今年話題になった言葉に贈られる「流行語大賞」が1日に発表され、年間大賞にはエンゼルス大谷翔平の投打での活躍をたたえる「リアル二刀流/ショータイム」が輝いた。
一方で、エンゼルスは今オフにレッズからFAとなった二刀流のマイケル・ローレンゼン(29)を獲得、早くも大谷との“二刀流コンビ”が期待される。
この記事の画像(11枚)そんな日本で今、最も輝く国民的スーパースター大谷について「二刀流」の生みの親で、侍ジャパン新監督に就任した栗山英樹氏(60)に会見直後「スーパースターの育て方」を聞いた。
恩師が選ぶ「ショータイム」
二刀流時代へと導く、スーパースター大谷翔平の最初の道筋を開いたのは、日本ハム前監督の栗山英樹氏だ。大谷に二刀流を提案し、プロ入りから5年間指導した恩師に、まずは流行語大賞となった「ショータイム」にちなみ、今季の大谷のベスト「ショータイム」を一つ選んでもらった。
「大谷翔平のショータイム?今年、リアル二刀流になる時のあのホームランはやっぱりすごく印象深いですね」
恩師が挙げたのはメジャーで初めて「リアル二刀流」(投打同時出場)を解禁した4月4日のホワイトソックス戦だった。
「2番・投手」で出場した大谷は初回に160キロを連発すると、その裏には飛距離137mの豪快な本塁打を放つ。
“野球の神様”ベーブルース氏以来100年ぶりの本格的な「二刀流」誕生の瞬間だった。
飛躍の秘密「あえて難しい宿題」
実はこの1試合に、日本時代と重なる飛躍へのカギ、「スーパースターの育て方」があったと恩師は語る。
「元々(日本時代から)翔平って3年目までは投・打を一緒にやると全然打たなかったんですよ。投げている時は全然違う翔平。“バッター大谷”が出てこない。『それはなんでだ?』という話をずっとその頃していたんですけど、投げる方も打つ方も“もやもや”している感じでした」
大谷は日本時代、DH(指名打者)制度を採用するパ・リーグでプロ3年目まで投手として打席に立つことがなかった。ピッチャーとバッターの投・打での同時出場は交流戦のセ・リーグとの試合のみ。打率はわずか1割5分4厘(13打数2安打)だった。
「翔平って宿題が大きければ大きいほど、やらなければいけないことが難しければ難しいほど、能力が引き出される選手であることは間違いないので、リアル二刀流へ移行、DHを解除するのを決めました。楽天戦なんですけど今でも覚えています」
二刀流としての開花を期待した栗山監督が下した決断、それがパ・リーグでの「リアル二刀流」の解禁だった。
「リアル二刀流」解禁
2016年5月29日、敵地での楽天戦。
プロ4年目にして初めてDHを解除し「6番・投手」で出場すると、投げては7回1失点6奪三振の好投、打っては3安打1打点のフル回転で勝利投手になった。
これを皮切りに大谷はこのシーズン、プロ野球史上初の「10勝・100安打・20本塁打」を記録し、MVPを獲得した。
舞台を変えメジャーでも「リアル二刀流」の解禁をきっかけに、ア・リーグMVPという最高の「ショータイム」を披露した。
奇しくも日米ともに4年目のシーズンで「あえて難しい宿題を与える」、それがスーパースターの育て方だった。
「エンゼルスのマドン監督も本人も安心したと思うし、その光景というのは想像がつくので良かったなとその時は思いました」
2021年は「大谷翔平元年」
そして、来季に向けすでに動き出している愛弟子へ、恩師から期待へ込めたメッセージを贈った。
「大谷翔平元年と僕はとらえています。初めて体のことを気にしなくて準備してシーズンに臨めたのが今年だと。結果が出ていない打席、結果が出ていない登板とか、もっとやれることがあると思えば、もっと数字もチームに貢献ができる。まだまだ行きましょう」
まさに2021年の象徴となった大谷。
「大谷翔平元年」を経て挑む2022年新シーズン、そして2023年に開催されるWBCでの恩師と愛弟子の“コンビ復活”に世界中の期待が高まる。
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