子どもに「勉強しなさい」という親ほど読書をしていない。

こんな調査結果が8日、総合教育サービス事業を手掛ける株式会社やる気スイッチグループから発表された。

調査は今年8月にインターネット上で「あなたとお子さまの『やる気』と読書に関する親子アンケート」として実施。対象は未就学児から高校3年生までの生徒とその保護者で、解答は全部で355件が寄せられていた。

読書を週1回以上する子どもは約半数

この中で読書習慣について尋ねたところ、週に1回以上の読書習慣がある子どもが49.0%だったのに対し保護者は31.5%で、比較すると17.5%も低かった。

また、子どもへの声がけについても質問したところ、「勉強しなさい」と常に言う保護者ほど、週1回以上の読書をしている割合が低く、「読んでいない」と回答した割合が高かったのだ。

(出典:やる気スイッチグループ)
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この結果を受けてやる気スイッチグループは、「子どもに『勉強しなさい』と声をかける前に、保護者自らが読書をする姿を見せることで、お子さまの読書や勉強へのやる気向上につなげられるかもしれません」とコメントしている。

なお調査では他にも、子どものおよそ4人に1人(23.1%)は毎日読書をしていることや、逆に本を1冊も読まない不読率が20.7%だったことも判明。

年齢別では、週1回以上の読書が最も多いのは未就学児(94.4%)、小学1年生(77.8%)、高校2年生(66.6%)の順で、最も少ないのは高校3年生(16.7%)だった。

(出典:やる気スイッチグループ)

また「これまでに読んで“やる気”が入った本」を尋ねたところ、「鬼滅の刃」や「ドラゴン桜」など漫画・コミック(33.0%)が1位で、2位がTV・アニメ関連本(21.6%)。3位は小説などの読み物(17.0%)、4位は図鑑・学習系の実用書(9.1%)と続いた。

(出典:やる気スイッチグループ)

この調査結果を見ると、大まかではあるが年齢を重ねるほど読書が減る傾向にあるようだ。

「勉強しなさい」は効果がない

それにしても読書をしていない親ほど、子どもに「勉強しなさい」と言うのはなぜなのだろうか?そして、この言葉にどれだけ効果があるのだろうか? また、子どもに勉強や読書をさせるにはどうすればいいのか?

やる気スイッチグループのシンクタンク「やる気の科学研究所」所長の庭野匠さんに聞いてみた。

――なぜ「勉強しなさい」と言う親ほど読書をしていない?

「勉強しなさい」という言葉は、「抽象的であり、その言葉だけでは何をすればいいのかわからない」「子どもに行動をしてもらうための親の能動的な関与が見られない」という2つの特徴があります。

1つ目の特徴については、自分(親)が読書や勉強をしている場合、もっと具体的に「今学校で何やってるの?この本のこのページからやってみようか」「この本面白いんじゃない?」のような、「具体的な投げかけ」をすることができます

2つ目の特徴についても、親が読書や勉強をしている場合、「一緒にやってみようか」という言葉が出てきやすいことがあるでしょう。

また「勉強しなさい」と言わなくてはならない背景には、親の期待ほどには子どもは勉強していない、という状態があります。子どもは、育つ環境の中で、好みを形成していきますが、その際、親の行動や好みも影響します。

つまり、親自身が勉強や読書を楽しんでいるような家庭環境でいない結果、「勉強しなさい」と言わなければならないような状況につながった、とも考えられます。


――「勉強しなさい」と声を掛けることに効果はあるの?

結論からいうと、効果はありません。やる気を出すためには、「自分で決めたと感じられる」ことが一つの重要な要素になります。そのため、「しなさい!」というよりは、「しなくていいの?」と子どもに問いかける方が、(子どもがやる気を出すために)有効と言えます。

また、やる気を出すためには、「自分にもできそうだ」と思えることと、「やったら効果がある」と思えることが重要で、「勉強しなさい」という言葉だけでは、そのどちらも満たしていません。

例えば、「中間テストは教科書の練習問題から8割が出題されるから、練習問題を解けるようになれば、前回は40点だったテストが80点になるよ。」「練習問題を数えてみると、全部で60問あるよね。1日30分で3問ずつ解いていけば、20日で終わるし、これならできそうじゃない?」というように、やる気を出すためには、具体的に声をかけてあげる方が有効です。


――他に、「本を読ませる」「勉強をさせる」ためにはどうしたらいい?

お子さんが好きな分野の本をすすめる、好きな物事に勉強を関連づける、本を読んだり勉強したりしたら褒めるなども有効といえます。

習い事や部活で読書の時間が減少

親がまず読書や勉強を楽しんでいないと、子どもはやりたいとはあまり思わないし、「勉強しなさい」という抽象的な言い方しかできないことが問題のようだ。

では別の調査結果で分かった、子どもが年齢を重ねるほど読書が減る傾向があるのはなぜなのだろうか? こちらは、やる気スイッチグループの個別指導塾「スクールIE」の教務担当者に聞いた。


――グラフをおおまかに見ると年齢が上がるほど読書が減るのはなぜ?

今回の調査では、未就学児や小学1年生が最も読書習慣があるという結果になりましたが、保護者の"読み聞かせ"が定着していることがよく分かります。また、全校一斉読書活動を実施している割合(H.28)は小学校で97.1%、中学校で88.5%、高校で42.7%となっています。このことから、小中学校では読書ができる環境があることが分かります。

しかし、小学校高学年や中学校で読書の冊数が減るのは、習い事や部活など他の活動で読書をする時間が減少したり、興味・関心のあるものを選んで読むことも原因と考えられます。高校生になると、中学校の時には読書をしていたが「他の活動等で時間がなかったから」「他にしたいことがあったから」という理由で読書から離れる傾向があり、中学校のときから「ふだんから本を読まないから」という理由もあるようです。

また、中学3年生と高校3年生は受験勉強の影響が考えられます。

小学2年生から3年生にかけて読書の頻度が減る理由について、習い事を始めて時間がない、保護者が子どもの読書に関わりにくくなる(時間がない、子どもが嫌がる、ページ数が増えるので読み聞かせが難しくなる、など)の影響があるのではないかと考察しています。

(出典:文部科学省)

文部科学省の「子供の読書活動に関する現状と論点」によると、本を読まない高校生は2016年で57.1%。読まない理由の1、2位は「他の活動で時間がない」「他にしたいことがある」で、3番目が「普段から本を読まない」だという。

「勉強しなさい」という抽象的な声掛けには意味がないようなので、子どもに勉強をしてほしいのであれば、まずは親である自分自身が本を読む習慣をつけることも大事なようだ。