35年間勤務、家族の評価は「仕事熱心でかっこいい」

地域の安全と安心のために活躍したとして、2021年の「広島県民の警察官」に表彰されたのは、人身安全対策課の警察官だった。卓越したコミュニケーション能力を持つ捜査のプロに迫る。

2021年12月24日に行われた「広島県民の警察官」の表彰式。広島県警に所属する警察官の中から選ばれたのは、大川敬史警部補だ。

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大川さんは警察官として35年間という長い間、がむしゃらに働いてきた捜査のプロ。しかし、休日のその姿は大好きな孫をあやす、ごく普通のおじいちゃん。

大川さんの妻:
(仕事の)愚痴とか言ったこと一度もないので。好きで一生懸命がんばっているんだなと、誇りに思います

大川さんの娘:
昔からお父さんは「かっこいい存在」という感じだったので、お父さんがしていることを全部まねした

優しい言葉で不安を引き出す 相談者に対するルール

大川さんは、これまで刑事として数多くの凶悪事件を検挙するとともに、暴走族を撲滅させるなど県内の治安維持に貢献し、その功績が認められた。

大川さんは現在、広島県警人身安全対策課に所属し。ストーカーやDVを受けた被害者の相談を受けている。きょうも広島県内を車で走り回り、相談者のもとへ向かう。

大川敬史警部補:
あれから変わったことない?

相談者:
今のところないです

大川敬史警部補:
よかったよかった。そこね、私は心配だからね

相談者は県内に住むAさん。ストーカー被害を受けた女性の関係者だ。自分にも被害が及ばないか不安を抱えている。

相談者:
ずっと心配です。これからもうずっと(犯人を)考えながら生きて行かなくてはいけないのか。(犯人が)いつ来るかわからないし

相談といっても、ただ話すだけではない。大川さんには大切にしているルールがある。

大川敬史警部補:
(被害者は)不安を持っておられるので、できるだけ優しい言葉で。相手がどういう不安を持っているかは引き出して、それを聞いてあげる。相手の気持ちを聞いてあげるところを意識しています

“心配りができる取り調べ”を続け…更生した犯人から感謝の手紙

大川さんがコミュニケーション能力を身に着けたのは、22年間取り組んだ「取り調べ」のおかげ。

取り調べとは、逮捕した容疑者から、警察が事件の内容を聞くことを言う。ドラマや映画でよく見かける取り調べだが、相手を脅すような怖いイメージを持つ人も多いだろう。

大川敬史警部補:
私も警察官になった当初、刑事さんってすごく怖いんだと思っていた。お前何やってるんだ、ドン!と

しかし、大川さんが初めて見た実際の取り調べは、そのイメージをガラリと変えた。

県警人身安全対策課・大川敬史警部補:
犯人ですから、法にふれる悪いことをしている。その犯人に対しても心配りができる。それで改心させる、反省させる。すごいな、私もそうなりたいと思いました

これをきっかけに“心配りができる取り調べ”を追求した結果、更生した犯人から感謝の手紙が届いた。

そこには「大川さんが言われたように、この機会に自分を変えていこうと思います」「今度会うときは私がいいことをしてお会いしましょう」との言葉があった。

犯人からも慕われる、大川さんが目指す警察官とは…。

大川敬史警部補:
人の悲しみを知る警察官。そうすれば、それぞれのことに対して、その人の立場になって対応できると思います

きょうも大川さんは、相手の心に寄り添いながら相談へ駆けつける。

(テレビ新広島)

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