「ずっと触っていたい」手触りそのままに…

2月1日にプロ野球がキャンプイン。2年ぶりとなる観客を受け入れての開催に、心躍らせているファンも多いだろう。

そんな中、野球ファンなら思わず欲しい!と思ってしまいそうな、こんな革製品が注目されている。

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それが、東大阪市に本社を置く株式会社ナダヤの製品。

長財布を見てみると、真っ白な本体に赤いステッチが入ったその姿は…野球の硬式ボールそのもの!

実はこの財布、本物の野球ボールに使われる本牛革でできており、飾り部分の赤いステッチの間隔も、本物のボールを参考にして作られているというこだわりっぷりだ。

さらに“色違い”の長財布は、ボールをキャッチするグローブにそっくり!こちらも本物のグローブに使われる牛革が使われており、グローブのイメージに合わせた“かがり”も施されている。

この「ボールとグローブ」を再現した革製品のバリエーションは、長財布・極小財布・キー(スマートキー)ケースの3種類。

ボール革・グローブ革ともに長財布は1万2980円(税込)、極小財布は8,800円(税込)。キーケースは4,620円(税込)となっている。

(左)キーケース(右)極小財布
(左)キーケース(右)極小財布

ボール革のシリーズは公式サイトで「ずっと触っていたい」、グローブ革は「バシバシたたきたくなる」と説明されているのも、実際に手に取って確かめたくなる魅力があるアイテムだ。

2020年に長財布が“第一弾”として発売されて以来、第二・第三と続いてきたこのシリーズだが、2月1日にインタビュー記事がネット掲載されると、公式Twitterに「注文爆増で反響すごいです」との投稿があるほど再注目されているという。

プロ野球が“アツい”今、どうにも気になるアイテムについて、株式会社ナダヤの灘瑛一郎代表取締役にお話を聞いてみた。

発売当初はあまり売れませんでした…

――「野球シリーズ」が生まれた経緯は?

初めのきっかけは長いお取引のある革屋さんからの提案でした。“ボールやグローブに使っている革があります”と、変わり種素材のようなご紹介をいただきました。 野球経験者だった私はそれぞれの革を触った瞬間に”これは面白い!是非商品化したい!”と思いました。

革小物メーカーとして60年以上の経験がありましたので、初めの形にするのは早かったです。ただ、発売当初はあまり売れませんでした。理由は簡単で、今のデザインの特徴である赤や革のステッチ(飾りの部分)が無かったからです。

もっと、一目で”野球だ!”と分かるデザインにする必要があると思い、自分の使っていたボールとグローブと見比べました。あとは簡単で、今までのは素材がボールやグローブなだけで、デザインは全くらしくなかったのです。いくつか、らしいデザインをデザイナーや職人とも話し合い、今の形になりました。


――こだわった点はどこ?

革小物づくりはほぼすべての工程が手作業なのですが、特に赤や革のステッチ部分はミシンも使わず手縫いしています。実際のボールやグローブも手縫いで製作されていますので、より実物の野球用品と近いデザインや質感になっていると思います。

また、やっぱり素材感を一番楽しんで欲しいので、手触りが一番良くなるように形や厚みなどを素材ごとに微調整しています。

リニューアル前の長財布がこちら。ボールらしいステッチがまだ無い
リニューアル前の長財布がこちら。ボールらしいステッチがまだ無い

――これまでの売れ行きは?

販売開始は2020年6月ですが、始めの半年以上は全くと言っていいほど売れませんでした。恥ずかしながら、1カ月に数個しか売れないという時期が続いていました。

デザインリニューアルしたのが2021年2月です。リニューアルしてからは本当に急にご反響が大きくなり、月に10倍以上の数十個売れるようになりました。今度は急激な在庫不足になり、夏頃は常に2カ月以上お待ちいただく状態でした。あのときお待ちいただいてまでお買い求めいただいたお客様には感謝しかありません、ありがとうございます。

そのあとは生産部と年間の生産スケジュールを調整し、新商品のキーケースを投入したりと、今は安定して月に100個以上をお届けできています。

リニューアル後がこちら。開くとさらにボールっぽい?
リニューアル後がこちら。開くとさらにボールっぽい?

