリの衛星画像を見ても、煙が上がっていたりする様子はあまりないですね。マリウポリのように、街全体が破壊し尽くされているような、そういう大規模な破壊が起きているわけではなさそうです

画像から、メリトポリは、焦土と化したマリウポリと違い、戦闘による被害が明らかに少ないことがわかる。激しい戦闘もせず、街を手中に収めたロシア軍が取った次の行動は…

これは3月11日、フェドロフ市長がロシア兵とみられる武装集団に拘束を受けた時のものとされる映像。市長がいなくなった翌日、“ロシア側の意向”とみられる「市長代理」が就任すると…

市長代理:
課題はメリトポリ市の体制を新たな現実のもと、立て直すことです。

テレビ演説で、市民に新たな体制を受け入れるよう宣言。その放送は、全てロシア語で行われた。その後、街はどうなっているのか?

「ロシアのテレビとラジオだけ」「連れ去り」も…

スタッフ:
今、ビデオ通話はできますか?

ナタリアさん:
今はできません…なぜなら隣にロシアの軍隊がいるから。ロシアの軍隊から離れようとしているけど、いっぱいいるからできないんです

取材に答えてくれたのは、4月1日にメリトポリを脱出した女性。街の様子を聞くと…

ナタリアさん:
メリトポリは占領されているから、ウクライナ軍はいません。ロシアの軍隊だけです。ニュースもロシアのラジオとテレビしか見られないんです

スタッフ:
ウクライナの情報は見られないんですか?

ナタリアさん:
はい、全然見ることができないんです。ロシア軍がインターネットや電波に関するすべてのものを壊したから。最初、ロシア軍が攻撃を始めたとき、メリトポリの市民を殺していました。今は、メリトポリの市民がデモや反抗をしなくなったから殺していません

今もメリトポリに残り続けているイリーナさんは…

イリーナさん:
(メリトポリには)薬も届かず、医師もいません。食料も何もないんです。ロシア軍は2回だけ無料で、缶詰やヘルソン(南部の街)から奪ったジャガイモを配っていましたが、今は値段を5倍にしています

さらに、ロシア軍の行動について話してくれた。

イリーナさん:
(ロシア軍は)警察官や消防士、教師といった公務員の家に、夜中ドアを壊して入ってきて、彼らを司令部に連れ去るんです。そして2週間かけてマインドコントロールしていると聞きました。残された奥さんたちが夫に食べ物を届けに行っても、毎回「きょうは駄目だ」と言われて会えないそうです

そうしたロシア側の行動について、慶応大学の廣瀬陽子教授は…

ウクライナの”分割”?「ロシア化」の狙いは…

慶應義塾大学 総合政策学部 廣瀬陽子教授:
メリトポリは今、ロシアの制圧下にありまして、政治的にも経済的にも、そして人の心までもが“ロシア化”されようとしつつあるという状況です。ロシアは陥落させたところを次々“ロシア化”して、ウクライナを分割したいっていうところだと思いますね

イリーナさんが、拘束された市長を取り戻すデモに参加した際には…

イリーナさん:
私は(ロシア軍に)連行されました。男女関係なく暴力を振るわれました。中には歯を折られた人もいました

その後、メリトポリでは、これまで盛んに行われていた抗議デモも行われなくなったという。市民がロシア軍に抵抗しなくなった頃、フェドロフ市長はロシア兵の捕虜9人と交換で解放された。
そして、新たな住民が加わってきたという。

イリーナさん:
6台の大きなバスが、(メリトポリの)外から入ってきたんです。バスに乗ってきた人たちは、発音で地元の人ではないとわかりました。中には子供もいて、話をすると地元の子ではなかったんです

実効支配が進む街で広がる“ロシア化”…止めるすべはあるのだろうか?

(「Mr.サンデー」 4月3日放送分より)

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