ウクライナ政府は、ロシア軍への抵抗のため外国人部隊を編成するとして、全世界から義勇兵を募集している。
日本でも義勇兵への応募について賛否両論見られる中、一部で「大使館から募集業務を委託された」と報じられた東京都内の会社社長がFNNの取材に応じ、報道を否定したうえで、「まずは日本国内でできるウクライナ支援を考えるべき」と、義勇兵“騒動”に対し冷静になるよう呼びかけた。
在日ウクライナ大使館の“呼びかけ”は2日午後削除
在日ウクライナ大使館は、外国人部隊を編成するとのゼレンスキー大統領の呼びかけを日本語で投稿した先月27日のツイッター記事を、2日午後になって削除した。
この記事の画像(18枚)削除の背景には、林外務大臣が1日の会見で義勇兵に参加しないよう呼びかけるまでの騒動に発展したことがある。
一方、コルスンスキー駐日ウクライナ大使は、1日夜、BSフジのプライムニュースに出演し、およそ70人の日本人が義勇兵に志願していることを認めた。
都内の会社社長を直撃
一部で「大使館から募集業務を委託された」と報じられた都内の会社社長に話を聞くと、業務委託の事実はなく、ボランティアとして大使館に掛かってくる日本語の電話を受けているだけだと話した。
この会社は、以前からウクライナ大使館と仕事上の付き合いがあり、ロシアによる侵攻を受け困っていることがないか尋ねたところ、「電話が殺到しているが、大使館には日本語を話せる職員がいない」と言われたので、日本語での問い合わせ電話への対応を、業務委託ではなくボランティアとして引き受けたという。
実際、2日午前に在日ウクライナ大使館に電話をかけたところ、この会社へ連絡するよう電話番号を案内されたが、社長は「義勇兵募集に関してだけ(電話を)受けているのではない」と強調したうえで「非常に迷惑な話で困っている」と述べた。
社長によると、義勇兵募集に関する問い合わせの電話も掛かってくるものの、実際には通訳や翻訳などのボランティア希望や支援物資の現地への送付といった問い合わせの電話の方が多く、聞き取った内容は在日ウクライナ大使館に報告しているという。
義勇兵募集について、社長は「常識的に考えて、日本で義勇兵を集めて海外に出すということ自体が全くナンセンスだ」と指摘し、在日ウクライナ大使館にも「日本での義勇兵募集には法的にも無理がある」と進言したとのことだった。
また、義勇兵への応募方法を問い合わせる電話には再考を促すようにしていると明かしたうえで、「早くウクライナに行って何かしたいという気持ちはわかるが、日本にいながらできるウクライナ支援を第一優先として考えていただきたい」と強調した。