プチプチの食感とうま味が魅力的な「イクラ」。高級食材としても知られるが、意外な場所で堪能できる地域があると話題になっている。
それが、北海道東部に位置する標津町。ここでは学校給食に登場するという。標津町在住で教師をしているTwitterユーザー・NGさん(@nagi0467)が投稿した一枚がこちらだ。

白米を敷き詰めた丼の上に、イクラがこれでもかと乗せられていて、油断するとこぼれてしまいそう。飲食店で出てきても納得してしまうほどのボリューム感だ。
給食なのでもちろん、その他のおかずや汁物までついていたという。これにはNGさんも思わず「道東すごすぎ…」とコメントしていて、ネットでは「給食が食べられる年齢に戻って移住したいです…」などと、羨む声も相次いでいる。
今日の給食はイクラ丼です
— NG (@nagi0467) November 17, 2021
道東すごすぎ… pic.twitter.com/OwRimhW9gf
標津町のホームページによると、町内の給食は小学校が1食242円、中学校が1食272円で提供しているとのこと。ネットでも「給食費はいくらになるんですか?」との反応もあったが、イクラ丼はいつどんな時に食べられるのだろうか。

標津町は“鮭の聖地”だった
標津町学校給食センターの担当者にいろいろ聞いてみると、町の歴史が関係していた。
ーー給食でイクラが食べられるのは本当?
本当です。日本の記念日には11月11日に「鮭の日」というものがあり、標津町ではこの日を「ふるさと給食の日」として、年に一度、イクラが給食に登場します。イクラは標津町水産加工振興協会から無償でいただいていて、取り組みは1998年から始まり、2021年で24回目です。
ーー給食で提供するようになった目的を教えて。
地場の水産加工製品(醤油イクラ)を学校給食に無償で提供し、子どもたちに地元の基幹産業並びに特産品を再確認してもらうことを目的としているようです。標津町はサケの漁獲高が全国一を誇ったこともあり“鮭の聖地”とも呼ばれています。

ーーイクラはどのように提供される?
衛生面の関係もあり、提供するのはイクラを醤油漬けにしたものとなります。学級の人数に合わせて届けて、スプーンで取り分けて盛りつけるような形になります。

ーー味や風味はどんな感じ?
ほどよい塩加減で子どもたちも食べやすいです。鮮度が良いからなのかもしれませんが、一粒一粒に張りがあって生臭さも感じません。粒が口の中ではじけるような感じですね。
「鮭の日」の給食はまさにサケづくし
ーー11月11日の給食はどんな献立だったの?
2021年のメニューは、イクラ丼。サケのすり身汁。サケのザンギ。大根のサケ節和え。しべつ牛乳でした。サケのすり身汁は、漁業協同組合の女性部から提供いただいたすり身を醤油味の汁物にしたもの、サケのザンギは標津で獲れたサケを揚げたものです。

こちらでは産卵を終えたサケを「ホッチャレ」と呼び、いぶしてカツオ節のようにサケ節を作ることもあります。大根のサケ節和えはこれと知床大根を使っています。サケづくしの献立ですね。おかずがサケのみそ焼きなどになることもありますが、毎年ほぼこのようなメニューです。
ーーイクラは高価なイメージだが給食費は大丈夫?
イクラは提供されたもので無償です。その他のメニューを含めても、一般的な予算で提供できています。イクラが有料だったとすると、それだけでお値段になるかもしれないですね。
ーー子どもたちはイクラにどんな反応をしている?
子どもたちは大喜びで、教室から歓喜の声が聞こえます(笑)。毎年楽しみにしていて「今年は(イクラ)あるの?」と声をかけられたり、「たくさん盛ってほしい」という声も聞こえます。少数ですが、イクラが苦手な子もいるため「食べられる人だけ食べるように」ともしています。
普段の給食にもサケやホタテ料理が登場
ーー普段の給食でも変わったものが出たりはする?
標津町はサケの町ですが、ホタテと酪農も有名です。びっくりするようなものが出るわけではありませんが、サケ料理やホタテ料理は炊き込みご飯や煮物、パスタなどで毎月出ていますね。

ーーネットでは羨む声があるが、受け止めは?
そういってもらえると嬉しいですね。標津町ではサケに関する学習カリキュラムがあり、子どもの頃から産卵時期の学習や稚魚の放流体験などを学習していきます。地元を学び、大切にしているので機会があれば、来ていただけると嬉しいですね。

標津町は“日本一気風のいい町”を目指しているそうで、町民には毎年、サケやホタテ、バターが無料配布されるとのことだ。給食に豪華なイクラ丼が登場するのも納得の理由だった。