現職町長の逮捕に衝撃が走っている。沖縄県竹富町が発注した工事に関する入札情報を事前に漏らしたとして、警察は2月13日に西大舛高旬町長ら6人を逮捕した。事件の構図はどのようになっているのか。

「最低制限価格」漏らし、公正な入札を妨害か

2021年7月、世界自然遺産に登録された竹富町の西表島。自然保護の重要性を訴え、観光による環境負荷の軽減に取り組んできたのが西大舛高旬町長だった。今回の官製談合事件では、町長としての立場を悪用した可能性がある。

この記事の画像(8枚)

松崎賀充 刑事部長:
竹富島と石垣島との間の竹富海底送水管更新工事の指名競争入札に関し、西大舛高旬町長が入札に関する秘密事項である最低制限価格を漏洩し、入札等の公正を害する行為を行ったものである

2022年2月13日
2022年2月13日

警察によると西大舛町長は、2020年5月に町が発注した海底送水管の工事をめぐり、工事を受注したJFEエンジニアリングの社員・岡野裕樹容疑者らに対し、事前に「最低制限価格」を漏らして公正な入札を妨害した疑いがもたれている。

この時、仲介役を務めたのが海中の工事を担う会社の代表、兼本力容疑者だった。

町長は最終決裁者 最低制限価格とほぼ同額で落札

「最低制限価格」とは入札の際、工事を落札できる最も低い価格のこと。これを事前に知ることができれば、他社と競合した場合でも有利に入札を進められ、工事を受注できる可能性が極めて高くなる。

今回の工事の落札価格は6億7288万2000円。最低制限価格と千円単位の違いで、ほぼ同額だったということだ。

竹富町の条例によると、1000万円を超える工事は町長が決済する決まりだ。つまり西大舛町長は最終決裁者として、海底送水管の更新工事の秘密事項である「最低制限価格」を把握できる立場だった。

海底送水管の工事を岡野容疑者らのJFEエンジニアリングが受注したことで、結果的に兼本容疑者らの会社も工事を請け負うことができたとみられている。

2月14日午後、西大舛町長の身柄は那覇地方検察庁に送られた。

2022年2月14日
2022年2月14日

警察は工事を受注させた見返りとして、業者側から金銭の受け取りがなかったかなども含め、捜査を進めている。

(沖縄テレビ)

沖縄テレビ
沖縄テレビ

沖縄の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。