女子バスケットボール日本代表は、9月22日から10月1日にオーストラリアのシドニーで行われる『FIBA女子ワールドカップ2022』へ向けての予選大会に出場した。
この予選には各大陸の上位国16チームが出場している。4つのグループリーグに分かれ戦い、各グループの上位3チーム、計12チームがワールドカップ本戦への出場権を手にする(開催国であるオーストラリアと、東京オリンピックで優勝したアメリカはすでに出場が決まっている)。

現在FIBAランキング8位の日本は、グループCに入った。
大阪市のおおきにアリーナ舞洲で、2月10日(木)から13日(日)にかけて、カナダ(FIBAランキング4位)、ベラルーシ(同11位)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(同27位)と、グループリーグを戦う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で、ベラルーシが出場辞退となったため、その試合は消滅した。
日本代表 得意の3ポイントシュート量産するも、世界No.1プレイヤーが存在感を示す
10日のカナダ戦は一時20点まで差が開いたが延長戦までもつれ込み、見事に大逆転勝利を掴んだ。13日の相手はこれまで一度も対戦したことがない、ボスニア・ヘルツェゴビナ。
ボスニア・ヘルツェゴビナはオリンピック、ワールドカップへの出場がこれまで一度もなく、このワールドカップ予選大会への出場も初めて、というチームだ。
日本のスタートメンバーはこの試合もカナダ戦と同じ、馬瓜ステファニー選手、渡嘉敷来夢選手、林咲希選手、宮崎早織選手、赤穂ひまわり選手の5人。

ゲーム開始早々、主将を務める林選手が1本目の3ポイントシュートを沈め先制した。この試合日本は、3ポイントシュートがまるでリングに吸い込まれるように決まり、会場に詰めかけた1800人の観衆を魅了した。
しかしボスニア・ヘルツェゴビナもWNBA(※アメリカの女子プロバスケットボールリーグ)2021シーズンMVP、身長198センチのジョンケル・ジョーンズ選手を中心に得点を重ねる。
ジョーンズ選手はインサイドで奮闘するのはもちろん、得点、アシスト、リバウンドと、オールラウンドに躍動し、世界No.1プレイヤーとしての評判を見せた。周りの選手のシュートも決まり、日本は思うように点差を開くことができない。

だが赤穂選手が連続で3ポイントシュートを決めるなど健闘し、46-38と日本がリードし前半は終了する。
第3クォーターも、思わず唸るような確率で3ポイントシュートを決める日本。

髙田真希選手に続いてオコエ桃仁花選手も連続で沈め、林選手、三好南穂選手、赤穂選手も次々と綺麗な放物線を描いた3ポイントを決める。しかしボスニア・ヘルツェゴビナもジョーンズ選手の3ポイントシュートなどで追いかける。70-64と6点差のリードで第4クォーターへ。
最後の10分、ジョーンズ選手に苦しめられた日本はついに逆転を許すと、ボスニア・ヘルツェゴビナにリードされる展開に。残り1分37秒、77-84と差を広げられ、日本たまらずタイムアウト。そのタイムアウト明け、林選手の3ポイントシュートが決まり80-84。
さらにはジョーンズ選手のターンオーバーを誘いマイボールとし、それを馬瓜選手がねじ込んで82-84。残り53秒のところで今度はボスニア・ヘルツェゴビナがタイムアウトを取った。

タイムアウト明け、勢いに乗る日本はまたもやリバウンドを奪い得点に繋げたいところだったが、馬瓜選手が痛恨のトラベリング。ボスニア・ヘルツェゴビナは直後の攻撃で3ポイントシュートを見事に沈め、82-87でゲーム終了、日本は惜しくも敗戦となった。
林選手が21得点(3ポイント7本)、赤穂選手が14得点(3ポイント4本)、髙田選手が10得点(3ポイント2本)の活躍。日本の武器とも言える3ポイントシュートはこの試合、43本中20本成功した。

ジョーンズ選手とのマッチアップを楽しみにしていた渡嘉敷選手は得点はなく、個人ファウル4つとファウルトラブルに見舞われたが、5アシストと、しっかり周りを活かす役目も果たしている。2年ぶりの国際戦復帰となった姿を見て嬉しく思う人も多いはずだ。
W杯出場、パリオリンピックへ向けて 羽ばたけ恩塚JAPAN!
このワールドカップ予選大会、オールスター5には、日本からは赤穂選手と馬瓜選手が入り、MVPはジョーンズ選手が受賞した。

大会前、ベラルーシが参加できなかったことで、この3チームが自動的にワールドカップへ出場できるという正式なアナウンスはなかったが、無事に予選が成立したため、3チームに本戦の出場権が与えられることが発表された。日本は14回目のワールドカップ出場となる。
予選大会へ向けて恩塚亨ヘッドコーチは、ワールドカップへの切符を手にすること、そしてこの強化はパリオリンピックで金メダルを獲ることに繋がる、と話している。
東京オリンピックで銀メダルを獲得し、アジアカップでは前人未到の5連覇と、世界から『追われる』立場となった日本。恐らくこれまでにないプレッシャーの中で、彼女たちは日の丸を背負って戦っているに違いない。

それでも選手たちはいつも笑顔だ。恩塚体制はまだ始まったばかり。恩塚ヘッドコーチが目指す「世界一のアジリティ(※機敏さ、敏捷性。元はビジネス用語で目まぐるしい環境変化に即応する経営や組織運営における敏捷性を表す)」、さらには「ワクワクする気持ち」を持って、日本女子代表AKATSUKI FIVEはどのようなバスケットボールを展開していくのだろう。世界で頂点を取る日はそう遠くないはずだと期待したい。
FIBA女子ワールドカップ2022は9月22日から10月1日の期間、オーストラリアのシドニーで予選を勝ち抜いた12チームが参加し、開催される。