トンネルを抜けた先の登山道を進み…

人口約1万人の町、岐阜県川辺町。週末になると大勢の登山客が訪れている。きっかけは「岐阜のグランドキャニオン」として広まり始めた、山頂からの景色だ。その景色を一度見てみようと、実際に足を運んでみた。

名古屋から車で約1時間のところにある岐阜県川辺町は、周囲を山に囲まれた小さな町だ。中心の産業は製紙業。ボートの漕艇場の町としても知られ、合宿などで全国の子供から社会人までが練習に訪れる。

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ただ、主たる観光資源がなかったこの町に、2021年10月下旬ころから大勢の人が集まるようになった。目当ては「岐阜のグランドキャニオン」として広まり始めた、山頂からのこの町の景色だ。

権現山、遠見山、愛宕山、八坂山、幕引山、大谷山の小高い6つの山を登ることができる川辺町。もちろんこれまでも登山客はいたが、登りやすくなるよう2016年から地域のボランティアの力を借りて、登山道や案内看板の設置など整備を進めてきた。

この6つの山の中で注目の山となったのは、標高272mの「遠見山(とおみやま)」だ。登山愛好家に広がっているサービス「YAMAP」の口コミに、遠見山の山頂からの景色が「グランドキャニオンの“ホースシューベンド”に似ている」とコメントが複数あったことから、役場の担当者が「岐阜のグランドキャニオン」として発信を始めたのがきっかけだ。

「15~20分で山頂まで登ることができる」と役場の人に教えてもらい、麓の駐車場に到着。「山頂はあそこです」と示された看板の方向を見ると、結構な高さにある、どう見ても切り立った崖だった。

「…あの高さまで15~20分、どんな登山道になっているのだろうか…」と少し不安になりながら向かうと、まず初めに現れたのは冒険感あふれる小さなトンネルだった。

上にはJR高山本線が通っているが、線路の下にあるこうした小さなトンネルは珍しいという。

このトンネルを抜けると…冒険の始まり。登りやすいように木が設置されていて、確かに整備してきた跡はあるが、元々は獣道だったのだろう。現れたのはワイルドな登山道だ。

登りやすくするためのロープが設置されているところもあったが、それほど苦労はない。

普段、登山をしていない私は息切れしたが、目にする登山者は中年から高齢の方が多く見受けられ、割と軽い足取りで登ったり下ったりしていた。

頂上が近づくと、「がんばったね、もうすぐだよ」と気持ちを後押ししてくれる看板があるのも嬉しい。

そして、頂上の「見晴らし岩」を示すほうへ坂道を上ると、最後は下りに。

下りきったところに現れた「見晴らし岩」。

そのままの勢いで「見晴らし岩」に上がると、川辺町のホットスポット「岐阜のグランドキャニオン」が目の前に広がっていた。

あいにくの天気で空は曇っていたが、深緑の飛騨川に囲まれたユニークな形の、島のような町が美しさものどかさも持っていて、たどり着いた達成感も相まって晴れやかな気持ちになった。

遠見山の反対側には権現山があり、ここから距離もそれほどないという。時間に余裕があれば、6つの山をいくつか登ってみるのも楽しそうだ。

登山のあとはウナギや地酒、カフェも楽しめる

「見晴らし岩」へ向かう最後の分岐を反対に行くと、「秋葉神社」がある。

神社には石でできた鳥居と小さな祠があり、神秘的な雰囲気もある。

ここからも川辺町を見渡すことができ、秋葉神社が町を見守っているような景色だった。

帰り道の下りは、山の南側に降りるルートを選んだ。このルートの方が勾配も緩く、幾らか楽だ。麓には「南天の滝」があり、楽しみが山頂の景色だけでないのが嬉しい。

澄んだ水がきれいな滝だが、雨が降らない日が続き、この日は水量が少ない状態だった。普段であれば迫力ある滝が楽しめるという。

登って降りて約40分の遠見山。周辺には古民家を使った鰻店や…。

時折、窓からJR高山本線が店のすぐ脇を通るのを“アリーナ席”で楽しめるカフェなど、食事ができるお店も充実している。

また、登山道の入口にある江戸時代に創業した酒蔵があり、地酒を買うこともできる。

登山客が増えてからは、土産に買う客も増えているという。

川辺町には他にも、“丸いパン”が評判のお店など楽しめるところがあり、「岐阜のグランドキャニオン」がある町として、一層人気が高まりそうだ。

(東海テレビ 報道部WEBニュースデスク 佐藤岳史)