お正月の遊びで、昔ながらの定番といえばカルタ。新潟・長岡市には、百人一首に夢中な子どもたちがいる。
コロナ禍で県大会が中止となる中、独自の大会を開いた。
子ども対象の百人一首クラブ…コロナ禍で中止になった大会を独自で
この記事の画像(14枚)言葉に反応して、文字の書かれた札を取り合う“百人一首”。
長岡市で、2021年4月から子どもを対象に活動を始めたのは、百人一首クラブ「レッドキャッツ」。
メンバーからは、「練習を重ねると、早くなるので楽しいです」「負けたり勝ったりすることで、成長していくのが楽しい」などの声が聞かれた。
指導するのは、小学校の教師でもある池上純之さん(43)。
レッドキャッツ 池上純之さん:
瞬間的に覚えることを繰り返すことで、集中力や記憶力、目での(情報)処理が上手になる
使用するのは、子どもが親しみやすいように100枚を5色に色分けし、色ごとに20枚ずつで勝負を行う“五色百人一首”。
京都で教師をしていた池上さんは、10年近く、この五色百人一種の強豪チームを指導。
その池上さんが2020年に長岡市に引っ越してきたことから、保護者が提案し、このクラブが結成された。
レッドキャッツ 長谷川奈々代表:
運動が得意な子どもは、いろいろな大会で力を発揮する場がある。運動が得意ではない子どもでも、競えたり、力を発揮する場があるといい
練習前、子どもたちが組み立てていたのは…
レッドキャッツ 池上純之さん:
新型コロナウイルスの飛沫(ひまつ)対策に、100円ショップの材料で、ついたてを作った
短い時間で札の配置を覚え、声に反応していく。一瞬が勝負の百人一首。
池上さんの指導は、“勝敗”にこだわる。
レッドキャッツ 池上純之さん:
「悔しいから、きょうから練習」とか、次に向かって頑張る気持ちになってほしい。生きる力というか、これから人生を切り開いていく力がつくと思う
そして練習後には、みんなで体を動かすことも大切にしている。
レッドキャッツ 池上純之さん:
ストレス発散もあるけど、腕の力・体の力がつくように
百人一首で子どもの心と体の成長を願う一方、残念なニュースが…
レッドキャッツ 池上純之さん:
県の大会がなくなって、子どもたちが、がっかりしている
秋に予定されていた五色百人一首の県大会が、2021年は、新型コロナウイルスの影響で中止になった。
レッドキャッツ 池上純之さん:
みんなが活躍する場をなくしてはいけない
保護者と池上さんは、中止になった県大会の代わりに独自の大会を計画。
保護者からは、「子どもたちの目標がなくなってしまうので、小さくても大会という形で機会を設けたい」「目標が1つあれば気持ちも違うと思うので、みんなで成功させられたらと思います」などの声が聞かれた。
オンラインで遠方の相手とも対戦可能に
小学2年の遠藤成輝くん(7)は、大会に向けて、自宅でも弟と札を早く取るための練習を重ねていた。
遠藤成輝くん:
大会の目標は、上級生に勝つこと
一方、自宅でパソコンに向かうのは、小学2年の原美咲ちゃん。
新型コロナウイルスをきっかけに、池上さんはオンラインでの練習も始めていた。
レッドキャッツ 池上純之さん:
コロナ禍で、練習がしにくい子たちもいると思いますし…
ライブ映像で札を映しながらの対戦では、こんなことも可能に。
美咲ちゃんが対戦していたのは、京都で池上さんが指導していた女の子。
レッドキャッツ 池上純之さん:
距離を超えられる。京都に行けと言われても行けないけど、オンラインでは出会うことができる
独自の大会に向けて頑張っていたのは、子どもだけではない。
保護者も協力して大会のチラシを県内の小学校に配布したり、100円ショップの商品を組み合わせた飛沫防止用具を用意。
レッドキャッツ 池上純之さん:
(保護者も)一緒に協力してくれるのが、楽しくて助かる
大会は保護者からの「クリスマスプレゼント」に…
そして、迎えた大会当日。
子どもと保護者が協力しながら、会場設営にあたる。
大会は、関係する全員が高性能なマスクに付け替え、試合に参加する子どもは個別に除菌シートを携帯することで、感染症対策を徹底。
16人で競う小さな大会となったが、小学6年の浜村悠菜さん(12)は、兄の直さんと京都から参加。
悠菜さんは、原美咲ちゃんがオンラインで対戦していた相手で、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることから、大会に参加することになったという。
直接2人が顔を合わせるのは初めて。
浜村悠菜さん:
今までは、ずっとオンライン上だったので不思議な感じがしますね
原美咲ちゃん:
ずっと対戦したい相手だったから、うれしい
“子どもの目標に”と計画した大会は、保護者からの少し早いクリスマスプレゼント。
オンラインで練習していた美咲ちゃんは、青色部門で優勝した。
原美咲ちゃん:
金メダルを取れてうれしかったです。もっと取りたいと思いました
自宅で早取りの練習をしていた遠藤成輝くんは、緑色部門で惜しくも銅メダル。
遠藤成輝くん:
(銅メダルは)まだまだだなと思っているので、もっと練習をして、次は優勝したい
レッドキャッツ 池上純之さん:
新潟県での第一歩。来年やるとしたら、2倍・3倍の人数を集めて、みんなでやれたらいいなと思っている
みんなの協力で開いた小さな大会。
“悔しさも成長に”、小さな札に込める思い。
(NST新潟総合テレビ)