――実際に手に取った購入者からの反響は?

「面白い」「懐かしい」「周りから注目される」といったお声はもちろん多いのですが、意外と多いのが白(ボール革)の柔らかさです。実際のボールは硬式球と言われるように大変固いのですが、これは芯材の影響です。実は周りの革はとても柔らかくて手触りがいいんです。白を手に取ったお客様は、まずこの柔らかさに皆さん驚かれます。

 

自身も熱心な野球ファンで経験者だという灘氏。公式Twitterアカウントから商品紹介だけでなく様々な野球情報を発信していることからもその熱が伝わってくるが、「野球シリーズ」第一弾となる長財布は発売当初「あまり売れなかった」という。

しかし、そんなところに寄せられたのが、野球ファンからの声。

SNSでは「縫い目がボールの奴じゃない」「ホンモノの縫い目を入れたら百倍くらいの人数の野球人に刺さりそう」などの指摘があったが、それにこたえる形で「よりボールらしく、よりグローブらしいものにデザインを近づけよう」という方針を新たに打ち出す。販売から8カ月でデザインをリニューアルし、その結果、10倍以上の売り上げをたたき出したというのだ。

リニューアルした長財布の好評を受け、第二弾となる極小財布、第三弾となるキーケースも次々に発表。シリーズで月に100個以上を売り上げる注目の商品になったのだという。

そんな「野球シリーズ」、新型コロナの感染拡大を受けて工場を閉鎖するなどの影響を受けつつも、まだまだ新アイテムの構想もあるという。

「有名な選手に使ってもらって宣伝していただけるのが一番嬉しいですが(笑)」としつつ、「大事な方へのプレゼントとして選んでほしい」と話してくれた。
 

今後、まず色が増える予定

――新型コロナの感染拡大…影響はある?

2021年夏頃に在庫切れで2カ月待ちになった、という話がありましたが、実は夏頃、自社のタイ工場でコロナが発生してしまいました。結果的に1カ月近くも工場を閉鎖することになり、メーカー業としては大変な痛手でした。納期遅れが続く中、お客様にも大変なご迷惑をおかけしてしまいました、本当に申し訳ございません。

しかしその中でも事情を聞いて”いつでも待ってます”という温かいお声もいただきました。本当にお客様のお声で私たちはモノを作れるのだな、と改めて実感し、そのことには今でも感謝しかありません。


――どんな人に手に取ってもらいたい?

ご自分用でお買い求めいただくのももちろん嬉しいのですが、野球好きのご家族の方やご友人へのプレゼントにお選びいただくのが嬉しいです。大事な方へのプレゼントとしてお選びいただけるというのは、お客様から商品を信頼されている、認められているということだと思います。私達はメーカー業ですので、やっぱり自分たちの作った製品の品質やデザインをお客様に認めてもらえることが一番嬉しいですね。

バスケットボールの革を使ったシリーズも
バスケットボールの革を使ったシリーズも

――今後「野球シリーズ」が増えていく可能性は?

まず、色が増える予定です。ロットの問題で難しかったのですが、ご要望の多い黒以外のグローブのお色として、キャメルのお色が発売します、楽しみにしてください。 また、コインケース、パスケース、ボディバッグ、帽子、名刺入れ、キーホルダー、と、実はたくさんのサンプルを製作しています。特殊な手縫い部分がある関係から、全部は商品化できるか分かりませんが、少しでも多くの商品をお届けできるよう開発を進めております!


できれば現地に行って選手たちを応援したい…という気持ちがあっても、なかなか遠出のしにくい現在。こんなアイテムを身につけてみるのも、プロ野球を盛り上げるひとつの手段になるかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。