3月1日から2023年の春に卒業する学生の就職活動が本格的にスタートし、東京ビッグサイトでは合同企業説明会が行われた。今、コロナ禍の就活が変化している。

4割が動画で自己PR
学生A:
私の強みは問題解決能力があることです
学生B:
私の強みは継続的に努力し、目標に向かって行動することです
学生がスマホに向かって話しているのは、「自己PR」だ。

学生A:
これは就活です
学生C:
動画を企業様に見ていただいてっていうのでやっています

以前は履歴書に証明写真を貼って送っていたが、応募書類と動画を送るのが今時の就活だという。

この春に就職する人で、企業に動画を送ったという人は40.3%。
※キャリタス就活2022調査(2021年7月)

そこで今回は、「自己PRは動画!進化する就職活動」を調べてきた。

増える「動画選考」どんな工夫をしている?
今、増えている就活での自己PR動画。どんな動画を撮ったのか街で聞くと……。
男性A:
1分で自己PRの動画を撮ってくださいという指示があったりするので
男性B:
10回20回と何回も練習して撮影しての繰り返し

音楽・エンタメ業界を目指す大学3年生が撮った動画は…
音楽・エンタメ業界を目指す大学3年生のPR動画:
私は小学校のころから作曲を行っているのですが、高校で軽音楽部に所属してからはバンドのために曲作りをしました

自己PR動画は、30秒や1分など企業から指定された時間内で作成するのが主流だ。

なぜ企業は動画選考を行っているのか?
マイナビ編集長・高橋誠人:
すごくエントリーが多い有名企業さんが何千人、何万人と面接することができないので選考の初期の段階で導入するパターンが多いですね

学生たちは、どんな工夫をしているのか?
保険会社に入社予定の大学4年生:
動画選考だからこそあえてゆっくり話したりとか、強調したいところを大きな声でとか表情とかを気をつけるようにしていました

保険会社に入社予定の大学4年生のPR動画:
今までの人生で私自身に大きな影響を与えた経験は、自分にとって大事な価値観に気づけた高校受験の失敗という経験です
PR動画を見てみると、カメラ目線で早口にならず、しっかりとしゃべっている。

人材業界を志望する大学3年生は?
人材業界を志望する大学3年生:
笑顔でハキハキしゃべることだけ心がけたら、通過率が上がりました

人材業界を志望する大学3年生のPR動画:
所属する体育会ソフトテニス部の中で人数不足の課題が深刻化したときに、自ら手を上げて組織作りをしました
部活のユニホーム姿で自己アピールをしていた。

初めての自己PR動画撮影で悪戦苦闘
エンタメ業界を志望する大学3年生が、初めての自己PR動画を友達に手伝ってもらいながら撮影した。

台本をタブレットに入れて、さっそく撮影開始。
エンタメ業界を志望する大学3年生:
はじめま…はじめまして
友人:
はじめま?
緊張からなのか、簡単な言葉にもつまずいてしまった。

続けて2テイク目。
エンタメ業界を志望する大学3年生:
はじめまして田中彬夏です。わたし…

友人からは…
友人:
がんばれ。顔がこわばっているかも。笑顔が少ない

自分の姿が見える内カメラと外カメラを駆使して撮影。
エンタメ業界を志望する大学3年生:
じゃあ内カメいいですか?

立ったパターンも撮って、最終的に撮った回数は15回。

一番よかった動画がこちら。
エンタメ業界を志望する大学3年生のPR動画:
はじめまして田中彬夏です。私の強みは何にでもチャレンジする力です。個人のSNSであるTikTokアカウントでは、1年間に3万人のフォロワーを獲得することに成功しました

少し視線がタブレットを追っているが、ベストを尽くした。
エンタメ業界を志望する大学3年生:
本当にはじめて撮ったので難しかったです

アドバイザーが無料で撮影の補助や原稿チェック
また、こんなサービスもある。自己PR動画のアドバイザーが無料で撮影の補助を行う「JOBTV」では、原稿のチェックから撮影のポイントまで教えている。

