アイスにはいろんな種類があって、どれも食べたくなってしまう。

思わずたくさん買い込んでしまったという人もいることだろう。しかし、暑い夏はともかく寒い冬になると遠ざかり、忘れそのまま冷凍庫に放置してしまうこともある。

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そして、いざ食べようと取り出してみるとアイスが霜だらけに…。こんな状態になってしまったら、もう美味しく味わうことができないのだろうか。

「賞味期限がない」のではない

また、ネット上などで“アイスには賞味期限がない”という投稿を見たことがある。実際、ほとんどのアイスには賞味期限の記載がなく、長期間保存していても食べることができそうにも思える。

本当にアイスに賞味期限は存在しないのだろうか? そして、どのようなアイスは食べるのを控えた方が良いのだろうか?

アイスクリーム類及び氷菓公正取引協議会の山本美穂子事務局長に教えてもらった。


ーーアイスには“賞味期限”がないの?

「賞味期限がない」のではなく、アイスクリーム類および氷菓という食品(以下アイスと表記)の特性上、品質の変化が極めて少ないものとして賞味期限表示を省略することが認められている、というのが正解です。

冷凍下(適切な条件「マイナス18度以下」で保存)では細菌の繁殖が抑えられ、品質・風味の劣化が極端に少ないので、賞味期限表示の省略が認められています。


ーーでは、食べるのを避けた方がいいアイスというのはどのような状態のもの?

・開封してみて明らかに融解・再凍結したと思われるもの(形状や色味の変化、表面の乾燥、霜がたくさんついている等)。
→風味や食感が変化しており、美味しさが損なわれていることが予想されます。

・異臭を発生しているもの。
→理由としては融解してしばらく放置されたのち再凍結。もしくは冷凍庫内で一緒に保管されているものの匂いが移ってしまった。※融解してしばらく放置された形跡のあるものについては品質管理上、衛生的な問題(細菌が増殖)などの危険がありますので避けていただきたいです。

ーー長期間保存していると霜が付いたりするが、このようなアイスを食べても大丈夫?

日本は高温・多湿な気候なため、冷凍庫に霜がつきやすいです。霜だけならば食感等の変化(霜でザラザラするなど)のみで問題はあまり無いと思います。

ただし、見た目の形状や色合い、匂いに変化があれば、前項で述べたような、しばらく融解した状態で放置されていたことも想定されます。衛生的な問題(細菌数が増殖)が発生している可能性がある場合は避けていただくのが無難と考えます。


ーー1度溶けてしまったアイスを再び凍らせて食べるのは?

衛生的な問題(細菌数が増殖)が発生している可能性がある場合は避けていただくのが無難と考えます。


ーー半分食べて半分残すといった、食べ残したアイスは品質的に問題はある?

残ったアイスの保管方法によっては多少日持ちさせることは可能です。ただし、基本的にはお召し上がりの際にアイスはある程度融解しており、保管の際に再凍結が発生しています。

また、半分残す際にどのような取り扱いがなされているのか分かりかねますので、衛生上の問題が発生する可能性もゼロではありません。早めに全てお召し上がりいただくのが良いと考えます。

残さずに早めに食べるのが良いという(イメージ)
残さずに早めに食べるのが良いという(イメージ)

アイスに賞味期限がないというわけではないということがわかった。アイスの保存状態などをきちんと確認してから食べるようにすると共に、1度開封したら可能な限り早めに食べるのが良いとのことだ。

マイナス18度以下で保存することが望ましい

では、アイスの適切な保存方法はあるのだろうか? 保存方法に関しても教えてもらった。


ーーアイスの種類や器、袋などの梱包によってアイスの保存状態は異なったりするの?

ひとくくりにはできませんが、個包装+紙箱など、温度変化を受けにくい(温度変化から守られている)梱包であれば、より良い保存状態が保たれることが期待できます。


ーーでは、アイスの適切な保存方法を教えて。

マイナス18度以下で保存することが望ましいです。また、冷凍庫内の温度変化が少ない方が良いです。あまり頻繁に冷凍庫の扉を開け閉めするような環境はよくありません。


ーー開封してしまったアイスを保存するときは?

開封したアイスを残すのはあまりよくありません。早めにお召し上がりください。それを踏まえて注意して保管するならば…
(1)乾燥や酸化に気を付ける(サランラップやジップロックなどを利用して密封)。
(2)温度変化が少ない環境で保管。

一度開封したら早めに食べる(イメージ)
一度開封したら早めに食べる(イメージ)

ーー冷凍庫のどのような場所が保存環境としては良い?

ご家庭ごとに管理の仕方や冷凍庫の機能が異なると思いますので一般論として、
(1)扉の開閉が少なく温度が一定な場所。
(2)庫内ならば冷気は底部に溜まりやすいと予想するので、なるだけ底部に。
(3)手で触って「冷たい」と感じる食材でもアイスよりは温度が高いこともありますので、温度の異なるものを直接重ねて置くことを避ける。
(4)匂いの強い食品と一緒に保管するのを避ける。

といったところかと思います。


ーーアイスをおいしく食べられる気温や条件は?

気温25度くらいの時に美味しく感じてくださる方は多いようです。

(イメージ)
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なお一般社団法人日本アイスクリーム協会で、2012年に20代~40代の男女300人を対象に「アイスクリームがおいしく感じられる気温」を調べたところ、全体の約半数(53%)が「25℃ぐらい」と回答したという。

アイスクリームがいちばんおいしいと感じる温度の調査(提供:一般社団法人 日本アイスクリーム協会)
アイスクリームがいちばんおいしいと感じる温度の調査(提供:一般社団法人 日本アイスクリーム協会)

アイスを美味しい状態で保存するには、いろいろ注意すべき点があることがわかった。冷凍庫が適切な状態なのか、今一度チェックしてみるのはどうだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。