絶滅危惧種含め300種の植物が自生

国の天然記念物に指定されている、宮崎県川南町の「川南湿原」。季節ごとに数多くの植物が息づく裏には、生育環境を守る人々の日々の努力と思いが育まれている。

約3.3ヘクタールの敷地は希少植物の宝庫で、絶滅危惧種を含め約300種の植物が自生する。

宮崎県川南町
宮崎県川南町
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川南湿原の固有種、エダウチシロホシクサ。

 
 

同じく固有種のヒュウガホシクサ。

 
 

九州では児湯地域のみ分布する、ミズギボウシ。

 
 

この植物の命をつなぎ育む人たちがいる。「川南湿原を守る会」は湿原の保護を目的に作られたボランティア団体で、70代から90代の6人が湿原の整備や園内の案内などをしている。

ボランティアが湿原整備や園内案内を行う
ボランティアが湿原整備や園内案内を行う

草を刈り“栄養の少ない状態”を保つ

川南湿原を守る会・松浦勝次郎事務局長:
40年前からずっと保全活動をしています。今やっとこれまでの保全活動の成果が出てきました

 
 

秦萌アナウンサー:
閉園中の川南湿原です。草刈りや火入れなどを行って、希少植物が芽吹く環境を整えます

テレビ宮崎・秦萌アナウンサー
テレビ宮崎・秦萌アナウンサー

閉園中の12月~3月は、次の芽吹きに向けた大切な時期。毎年1月には、ボランティアを募って整備を行う。守る会のメンバーが希少植物を傷つけないよう園内の草を一斉に刈り取り、刈り取った草はボランティアがトラックに運ぶ。

湿生植物は栄養豊富な土壌では生きていくことが難しく、草を運び出すことで枯れた植物が堆肥になるのを防ぎ、栄養の少ない状態が保たれる。

秦萌アナウンサー:
中に入ってみると足元がとてもぬかるんでいて、歩くだけでも大変です。見た目以上に体力を奪われる作業だということがわかります

一般ボランティア参加者:
草を集めるだけでも重労働。毎年きれいなので、ボランティアをすることによって、さらに見に来てくれる人が増えてほしいです

希少種の生育範囲が増加 新たな固有種も

最後は、小さな植物に日光を当てるため、風向きを見ながら火入れを行う。こうした地道な保全活動が実を結んで、希少種の生育範囲が年々広がり数も増加。

 
 

2021年は新たな川南町の固有種、オスズミズギクの生育も確認された。

 
 

川南湿原を守る会・松浦勝次郎事務局長:
50年後も100年後も、この状態で残ってほしいという思いで守っていきたい。川南湿原は絶対に後世に残してあげたい宝物です

豊かな環境の裏にあるのは、人々の努力と温かい心。2022年も春には植物が芽吹き、私たちの目を楽しませてくれそうだ。川南湿原は4月に開園予定。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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