SDGsの目標12「つくる責任・つかう責任」を達成しようと、食品ロスを防ぐ取り組みを行う会社が富山県にある。「もったいない」から生まれた新商品とは。

切れ端を新商品に…きっかけは子をもつスタッフの一言

富山県砺波市の「柿里本店」で販売されている、彩りの美しい素麺。

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大門素麺の伝統的な製法を色鮮やかに進化させた手延べ麺だ。

2カ月前には、新商品として「松葉」というシリーズが加わった。

この商品には、「食材を廃棄しない」という柿里のSDGsの取り組みが隠されている。

柿里商店・佐藤朝乃さん:
切れ端とか、延ばしたときの上の節の部分は商品にならないんですね。もったいなくて、なんとかならないかと思っていて。素麺は賞味期限が長い。1~2年あるので捨てられなくて増えていって、売ってみることに。でも、最初はそういうものを売っていいのかと躊躇して…

生産が最盛期を迎えている大門素麺。折り曲げる時や長さを調整するときに、どうしても切れ端が出てしまう。これらの部分は、これまでは商品にはならないと考えられてきたという。

リポーター:
確かにもったいないですよね、味は変わらないし

柿里商店・佐藤朝乃さん:
小さいお子さんがいるスタッフが、「いいですよね、短いから切らなくていいもん」って言ったんです。そっか、と思って。お母さんたちが子どもたちに麺を食べさせるときに切るじゃないですか。その手間が省けるんだ。お母さんたちの役に立っているんだなって

着色は自然由来の食材で 離乳食や介護食にも

冬は大門素麺、そのほかの季節はカラフルな手延べ麺を作る柿里では、色の異なる端の部分をミックスして袋詰めにして販売。自然由来の食材で着色していて、細くて短いので離乳食としても注目されている。

「もったいない」から生まれた新商品は、新たな展開を考えるきっかけにもなったという。

柿里商店・佐藤朝乃さん:
介護食にもいいんじゃないかと、気付きがどんどん増えてきた。カラフルなので、楽しんでお召し上がりいただけるなと思って

地元酒蔵の酒粕と富山の米を食べて育ったニワトリ

続いてやってきたのは、高岡市の「仁光園」。ニワトリの卵を生産している会社だ。

小矢部市の農場では、ニワトリをケージのない平飼いで育てている。

こちらの会社のSDGsの取り組みは、ニワトリが食べているエサに隠されている。

仁光園・島哲哉さん:
こちらです。酒粕です

リポーター:
いい香りがしますね

仁光園・島哲哉さん:
喜んで、すごく食べます

この酒粕は、砺波市の若鶴酒造から提供されているもの。年々消費が減少していた酒粕の有効利用として、2年前に始めた。

年間を通して生のままの酒粕をニワトリに与えている。その名も「ちどりたまご」。

地元の酒蔵の酒粕と富山県産のお米を食べて育った、まさに富山ブランドの卵だ。

甘みとうま味たっぷりの卵に

仁光園・島哲哉さん:
生のまま与えることにこだわっていて。酵母や麹菌が生きたままお腹の中に入ると、腸内環境がよくなって健康になる。お米を主原料にしたエサで卵に甘みが出て、酒粕で旨味がプラスされる。たまごかけごはんなどで、素材の味を楽しんでいただけるようになる

島さんには、SDGsの取り組みを通して実現したいことがある。

仁光園・島哲哉さん:
一昔前は、農家の庭先でニワトリや牛や豚を飼っていて、それぞれの地域で出てきた未利用物をあげていた。この未利用物をさらに価値ある物に変えることが、畜産業の1つの役割

「もったいない」から見えてきた食材の魅力の再発見。これから大切にしなければならない循環型社会のあり方だ。

(富山テレビ)

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