沖縄・宜野湾市の普天間第二小学校の近くにある排水管を通って、米軍基地から有機フッ素化合物・PFASを含む汚染水が排出されていたとみられる問題。
このことを受けて、土壌調査などを求める声が日増しに高まっている。
PFOS・PFOAは国際条約で製造・使用が禁止
米軍が使用してきた泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物、その総称がPFAS。
この記事の画像(15枚)発がん性や子どもの成長への悪影響が指摘されていて、PFOSやPFOAは国際条約で製造や使用が禁止されている。
その汚染物質が普天間第二小学校からわずか250メートルの場所で、国の暫定指針値の576倍もの高濃度で検出されていたことが、フリージャーナリストのジョンミッチェルさんが入手した資料で明らかになった。
普天間第二小学校 知念克治校長:
早めにPFOSが流れたのか調べてもらって、その対応を、これから子どもたちの未来を汚さないためにもぜひ調査してほしい
2021年12月14日、市民の有志でつくる宜野湾ちゅら水会は、宜野湾市教育委員会に対し、過去に度々、普天間第二小学校のグラウンドに雨水が流れ込んだ事が確認されているとして、早急な土壌調査を求めた。
宜野湾市教育委員会 知念春美教育長:
2002年の頃は、大雨のために普天間基地内から雨水が、擁壁を超えてグラウンドに流れていました
知念教育長は、2004年に基地内での排水工事が完了し、小学校への排水の流入はなくなり、2008年から2011年にグラウンドの改修工事を行ったとした。
宜野湾市教育委員会 知念春美教育長:
汚染された土壌が今なお残っているというのは、到底考えにくいことだと私は思っています。12年間、普天間第二小学校で勤めていた私の健康被害が一番気になるところでございますが、いたって元気でございます。そのことについては私は杞憂だと思っております
1リットルあたり2万7000ナノグラムが検出されたのは、2016年の調査の結果。これは、グラウンドの改修工事が行われた後の事だ。
宜野湾照ちゅら水会 照屋正史さん:
少なくとも(改修工事)の時点では、PFOSという物質を意識した工事ではない。口頭で安全と言われても、不安な気持ちは父兄の皆さんも解消できない
これについて県は…
県環境保全課 玉城不二美課長:
普天間第二小学校のグラウンドの土壌調査につきましては、宜野湾市教育委員会や普天間第二小学校の関係者の意見も聞きながら判断していくことになります。(要望が)直接来ていませんのでコメントできないなと、調査することはやぶさかではないけれど
PFOSとPFOAは、長期にわたり晒された場合に毒性の懸念があるとして、法律(化学物質審査規制法)で第一種特定化学物質に指定されている。
国は2020年に飲み水や地下水などについての指針となる値を策定したが、土壌に関しては設けていない。
「地方自治体が声をあげることが重要」
こうした中、PFAS研究の第一人者である京都大学の小泉昭夫教授は、大阪府の吉村知事は国に土壌の指針を示す事など求めているとして、地方自治体が声をあげることが重要だと強調した。
京都大学 医学研究科 小泉昭夫名誉教授:
国はやらない理由として市町村から要望がないというのを挙げておりますので、デニー知事もそういう働きかけを吉村知事と一緒になってやっていただければ、国も動くと思います。
小泉教授は、土壌調査の技術は確立されているとして、合わせて血液検査を行う必要性を訴えた。
京都大学 医学研究科 小泉昭夫名誉教授:
血液というのは体に入ってきた総量を表すものだから、グラウンドとか農産物とか水道水、全部あわせていますので、(血液検査は)大事だと思うんですね
学校に子どもを通わせる母親たちは、多くの人に関心を持って貰い、行政を動かす力にしたいとコミカルな動画を作った。
母親1:
うーんピーマン? ピーナッツ?
母親2:
違う違う。PFOS、PFOA。発がん性があったり、子どもたちの発育や妊婦さんに悪影響を及ぼすって言われているんだよ
母親3:
子どもたちのことだからね、ちゃんと調査して安全ってわかったら安心さあね
動画は、オンラインで2021年12月24日から配信されている。
#コドソラ 宮城智子さん:
こういう状況なんだということを気づいてもらって、こういうの声をあげていいんだぁっていう気持ちになってもらえたら嬉しいなぁって思います
子どもたちの健康を守るために、市民と行政がともに行動することが国を動かす力になりそうだ。
(沖縄テレビ)