旧優生保護法の下で、不妊手術を強制されたとして、都内の男性が、国などを相手に損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は、請求を棄却した一審判決を変更し、国に対して損害賠償を命じた。
裁判では、●優生保護法の違憲性●除斥期間が適用されるかが争点となっていた。きょうの判決で、東京高裁は、優生保護法の違憲性について、「立法目的が差別的思想に基づき、極めて非人道的なもので、法の下の平等などを保障する憲法に違反するのは明らか」と判断した。
その上で、不法行為からから提訴まで20年で損賠請求権が消滅する「除斥期間」が適用されるかどうかについて言及。旧優生保護法に基づく不妊手術について「公務員の違法な行為」と指摘し、憲法で保障された損賠請求権を損なうことなどは「著しく正義・公平の理念に反する」として、除斥期間は生じないと結論づけた。
旧優生保護法をめぐる一連の裁判では、先月22日、大阪高裁が、「除斥期間」を適用せず、国に対して初めて賠償を命じる判決を言い渡していた。