ソフトバンクグループの最終的な利益が約9割減少した。

「嵐は強まっているかもしれない」

ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長:
前回の決算発表でも申し上げた「冬の嵐のまっただ中にいる」と。嵐は終わっていない。むしろ嵐は強まっているかもしれない。

ソフトバンクグループは2021年4月から12月までの9カ月間の連結決算を発表し、最終的な利益が3,926億円で、前の年の同じ時期で国内企業として過去最高であった3兆551億円と比べ、87.1%減少した。

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中国銘柄など、投資した新興企業の株価下落が響いた形だ。

また、子会社でイギリスの半導体開発大手「アーム」をアメリカの半導体大手「NVIDIA(エヌビディア)」に、最大4兆円余りで売却するとしていたが、この売却計画を断念すると発表した。

孫社長は、「各国政府が合併を阻止する強い動きに出たため」としている。「アーム」について2022年度中の株式上場を目指すという。

“中国リスク”が影響

三田友梨佳キャスター:
経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。
孫正義社長は「嵐は強まっているかもしれない」と決算の内容を厳しく受け止めているようですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
ソフトバンクグループは傘下に携帯キャリアとして知られるソフトバンクを持つ一方、 投資会社としての側面が強く、投資先の影響を大きく受けてしまいます。

特に“中国リスク”です。中国政府の統制強化で保有するアリババ等の株価が大きく下落していることを反映した決算となっています。

「アーム」売却“独禁法”でかなわず

三田キャスター:
傘下にあるイギリスの半導体設計大手「アーム」について 「株式上場を目指す」と表明しましたが、こちらについてはいかがですか?

馬渕磨理子さん:
アームが設計した半導体はほぼすべてのスマートフォンに使われるので、デジタル産業に大きな影響力を持っています。

ソフトバンクグループはアームを3兆3000億円で買収し、今度はアメリカの半導体メーカーであるエヌビディアに4兆6000億円で売却する予定でしたが、関係各国の規制当局は「独占禁止法」の懸念、つまりエヌビディアがアームの設計技術を支配することで半導体業界の競争環境がゆがめられてしまうなど、その影響を重く見たため、この売却がかなわず、一転して「株式上場」へと方向転換を図りました。

三田キャスター:
アームの株式上場に向けて懸念すべき材料はあるのでしょうか?

馬渕磨理子さん:
いまアメリカの金利の上昇が見込まれているため、株式市場全体に不透明感が漂っています。
そのため、期待したような株価とそのリターンが得られるのか見通せない状況にあります。

厳しい状況が続きますが、孫社長はソフトバンクを「金の卵を生むガチョウ」と表現していますので、その言葉通りに嵐を乗り越えて投資先企業が金の卵となるのか注視していきたいです。

三田キャスター:
アームは仮想空間、メタバースや電気自動車などでも先導する役割を担うということで、孫社長自身もこれから黄金期を迎えると自信をのぞかせていました。今後の展開が注目されます。

(「Live News α」2月8日放送)