今大会期間中にドーピング問題が浮上し、重圧と戦い続けた15歳のワリエワ選手。最強・ROC勢と日本によるメダルを懸けた熾烈な最終決戦が繰り広げられました。

ROC3選手と日本選手の頂上決戦

2月15日のフィギュアスケート女子ショートプログラム、見事な演技でトップに立ったワリエワ選手。それを坂本花織選手、樋口新葉選手の日本勢に、ROCのトゥルソワ選手、シェルバコワ選手の4人が追う展開。

ショートプログラムでは会心の演技をみせ、自己ベストを更新し涙を見せた坂本選手。計り知れない日本のエースとしての重圧、フリー前日の練習ではこんな言葉が。

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坂本花織選手:
ロシアの3人と滑るのもだいぶ慣れてきたので、自分の滑りに集中するだけかなと思います。

――明日のパフォーマンスはどの程度期待したい?

坂本花織選手:

パーフェクト!

中野園子コーチ:
花織はできます。

いつも通り中野コーチに背中を押され、リンクへ。パーフェクトの演技を目指して、日本女子12年ぶりのメダルをかけた坂本選手の4分間の演技。

実況:
坂本花織のガッツポーズ、つきあげた拳は手応えの証。自分に打ち勝った4分間です。

渾身の演技に、両手でガッツポーズ。会場からも大きな拍手が。トータル233.13点と自己ベストを大きく更新しました。

そして、最後に登場したのがシニアデビューから無敗のワリエワ選手。コーチに声をかけられ、いざその舞台へ。ドーピング問題のプレッシャーがかかる中、思わぬ展開となりました。

世界が注目 ワリエワ選手にいったい何が?

実況:
全てを超越してきた15歳。ROCのカミラ・ワリエワ。最終滑走、ワリエワの北京オリンピック。その演技が終わりました。

得意のジャンプでミスを連発。演技終了直後、思わず顔を覆ったワリエワ選手。リンクを降りると待っていたのは、エテリコーチでした。

エテリコーチ:
全く何で気を緩めちゃったの?何で戦うのをやめたの?もう一度説明して!アクセルの後くらいから、まったく集中できてなかったわ!

その後、肩を抱かれ歩き出すも立ち止まってしまうワリエワ選手。キスアンドクライで得点を待っているときも涙が止まりません。

実況:
ワリエワは4位。トータル224.09でワリエワ4位。日本の坂本花織、銅メダル獲得です。

この瞬間、坂本選手の銅メダルが確定。一方、ワリエワ選手は得点が出てもなかなか動き出せません。

約2分、コーチに抱えられるようにしてようやく歩き出しました。

自己ベストで銅メダル「うれしい以外に言葉がでない」

結果は、シェルバコワ選手が金メダル。銀メダルにトゥルソワ選手。そして、日本の坂本花織選手が見事、ROC勢の牙城を崩し銅メダルを獲得しました。

チームスタッフと抱き合い、大粒の涙を流す坂本選手。この大会にかけてきた4年間の思いがあふれます。

坂本花織選手:
うれしい以外に言葉が出てこないです。

――実感は沸いていますか?

坂本花織選手:
いや、もう本当。最初決まった瞬間わかんなくて一瞬、もうすごく考えて。「3位だよなぁ」みたいな感じから、もうなんか最終順位を見たときに「3位に入ってるわ!」っていう感じで。もう本当にびっくりしました。

――4年間いろいろあったと思いますが、振り返っていかがですか。

坂本花織選手:
うん、やっぱりここまで来られたのは、先生の支えがあったからこそだと思うし、家族の支えもあって、本当に自分ひとりではここまで来られなかったので、もうたくさんの人に感謝して、もうこのうれしさをかみしめたいなと思ってます。

トゥルソワ選手 コーチに怒り?「あなたは知っていた!」

一方でROC勢は、不穏な空気に。記者の質問に無言で立ち去ったワリエワ選手。さらに、銀メダルのトゥルソワ選手と指導するエテリコーチが近づいた場面。このときの状況をロシアメディアはこう伝えています。

銀メダルのトゥルソワ選手に祝福のハグをしようと左腕を伸ばしたところ、トゥルソワ選手はそれを避けたといいます。

トゥルソワ選手:
あなたはこうなることを全部知っていたでしょ。嫌だ!フィギュアスケートは一生やりたくない!もう二度と氷の上には出ない!

コーチたちに厳しい言葉を浴びせて、その場を立ち去ったというのです。

今回のドーピング問題で、チームの間に不協和音が流れているのでしょうか。試合後に行われたメダリスト会見。そこでもワリエワ選手について質問が。

シェルバコワ選手:
ワリエワの演技を見ました。彼女のことを心配していました。最初のジャンプから、この演技が彼女にとってどれぐらい大変な物なのかを感じていました。スポーツ選手としてその気持ちがよく分かります。

そしてトゥルソワ選手には、コーチとのやりとりについて質問が。

――コーチに対して非常に怒っているように感じましたが、コーチ陣と何かがあったのでしょうか?

トゥルソワ選手:
自分が出来ることは全部やりましたが、結果は満足できませんでした。なので怒ったり、落ち込んだりしていました。

あくまでも、自分の演技に対するいらだちだったと語りました。

オリンピック中に起きたドーピング問題が暗い影を落とした女子フィギュア。その騒動に負けず、坂本選手は渾身の演技で見事、銅メダルを獲得しました。

(めざまし8」2月18日放送)