動画撮影では、身振り手振りを交えて話し方を指導している。
JOBTV 自己PR動画アドバイザー・金井絢斗さん:
ジェスチャーは動画の質が上がる。自分の話している内容がより伝わる

企業人事の注目ポイントは?
企業の人事はPR動画のどんなところに注目するのか?動画選考を導入している3社が、德田アナウンサーのPR動画を審査した。

まずは、生活用品メーカーのアイリスオーヤマ。
德田聡一朗アナウンサーのPR動画:
德田聡一朗です。私の家族がよく御社の製品で助かっていると聞いていましたので、私もそんな人の助けになるような製品を作りたいと思い、御社を志望致しました。よろしくお願い致します

動画を見た担当者は……。
アイリスオーヤマ 人事部人事企画室マネージャー・佐藤祥平さん:
画角がちょっと下からになってしまっていて、ちょっと威圧感がある感じが少しだけ感じられましたので、できるだけちょっと上から撮って録画面接を送るといいんじゃないかと思いました

続いて、不動産会社とアパレル会社に向けた動画。
德田聡一朗アナウンサーのPR動画:
德田聡一朗です。私は学生時代ランニングが趣味でして4年間毎日走り込んできましたが、その忍耐力を生かして御社に貢献したいと思います。よろしくお願いします

アパレルのアーバンリサーチは?
アーバンリサーチ 人事総務課マネージャー・家近佳奈子さん:
真面目な表情を作るときと笑顔の表情を作るときと、ちょっと緩急つけていただくほうが人として安心できるかなと思います

不動産のオープンハウスからは厳しい評価が……。
オープンハウスグループ 人材開発部係長・大津彩良さん:
自分らしさがあった方が私は見ていてワクワクしますし、就活用の言葉にしか見えなかったっていうところですね

各社共通なのは、うわべの言葉よりも、本人の気持ちが伝わるかが重要だということ。
さらに、背景は余計な物が写り込んでいないか、不必要な音が入っていないかなどもチェックの対象になる。

企業側もTikTokで情報発信
企業側もコロナ禍で会社説明会がオンラインに切り替わり、社風が伝えにくいため、TikTokでPR。

ブライダル会社「冒険社プラコレ」は、1月末から社員の日常を撮影して会社の雰囲気をアピールしている。

冒険社プラコレ 広報・武藤みなみさん:
ギャップがあるとよくないので、こうやってホントにいつものことを動画で撮るみたいなことをやっています

ありのままの日常をPRし、新卒募集をするしたところ…
冒険社プラコレ広報・武藤みなみさん:
今までは10人くらい毎日応募があったんですけれども、100人とかになってすごい反響が

動画が面白ければ“一発内定”
さらに「グッドスピード」では、TikTokで新卒を募集。
画面下には「YouTuberになりきり自己PR動画をお送りください!面白い!採用したい!と役員が思えば一発内定!」と書かれている。

動画投稿だけで一発内定、そんな人がホントにいるのか?
グッドスピード 人事総務部人事課・稲場規紗さん:
はい、1名採用させていただきまして、もう一発採用という形でやらせていただきました

一度も会わずに内定を出した動画は、テロップも入れてユーチューブっぽい仕上がりになっている。この春大学を卒業し、入社予定だ。
一発内定を獲得した学生のPR動画:
冬はスノーボードなどアウトドアスポーツを中心とした撮影をしています!最近は人気のシネマティック映像などにも取り組んでいます

今時の就活についてスタジオでは…
井上清華アナウンサー:
動画で一発内定ってすごいですよね。私も動画選考あったんですけど、やっぱり場所とか内容とか考えるだけで難しいですし、結局正解が分からないまま終わったんですよ
三宅正治アナウンサー:
選ぶ方としてもやっぱり時間かけて自分をアピールするものを作ってもらうほうが、より分かりやすいからね
井上清華アナウンサー:
面接だけでは伝わらないものが伝わりそうでいいですね
三宅正治アナウンサー:
サポートビジネスがこれから増えるかもしれないね
(「めざましテレビ」3月2日放送分より)