新たな出会いの手段として、さまざまな“オンラインでの出会い”が登場している。

そのような中で、株式会社ノートンライフロック(東京・港区)がオンラインでの出会いに関する実態調査を実施。日本人の約100人に1人が、過去12カ月間にオンライン上で恋愛関係を装って近づく「ロマンス詐欺」の被害を経験していることが分かった。

100人に1人がロマンス詐欺を経験

調査は、18歳以上の1000人 (うち295人がマッチングアプリ・サイトを利用経験あり)を対象に、2021年11月15日〜12月7日にインターネットで実施。

結果、マッチングサイトやアプリの利用経験者のうち、約4人に1人(23%)がマッチング後に相手のことを調べた経験があることがわかった。

日本人の約4人に1人がマッチングアプリ等の利用経験がある
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その一方で、日本人の約100人に1人が、過去12カ月間にオンライン上で恋愛関係を装いターゲットへメッセージを送り、ある程度信頼関係を築いた段階で金銭を搾取する「ロマンス詐欺」の被害を経験していたのだ。

具体的には「オンラインで出会った人に金銭を求められ、送金した途端に音信不通になった」「オンラインで出会った人に、詐欺の暗号通貨サービスへの投資を強要された」という。

SNSなどにいる“ロマンス詐欺師”の特徴

そこで同社は「ロマンス詐欺」のターゲットになりやすいプロフィールとして、3つの例を示して、注意喚起している。

〈ロマンス詐欺のターゲットになりやすいプロフィールの例〉

・家族・パートナーとの写真がない:シングルかもしれない人を探している詐欺師の目に留まる可能性がある。
・ペットの写真がある:愛犬家などを装い、ペットの話で近づく詐欺師のケースもある。
・車・家・高級品の写真がある:経済的余裕を感じる写真等がある場合、詐欺師の目に留まる可能性がある。

さらに、ロマンス詐欺の可能性がある相手のプロフィール・連絡として、「プロフィール写真がお金持ちそう、職業を匂わせる服装、またはモデル風」「海外で仕事をしているため、なかなか会えない」「SNSやマッチングアプリ外に、早い段階で誘導しようとする」など計12個の特徴を紹介。

ターゲットの状況に合わせて変更する場合があることと合わせ、あくまで一例ではあるが、やり取りの中でこのような特徴がある際には注意してほしい。

ロマンス詐欺師の可能性があるプロフィール・連絡の特徴

ターゲットになりやすいプロフィールで検証…外国人男性11人から連絡

信頼関係を築きつつ、その心理につけ込むロマンス詐欺。金銭面だけでなく精神的にも傷つくことになるが、このような被害に遭う人に傾向はあるのだろうか? また、やり取りをしている段階で詐欺だと気づいた場合、どう対処すればよいのだろうか?

株式会社ノートンライフロック・広報の中村紗央里さんに教えてもらった。


ーー「オンラインでの出会いに関する実態調査」を実施した理由を教えて。

コロナ禍で以前よりもオンラインで人と知り合う機会が増えたであろうことから、オンラインでの出会いと、それに関連するサイバー犯罪について実態を調査することで、身近なサイバー犯罪のリスクについて啓蒙をしたいと考えました。

特にコロナ禍は、世界全体でロマンス詐欺の被害が増えており、アメリカでは被害額が2021年だけで5億4700万ドル(約601億7000万円(110円/1ドルで計算))と、2020年から更に80%増加するなど大きな問題となっているため、オンラインでの出会いに関連するサイバー犯罪の被害をどのくらい世界の人が経験しているのかを調査することにいたしました。


ーーロマンス詐欺の被害に遭いやすい人に傾向はあるの?

日本で公開されている被害の詳細データはないようなのですが、具体的な被害情報が公開されているアメリカの例ですと、18歳以上の全世代で被害がコロナ禍において増えているものの、被害額などは年齢に比例しており、年齢の高い層の方が大きな被害に遭っている場合が多いです。

被害額の中央値が、18歳から29歳では1人あたり750ドル(約8万2500円)、70歳以上は9000ドル(約99万円)と最も高くなっています。

離婚や死別などをしているシングルの男女へ近づく傾向もあります。詐欺師自身もパートナーと「離婚している」「死別している」などと同じ境遇を装うことがあります。


ーロマンス詐欺師が、“ターゲットになりやすいプロフィールにあるような人を選ぶ理由は?

ロマンス詐欺師は、プロフィールや投稿写真を見て、ターゲットになりそうな人を探しているのですが、海外の方(詐欺師)が日本人をターゲットに詐欺を行なっている場合が多いので、投稿の文字をじっくり読むというよりは、写真等をチェックして判断している可能性が高く、家族や恋人の写真を載せていない人を、シングルで恋愛詐欺のターゲット候補と判断している可能性が高いかと思います。

ロマンス詐欺のターゲットになりやすいSNS・プロフィール例

中村さんによると、詐欺師はより高額な金銭を狙うため、写真や投稿内容から、その人物に金銭がありそうか、経済的な余裕はあるのかをチェックし、ターゲットにする判断材料の1つにしているのだと考えられるのだという。

なお同社は、Instagramでロマンス詐欺の被害に遭いやすそうなプロフィールを作り、どのくらい連絡が来るのかという検証を、2021年12月15日~2022年1月31日の間で実施した。

バーチャル被害者のNotokoさんは、2人の子どもが成人したシングルマザー。会社を経営しており、犬を飼っている。アメリカでの被害報告レポートで特に40歳以上の被害報告が多かったことから同年代に設定。

実験のために作られたバーチャル被害者・Notokoさん

プロフィールを始め、投稿内容もゴルフや車、旅行をしているなどと経済的な余裕を感じるものにするなど、ロマンス詐欺師に狙われやすいプロフィールで作り上げた。なお顔写真はAIで作成した架空の顔となっている。

すると、1カ月半で11人の外国人男性(ロマンス詐欺師の可能性)からのメッセージを受け取った。1番早い人では、アカウント作成から約4時間でメッセージが送られてきたという。

相手が怪しいと思った場合の対処法

ーーロマンス詐欺では金銭的な被害の他に、どのような被害があり得るの?

