新潟県内で唯一、司法解剖などを行う死因究明教育センター。
常勤の解剖医はたった2人と、日々仕事に追われる中で、遺体の最後の声に耳を傾け続ける思いを追った。
新潟大学大学院・高塚尚和教授:
人が亡くなるまで、例えば首を絞めたときに、どのくらいの時間で、どういう経過で死がもたらされるのか
![法学部への講義を行う新潟大学大学院・高塚尚和教授](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/e/700mw/img_2ea32194445df8f9592fb82483ef453d357299.jpg)
医師で新潟大学大学院の高塚尚和教授がこの日、オンラインで行っていたのは、医学部ではなく“法学部”への講義だ。
新潟大学大学院・高塚尚和教授:
意識は“呼吸困難期”の途中まではある。“意思”を持って続けないといけない。殺害するためには、その行為を続けなきゃいけないということも理解していただければ
![講義を行う新潟大学大学院・高塚尚和教授](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/700mw/img_f0d0c71855d7212faa8598f589808dea347837.jpg)
新潟大学大学院・高塚尚和教授:
法学部出身の方というのは、法曹関係、あるいは警察関係に就職する方が多いと思う。そういったときに刑事に関わると、“法医学”の知識というのは必要になってくる
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法医学教室に設置され、新潟県内で唯一、司法解剖などを行う死因究明教育センター。
教育や研究に加えて、事件・事故・孤独死などで亡くなった人の身元や死因を調べている。
![死因究明教育センター](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/c/700mw/img_0c78262781d0833057a878cacbb74799249047.jpg)
常勤の解剖医は、センター長を勤める高塚教授のほかにもう1人、舟山一寿助教だ。
新潟大学大学院・舟山一寿助教:
きょうの場合は、身元不明というか、“多分、この人だろう”というのはいて、本当にその人かどうかを確認するというところの意味合い
![新潟大学大学院・舟山一寿助教](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/d/700mw/img_1d4f3b78f88c4fc7e2070c09d7168835236637.jpg)
県内における解剖は、すべて2人で担っている。
医師の中でも少なく、全国で150人ほどとされる解剖医。
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中でも、医師の偏在指標が全国で最下位とされる新潟県は、解剖医の確保も大きな課題となっている。
新潟大学大学院・高塚尚和教授:
基本的には人が足りない。従事している人間が。マンパワーをどうやって得るのかということ、それが一番の課題
![新潟大学大学院・高塚尚和教授](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/e/700mw/img_6e6802dd910f2b71f3d76a2c9b152001284325.jpg)
“日が当たらなくても…「少しでも役に立てれば」
別の日、半日で立て続けに2体の解剖が入り、舟山助教が担当することになった。
解剖室にこもった時間は、約6時間。解剖が終わる頃には、辺りは暗くなっていた。
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新潟大学大学院・舟山一寿助教:
体力というよりも、複雑なものだと、いろいろ考えながらやらなきゃいけないので、それが結構大変かもしれない。警察に出す鑑定書をきょう書ける分は書いて終わる。書き始めるのは午後8時とか9時。“きょう中”に終わればいいかなという感じ
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この日、舟山助教が大学をあとにしたのは、午前1時を回った頃だった。
日々、仕事に追われる舟山助教だが、家に帰れば4児の父親だ。
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舟山助教の長女:
かっこいいときは、かっこいい。(私が)小さい頃から、外に一緒に行ったりしたときに、呼ばれたりして、すごく大変そうにしているし、私は多分、なれないと思う
![舟山助教について語る長女](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/4/700mw/img_546b8b9026f05ca4bdd7cae55b349b32185325.jpg)
新潟大学大学院・舟山一寿助教:
良いこと言うね~
休みの日には、自ら料理をするなど家事を手伝う一方、いつ呼び出されるか分からないため、気を休めることはできない。
新潟大学大学院・舟山一寿助教:
われわれにスポットが当たるなんていうのは、あまり良い世の中じゃない。われわれに関わるような人というのは、どちらかというと不幸な目に遭っているような人が多いから…
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日の当たらない、解剖医の仕事。
新潟大学大学院・舟山一寿助教:
犯罪の見逃しを少なくして、ばれるというか、捕まってしまうというような、そういう世の中であるということが犯罪の抑止につながっているのかもしれない。そんなことを思ってやっているわけじゃないけど、ちょっとでも役に立っていれば、それはそれでいいのかなと
![解剖医の仕事への思いを語る舟山助教](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/700mw/img_9f255e20c070c522d380ae5f681a939e252411.jpg)
“最後の声”に耳を傾け…残された命を守る
誰が、なぜ死に至ったのか…。解剖医が耳を傾ける遺体の最後の声は、未来につながるケースもある。
職員:
あれ、血縁怪しい。絶対“当たり”だと思う
この日センターで話し合われていたのは、ある解剖で疑われた遺伝性の病気についてだった。
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新潟大学大学院・舟山一寿助教:
「遺伝することがあるから、ちゃんと調べよう」という話になっていないか聞いたら、「多分、そういうことはないと思う」とは言っていたけど…
職員:
多分、“共通する何か”が絶対にあるはず
死因で遺伝が疑われる場合は、遺族にその事実を伝え、専門の科を紹介するなどして、残された命を守る方向へとつなげる。
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新潟大学大学院・高塚尚和教授:
“事故関連”か“事故じゃない”かが分からない。交通事故だけど、どちらか特定しないといけない
連日入る解剖の依頼。高齢化で、今後さらに死者数が増えるとも言われる中、解剖医の役割とは…
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新潟大学大学院・高塚尚和教授:
(遺体からは)話してもらえないので、われわれがそれを見させていただいて、少しでも正確な、きちんとした死因を特定するということが求められていると思う
(NST新潟総合テレビ)