「皇后さま、58歳の誕生日。母として愛情を注がれた20年」について社会部の宮﨑千歳記者に解説頂く。

社会部・宮﨑千歳記者:
12月9日に58歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま。その直前に長女の愛子さまが二十歳になられ、成年の行事を行われたところでしたので、2021年は愛子さまの母としての面にも注目が集まった。ご感想の中で「20年間は長かったようにもあっという間だったようにも感じられます」と心境を明かされていた。

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その20年間のスタート、待ち望んだ愛子さまが誕生された際の会見の映像では…

雅子さま:
生まれてきてありがとうという気持ちでいっぱいになりました。今でもその光景ははっきりと目に焼き付いております。生命の誕生。子どもっていうのは変な言い方ですけど、本当に生きるためにそして親に愛されるべくして生まれてくるんだということを強く感じました

本当にこの言葉通り、雅子さまの20年間は、まさに愛子さまに愛情を注がれた月日だった思う。

12月は行事で多忙だった雅子さま

そして迎えた12月は1日が愛子さまの誕生日、5日は愛子さまの成年行事、そして9日はご自身の誕生日と大事なイベントが立て続けで大変お忙しい日程だった。

誕生日に関する映像は通常2週間ほど前に撮影されるが、今回は5日まで愛子さまの行事の準備で忙しくされていたため、本当に誕生日ギリギリの5日の夜のタイミングでの撮影となった。

体調に波がある中でその体調を整えながら、娘の節目の日の準備をセットして、その行事が終わると今度は、ご自身の誕生日の準備に取り組まれる、相当ハードな日々だったのではないかと思う。

誕生日の当日の映像では、上皇ご夫妻のお住まいへ向かわれる際、本当に晴れやかな笑顔をされていた。

この日の行事では、とても穏やかな笑顔で、愛子さまのご成年行事を終えて本当に安堵されたご様子だったという。無事にその愛子さまの二十歳の儀式を終えた安堵の影には、やはり天皇陛下の存在があった。

雅子さまと天皇陛下の20歳を振り返る

その背景を両陛下の20歳の頃の振り返ることで、ひも解いていきたい。

まず雅子さまは20歳の頃、アメリカの名門中の名門ハーバード大学の経済学部に在学中。卒論のテーマは「輸入価格ショックに対する外的調整 日本の貿易における石油」。優秀な学生に与えられる賞を受賞された。実際に使っていた辞書をみると、勉強に打ち込まれていたことが分かる。

一方、天皇陛下の二十歳の誕生日はと言うと、成年式が行われ、青年の証として冠を授けられる「加冠の儀」という儀式が行われ、陛下は御装束の姿だった。

昭和天皇に成年の挨拶をする「朝見の儀」は燕尾服で臨まれていた。

こうしてみると、お二人は本当に全く違った立場で20歳を迎えられていた。つまり雅子さまにとっては皇室でお生まれになった愛子さまの2つの行事というのは全く未知のものだった。それだけに陛下に相談される機会も多かったと思う。

結婚10年にあたっての文書で雅子さまは「子供を育てていく上で私がいろいろと迷った時に、皇室の中でお育ちになった皇太子さまが、良きお父様として確かな手で導いてくださると信じられる」と綴られている。この文章から陛下に全幅の信頼を寄せてご夫婦で協力して子育てに取り組まれてきたことが分かる。

雅子さまが大切にされた「ユーモアと気配り」

そんな両陛下は、さまざまな困難をこれまで乗り越える中で、実はユーモアと気配りというのを大切にされてきた。

先ほどの結婚10年の文書回答の結びには「今日はすべての質問への答えをまとめることが難しく感じられ、試験で落第点を取った夢を見そうな気がしています」と書かれていて、とても勉強熱心な皇后さまらしいユーモアだと思う。

また雅子さまがご結婚後初めてお1人で臨まれた記者会見ではご夫婦での時間について…

雅子さま:
思いやりの気持ちを大切にして、そしてユーモアを忘れず明るく過ごしていかれるようにというふうに思っております。

さらにこの2年後の記者会見では夫婦円満の秘訣を問われると…

雅子さま:
よく夫婦げんかは犬も食わずと申しますけれども喧嘩の種はわりとよく拾って食べているような気がします

ユーモアのある回答で返され、会場は笑いに広がった。

こうして皇后さまのユーモアが場を和ませる場面をこの会見以外でも何度も拝見してきた。皇后さまが笑顔になると、陛下も、とても嬉しそうな笑顔をされて、それが周囲にも笑顔の連鎖になって話が広がっていくというのは、おそらくご公務でもご家庭でも同じなのではないかと思う。

愛子さまがバレンタインなどに職員にお菓子を配られているというエピソードをご紹介したが、実は皇后さまも「これは陛下から」などといった形で、職員に差し入れをされているとのこと。差し入れの気配りが母から娘に受け継がれて、愛子さまのそうした思いやりを嬉しく感じていると思う。

今後の皇后さまについては、まだ体調には波がおありで、2022年の新年のビデオメッセージに同席されるのか注目されている。

愛子さまが成年皇族として立派に成長されたということは本当に皇后さまにとって大きな励みになられていると思う。

その愛子さまを見守られながらこれからも一歩一歩回復に向けて進んでいかれるのではないかと思う。
 

(「イット!」12月14日放送分より)