「おから」活用…フードロス問題に挑む大学生

豆腐を作る際にできる「おから」は、栄養価が高く人気の食材。
しかし、実際に食用になるのはごく僅かで、廃棄物として処理する費用が豆腐屋の経営を圧迫している。
このおからを活用してフードロスなどの社会問題の解決に挑み、ベンチャー起業家として奮闘する2人の大学生を取材した。

アイスクリーム屋 ピースカカオ 友利梢さん:
素敵!かわいい。ちょうどいいサイズ、持ち手もあって

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アイスをすくうこのスプーン。なんと「おから」でできていて、食べることもできる。

アイスクリーム屋 ピースカカオ 友利梢さん:
ざらざらしない。美味しい。味の邪魔もしない。これなら途中で折れたりもしないはず。こうやって選択肢があるだけで、これを手にするだけで貢献できるっていうか、優しい気持ちになれますね。環境にも、身体にも

このスプーンを開発したのは、琉球大学に通う崎濱花鈴さんと知念杏珠さんだ。

大学3年の時に参加したビジネスコンテストをきっかけに、沖縄料理に欠かせない豆腐屋が、経営を圧迫する問題を抱えていることを知った。

琉球大学4年 知念杏珠さん:
お豆腐屋さんへのインタビューから、おからが経営上の負担になっているという課題を知って、自分ごととして捉えることができて、おからの活動からスタートしました

おからの処分費用が経営にのしかかる・・・

「おから」は、豆腐を作る過程で豆乳を絞った時に残るもの。沖縄市の川上勝敏さんの豆腐屋では、一日約500キロのおからが出る。
低カロリーで栄養価が高く人気の食材だが、実は食用になるのは僅か1%で、肥料や飼料として活用されないものは産業廃棄物として処理される。

川上さんの豆腐屋で、毎月かかる処分費用は20万円。経営に重くのしかかる。

川上食品 川上勝敏代表:
「おから」が、もしもうちの会社の敷地内に溜まっていくような状況になれば、イコール豆腐屋はできないっていうことに直結しますね

「フードロス」だけでなく…「海のゴミ」問題も解決へ

このおからのフードロス問題を解決するため活動を始めた2人だが、さらなる社会課題に出会う。

琉球大学4年 崎濱花鈴さん:
一緒に頑張っている同世代の子達がビーチクリーンとかをする中で、海洋プラスチックの問題というのがすごく深刻になっているということを聞いて

海に流れ込むプラスチックゴミは、年間約800万トンとも言われていて、2050年には海のプラスチックゴミは、魚の量を上回るとの予測も出ている。

琉球大学4年 知念杏珠さん:
ゴミ箱に捨ててたら、海にも流れていないからいいんじゃないみたいな、単純な発想だったんですけど、そもそもゴミを出すことが悪。(だから)ゴミを出さないことが、やっぱり一番なのかなと思っています。じゃあスプーンにしようということで、食べられるスプーンにしようということで

浮かびあがった2つの社会問題を解決しようとできたおからスプーン。食べ物の粉末をスプーンに変える技術を持つ愛知県の会社で成型された後、1本100円でアイスクリーム屋に置かれる。

カレー屋 Halever 小松崎礁さん:
美味しいですよ、味も単体でクッキーとして美味しいです。うちのカレー屋でも使わせてください

2人の原動力は「沖縄のために活動」

2人は、今後もおからを使ったタコライスやチャンプルーなどを作るなどして、大豆の可能性を広めたいと意気込む。
複雑な方程式に挑み続けてきた2人だが、ビジネスという手段を選んだ背景には、沖縄に対する強い思いがあった。

琉球大学4年 崎濱花鈴さん:
もともと私が一人親家庭だったこともあって、子どもの貧困を無くしていくためにとか、沖縄の経済をもっと強くしていくためにはどういうことが必要なんだろうと思っていて。第一次とか第二次産業がもっと盛り上がっていったらいいのになと、ずっと中学生くらいから思っておりまして、今も沖縄のために活動をしています

川上食品 川上勝敏代表:
お金出して廃棄しないといけない物が「0」になるっていうのは、うちとしてはかなりの利益ですので、それだけでも本当ありがたい。自分たちで解決できなくて、半ばさじ投げているような問題ではあったので

琉球大学4年 知念杏珠さん:
川上さんとお話しすることで、おからの課題を解決することが、本当にお豆腐屋さんのために
なっていることを実感できるので、モチベーションにやっぱりなります

2人は、沖縄のために、故郷のために活動することが原動力となっている。

(沖縄テレビ)

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