ロマンス詐欺は、被害額が大きいため金銭的な損害が大きいですが、海外の例などですと、恋愛感情を抱いていた相手に騙された、騙されたことを周囲には言えない、または言った結果友人や家族に見放された、自信を喪失した、恋愛のトラウマになったなど、精神的な被害も多いようです。

また、ロマンス詐欺師によっては、被害者が「詐欺ではないか」と疑った結果、態度を急変し、性的や精神的な虐待をしてくる場合もあります。性的な映像・写真をネタに「金銭を払わないとばらまくぞ」と脅されたり、「危害を加えてやる」と言われることで、恐怖心で怯えて家から出られなくなった被害者もいるようです。


ーーでは、ロマンス詐欺師の可能性のあるプロフィールに特徴が多くある中、このうち1つでもあてはまると危ないの?

1つでは断定はできませんが、共通点がない海外在住の方から連絡が来て、連絡をとりあう中で、投資や金銭の話が出た場合は、詐欺の可能性が高いかと思います。

また、詐欺師自身が富裕層を装っている場合があるため、高級品など、経済的余裕を感じる写真がある。また、会えない状況にある場合がほとんどなので、仕事の都合で海外在住などがポイントかと思います。


ーーやり取りをしている段階で怪しいと気付いた時は、どう対処すればいいの?

怪しいと気がついた場合は、連絡をやめて、他の人が被害に遭わないために、詐欺情報を集めているサイト等へ報告をしたり、アプリ上で通報をするのが良いかと思います。アプリ上で、詐欺の可能性があるアカウントに関しては、運営側が削除をするなど対応が行われるためです。


ーーロマンス詐欺の手口は巧妙化しているの?

マッチングアプリ内の詐欺師について一定期間調査をしたわけではないのですが、世界的にロマンス詐欺の手口として、最近は詐欺師が「メタバース」や「NFT」など被害者に分からないような話題をし、『この人(詐欺師)は、新しい技術や投資などに詳しい人なんだ』と尊敬させ、「自分が仮想通貨等で成功したので、教えてあげるよ」と仮想通貨アプリ等へ誘導して投資を教える手口などが多いです。

また、海外ではギフトカードで送金をさせる方法も増えているそうです。仮想通貨やギフトカードなど、より足がつきづらい手段で送金させる手口が増えつつあるようです。

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ーーマッチングアプリ利用の際に、SNS、プロフィール以外での注意すべきことは何?

メッセージだけでは相手のことを完全に信用できる人かはわからないと思うので、個人情報は提供しすぎない方が安全かと思います。住んでいる場所や、名前、出身学校や勤め先など、ある程度の情報がわかるとSNS等で特定される可能性があり、万が一の場合、ストーカー被害など心配があると思います。

また、ロマンス詐欺の観点ですと、共通点のない海外在住の方から突然連絡が来て、連絡をとり始めてすぐに、愛情表現をする、アプリ外(他の連絡手段)へ誘導をしようとする、金銭トラブルや投資関係の話をするなどの点がある際には、注意した方が良さそうです。


ーー今後マッチングアプリの利用者は増えていくと思う?

増えていくと思います。マッチングアプリの利用者が増え、特に若い世代には一般的になってきていますし、アプリで出会って結婚した実例なども増えているので、今後はより安心できる出会い方という認識が広まっていくのではないかと思います。


ーーマッチングアプリを利用する人へ何かアドバイスはある?

マッチングアプリを運営する企業側も、利用開始時に、本人確認をしたり、怪しいプロフィールがないかパトロールをしていますが、対応前の詐欺目的のアカウントが存在する可能性もあります。アプリによっては「本人確認済み」などのマークがあると思いますが、そのような認証マークがついている異性の方が、より安心して交流ができるかと思います。

なるべく会う前にメッセージの回数を重ねて、相手のことを知ることをお勧めします。聞いた質問に的確に答えが返ってくるか、突然投資や金銭に関係する話題を出さないかなどをチェックしていただければと思います。

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相手がロマンス詐欺師かどうか判断する方法として、プロフィールが今回挙げた特徴に当てはまるかということに加え、詐欺師はインフルエンサーなどの画像を使用している場合が多いため「相手の画像を検索」することで分かることもあるという。

また、オススメされたアプリやサイト名と共に「詐欺」「scam」といったワードで評判を検索。該当する情報がある際には注意が必要となる。そして、このような詐欺サイトやアプリを検知するセキュリティソフトを導入するのも1つの手段だという。

マッチングアプリやSNSは新たな出会いの1つの手段となっている。コロナ禍で人と直接会う機会がより減ってしまった昨今、感染を気にせずに気軽にやり取りできるというメリットがある一方、中にはロマンス詐欺師のように悪用する者がいることを忘れずに利用してほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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