ストリーム配信やダウンロードが主流の音楽業界において今、現代アーティストがレコードで新譜を出している。
中高年の世代だけでなく、若者たちにも見直されているというレコードの魅力とは?

よみがえる思い出…レコード鑑賞会は好評

11月、福井・坂井市の東十郷コミュニティセンターで開かれた「懐かしのレコードを聴く会」。
センター長がDJとなって、住民からのリクエスト曲を次々にかける。

懐かしのレコードを聴く会(福井・坂井市)
懐かしのレコードを聴く会(福井・坂井市)
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同センターでは2020年にアンプやスピーカーなどが寄付されたことをきっかけに、住民から家に眠るレコードを募集して、2021年5月に1回目のレコード鑑賞会を開催した。

好評を博したことから、今回は福井市の河合公民館が所有する約1,500枚のレコードを借りて、イベントを開いた。

参加者:
これ誰? 橋幸夫? 大好きやった。「雨の中の二人」、わー、これいいわ!

雨の中の二人(橋幸夫 昭和41年)
雨の中の二人(橋幸夫 昭和41年)

チリチリとした独特なノイズも、レコードの魅力の一つだ。
迷いながらリクエスト曲を選ぶ住民たち。
たくさんのレコードジャケットを見ているだけで、思い出がよみがえるようだ。

参加者:
一番最初に買ったのは「高校三年生」かな、舟木一夫の。(当時)高校1年生だった。年がバレるね。みんなが買いに行った

参加者の中には、今でもオープンリールのテープで音楽を聴いているという男性もいた。

参加した男性:
レコードの魅力は音の奥行き、奥が深い。CDは音はいいけど、ふわっとしていて重みがない

6時間で約70曲のレコードをかけ、会場は深みのある音と懐かしいメロディーに包まれた。

東十郷コミュニティセンター・長谷川義彦センター長:
レコードはアナログの世界。ものが目の前で回っていて、そこから音が出てくるというのは楽しさ、うれしさがある。人間らしい感じがするので、そういった中で皆さんがレコードを懐かしんでもらえれば、それでいい

人気アーティストもレコードで新譜をリリース

レコードを楽しんでいるのは、中高年だけではない。
ピアノが趣味の福井・あわら市の宮永佳美さん(26)は、自宅でレコードを聴く時間を大切にしているという。

レコードを楽しむ宮永さん
レコードを楽しむ宮永さん

レコードに針を落として、音が鳴る瞬間が好きという宮永さん。
1年ほど前から、インディーズバンドが新譜として発売するレコードを聴き始めた。
音楽にじっくりと向き合い、作品として味わうことができるのも大きな魅力のようだ。

宮永佳美さん:
レコードで聴くと、Spotify(スポティファイ)のようなストリーミングサービスで聴くよりも奥行きがあるし、聴こえない音も聴こえてくる

宮永佳美さん:
ジャケットが大きいのがかわいいし、歌詞カードもデザインも楽しめる。レコードの方が、作品としての魅力が高いと思う

福井市の雑居ビルの一室にある書店「HOSHIDO」。宮永さんがレコードに出会ったという店だ。

書店「HOSHIDO」(福井市)
書店「HOSHIDO」(福井市)

こだわりの古本が並ぶこの店は、音楽にもこだわりが強く、担当スタッフが厳選したレコードが人気となっている。
扱うのは中古のレコードではなく、人気アーティストやインディーズバンドが新しくリリースしたレコードばかりだ。

宮永佳美さん:
きょうは元気な曲聴きたいなと思ったら、「明るい系のいい曲ありますか?」みたいな。何か言ったら、“それっぽいの”を探してくれる

店では初対面の客同士、レコードの話題で盛り上がることもある。

宮永さんと意気投合した20代の女性客:
デジタル音よりアナログな昔の音楽にも触れられるし、今の人たちもレコードで良い音を聴けるのがいい

レコードの魅力について語る女性
レコードの魅力について語る女性

大きなジャケットを手に取り、針を落としてその音色を聴く…。
中高年が懐かしむレコードが今、若者世代には新たな魅力として受け入れられている。

(福井テレビ)

福井テレビ
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