2021年も、残すところあとわずか。この時期に申し込みが集中する「ふるさと納税」。
ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付すると、自己負担の2,000円を超える額について、所得税や住民税の還付・控除が受けられるもの。
多くの自治体が、寄付額に応じたその地域ならではの返礼品を用意していて、人気となっている。

このふるさと納税、申し込みの際には「偽サイト」に注意が必要。

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納税なのにセール?「ふるさと納税」の偽サイトに注意

冬の味覚の王様・ズワイガニや、「酒造りの神様」が造った日本酒、のと鉄道を走る列車の運転体験まで、どれも県内の「ふるさと納税」の返礼品。

多くの自治体が、地域ならではの返礼品を用意していて、この時期は1年の中でも申し込みが集中する。

金属を彫り、そこに別の金属をはめこんで模様を描く、石川の伝統工芸・加賀象嵌。

この道20年の笠松加葉さんは、加賀象嵌のアクセサリーや茶道具を作っていて、金沢市のふるさと納税返礼品にも選ばれている。
しかし…

笠松加葉さん:
時期的にふるさと納税(の注文)が入ってくる時期なので、ちゃんと載っているかなってネットで調べてたんです。そうすると、ふるさと納税がセールになっているものがあって、その中に私の作品も入っていて、ものすごく安くなっているんです。
ふるさと納税って、納税なのにセールになることがあるのかなって、ちょっと不思議になって調べたら、「ありえない」と。全部それは偽サイトだった

実際の偽サイト…本物との一番の違いは

実際に笠松さんが見つけた、「ふるさと納税」の偽サイト。
一見、本物のサイトとそっくりだが…作品の紹介文には、よく見てみると間違いが。
一番の違いは、価格が大幅に値下げされていること。
金沢市に問い合わせ、これらのサイトが偽物であることを確認した笠松さん。

笠松さんが見つけただけでも、こうした偽サイトが11にものぼったという。

笠松加葉さん:
私自身、悪いことをしているわけじゃないんですけど、それを信じて届かなかった場合に、私に対しても悪い印象を持たれるんじゃないかという恐怖はありますね

偽サイトのほとんどは電話番号が記載されておらず、メールで取材を申し込んでも返信はなかった。

笠松さんが見つけた偽サイトの中で、唯一載っていた電話番号に連絡してみると
以下、電話でのやり取り。

記者:
株式会社クラフトさんですか?

相手:
いえ違います。違う会社です

つながったのは、ウェブサイトとは全く関係のない会社。
載っていた住所も、実際には存在しないことがわかった。

納税なのに…割引や値引きうたうサイトは「詐欺」

ふるさと納税の偽サイトについて、サイバー犯罪に詳しい専門家は…

甲南大学 園田寿名誉教授:
2、3年前から問題になっています。返礼品がブームになってきて、その影響であっちこっちに偽のサイトができて、詐欺を働く。そういうのが多くなってきている

園田寿名誉教授は、こうした詐欺の背景には、ふるさと納税に対する利用者の間違った認識があるという。

甲南大学 園田寿名誉教授:
ふるさと納税がブームになって、世間は誤解して返礼品を買うかのように錯覚しているわけです。実際は購入ではなくて寄付なんです。割引や値引きをうたい文句にしているサイトは間違いなく詐欺です

応援したい地域に寄付をして、魅力ある返礼品を受け取れるふるさと納税。
偽サイトにだまされないために、正しい知識を持つことが大切。

県警は、ふるさと納税の偽サイトによる県内での具体的な被害は把握をしていないが、「ふるさと納税の申し込みは自治体のホームページに掲載されているサイトから申し込みをしてほしい」と注意を呼びかけている。

例えば、金沢市の場合は市のホームページにふるさと納税の申し込みサイトが掲載されている。
申し込む場合は、ここからサイトを選ぶようにして、値引きがされているような偽サイトには十分注意が必要。
また値引き以外にも、振込先の口座が個人名になっている場合も、偽サイトの可能性が高いという。

偽サイトを利用すると、商品が届かなかったり、個人情報が悪用される可能性があるため注意してほしい。

(石川テレビ)

石川テレビ
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