「ガソリン170円超え」初の緩和措置を発動…1リットル当たり3.4円の補助金投入で値上げを抑制
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「ガソリン170円超え」初の緩和措置を発動…1リットル当たり3.4円の補助金投入で値上げを抑制

今週のレギュラーガソリン全国平均価格が13年ぶりの高値となる170円20銭に値上がりした。
170円を超えたため、27日には国の補助金が投入され、価格上昇を抑える緊急措置が初めて発動される。ガソリン価格の高騰は一体いつまで続くのか、経済部の渡辺康弘記者が解説する。

経済部・渡辺康弘記者:

今週のガソリン価格についてですが、 萩生田経産相は25日、今週24日(月)時点のレギュラーガソリンの価格が、13年ぶりの高値となる170円20銭となったと発表しました。 ガソリン価格は、普段は毎週水曜日に発表しているもので、 今回は異例の1日前倒しでの発表となりました。 これはいったいなぜなのか?

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まずはガソリン価格の推移を見ていきます。価格は3週間前まで7週連続で値下がりしていましたが、 ここ3週連続で一気に値上がりに転じました。170円20銭というのは、リーマンショック後の2008年9月以来、実に13年4カ月ぶりの高値です。 そして、この170円というのがポイントです。というのもこの170円を超えるとこれが引き金となり、 政府は2021年の12月に制定したガソリンの急激な値上げを緩和するための措置を今回初めて発動するんです。 

値上げを抑制する緩和措置を解説

経済部・渡辺康弘記者:
その緩和措置とは一体どういうものなのか仕組みを説明します。ガソリンの供給は、まずENEOSや出光といった石油元売り会社が海外から原油を購入し、ガソリンを精製。 私たちが普段利用するガソリンスタンドに卸され、 消費者が買うという流れです。 今回の措置では、ガソリンスタンドではなく、元売業者に対して補助金が投入されます。

具体的には、170円を超えた分の20銭と、来週のガソリン価格に反映される値上がり予定分の3円20銭の合わせて3円40銭分が、 1リットル当たりの補助金として今週27日に元売り各社に国から支払われます。 その結果、ENEOSや出光からガソリンスタンドへの卸値が補助金分だけ下がり、 小売り価格が、理論上は170円ぐらいで収まるというのが今回の措置なわけです。

ここで、注意しないといけないのは、 170円というのはあくまで全国平均価格であり、 全部のガソリンスタンドが170円になるという話ではありません。 例えば、先週の価格ですが一番高い長崎県は176円30銭、一番安い宮城県は162円40銭と大きな差があります。 東京は170円10銭。全国平均は168円40銭でした。 長崎などは運送費用がかなりかかるので地域ごとにガソリン価格は違うんですね。

一番高い長崎県を見てみると、先週176円30銭でした。 今週は全国平均価格が1円80銭上がりますから、長崎県も単純計算で178円10銭まで上がるはずです。

ところが緩和措置が発動されれば20銭安くなる想定ですので、 177円90銭まで値上がりを抑えられるんです。 このように地域によっては170円を超えることは ままありますので、「何で170円超えてるんだ!」 と間違えて怒ったり抗議したりしないでくださいね。 

イメージとしては世界的に原油が不足してガソリン価格が急激に上がっても、 今回の措置によってご近所にあるガソリンスタンドの価格は 今よりもさほど上がらないという措置だと覚えておいてください。 

「油」の高騰を防ぎ商品の値上げを抑える

そして、今回の措置は私達の暮らし全般に影響します。それはガソリンだけではなく、 軽油・灯油・重油にも同様の補助金が投入される措置が取られるためです。 

身近なところでは、暖房用の灯油はもちろん、 灯油や重油を燃料にするハウス栽培農業や漁業の負担を軽くすることで、食品の値上がりを防ぐ効果も期待されます。 また、輸送の際のガソリン代や、 工場の燃料費も抑えられれば、 様々な商品の値上がりを防ぐことにつながります。 それは、クリーニング店や銭湯などにも救いの手となります。 

また、今回の制度は、ガソリンについてはこれで、この先もう170円を超えることはないということではないんです。今回の措置は、値下げが目的ではなく、あくまで日本経済がコロナショックから立ち直るのを邪魔しないように、ガソリン価格の急激な高騰を防ぐというものです。 

170円超えたので発動されましたけれども、4週間も経てば170円の高値にも慣れるでしょうということで、4週間後には171円になったら発動しますよ、さらに4週間後には172円なら発動しますよという感じで、トリガーがだんだん上がってくるんですね。それで激変を緩和するということなんです。また補助金の上限は1リットル5円で、 3月末までという期限も切ってあります。 あくまでコロナからの立ち直り期間という特殊な時期の、限定的な措置ということなんです。 

ではガソリン価格は今後どうなるかですが、 IEA(国際エネルギー機関)は今年上半期、 6月にかけては石油の供給が需要を上回り、 備蓄が増えると予想しています。 つまり、中期的には価格が下がると予想されます。 これを聞くと一安心という感じですが、 不確定要素があるのです。 

石油価格のカギは「オミクロン株」と「中東情勢」

経済部・渡辺康弘記者:
石油連盟の杉森会長は24日、「オミクロン株と産油国の動向、 中東情勢がポイントになる」と発言しています。 

経済部・渡辺康弘記者:
まずオミクロン株については、 蔓延しても経済活動に支障ないとの見立てが多く、需要は減らないとの見通しから原油価格が上がっています。 しかし、その状況が続くのか、もしくは、新たな変異ウイルスなど 別の脅威が生まれるのかどうかで、大きく左右されます。

さらに産油国の動向・OPECなどが今後増産するかどうかというのも大きなポイントになります。直近では2月2日にOPECプラスという主要産油国の会合がありますので、そこでどういった結論が出るのかというのがポイントになります。

経済部・渡辺康弘記者:
中東のイエメンでは、イスラム教シーア派の武装集団と政府軍の内戦が今現在起きています。これが飛び火して産油国であるアラブ首長国連邦の産油施設のすぐそばで爆発が起きる事態になっています。

経済部・渡辺康弘記者:

また、ロシアも産油国ですから、 ウクライナ情勢も気になりますよね。 こうした地域情勢の不安定化が 原油供給に悪影響を及ぼすとの恐れが強まり、 原油価格を上げているんです。 

経済部・渡辺康弘記者:

短期的には原油価格は高止まりするとみられていて、 ガソリンだけで無く、電気代など エネルギー関連全般の値上げが予想され 家計への影響も大きくなりそうです。 

やはり今のコロナショックというのは、リーマンショックに比べ、非常に経済に対するダメージが大きく、しかもこの時期というのは、ちょうどコロナから立ち直って経済が上向きになっている、まさに途上だったので、ここで足を引っ張るのは何とかして止めたいということで、政府もかなり特別な措置として、今回の措置をとったということですね。

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏:
全般的にはいいことなんでしょうけど、おっしゃった通り、実践緩和措置ですから一時的なものですよね。ずっと未来永劫やらないと財政がどうなるのかという問題もある。中東情勢については私も専門なのでどうかな。大きな戦争が起きて値段が上がることはないでしょう。産油国が本気で増産する気がないでよね。あれだけ安かったものをやっと上がって普通に戻ってきたから彼らがもう少し増産をしない分だけ高止まりする可能性があると思います

(「イット!」1月25日放送分より)

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