LIVEカメラで"密"可視化

店内を可視化したライブ映像で密を回避できる飲食店の新たな提案。

東京・秋葉原のとあるパブ。
店内を見渡す位置にはカメラ。
さらにテーブルの下には箱形のセンサーが…。

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ぐるなび イノベーション事業部・伊東翔磨さん:
LIVEカメラというものとセンサーというもので混雑可視化をして、お店の予約状況というのを掛け合わせて、自動でクーポンを発出させています。

飲食店予約サイトの「ぐるなび」が東京都の推進する事業の一環として、15日から実証実験を始めた「AKIBA(アキバ)のアキバ」。

飲食店に設置したLIVEカメラが撮影した画像をAIが解析し、人物を特定できないシルエットにして、店の混雑状況を特設サイトにLIVE配信。

カメラがカバーできない席には人感センサーを設置し、正確な混雑状況をユーザーに伝える。

客:
コロナで混んでいるところは敬遠するので、空いているところだと嬉しいです。
(感染者が)減ってきたとはいえ、すいていた方がいいかなと。分かると便利。

空いている時間は「割引クーポン」配信

一方、店側にとっても嬉しい機能が…。
集客に役立てるため、店内のリアルタイムな混雑状況と予約状況に応じて、すいている時にだけ、自動で割引クーポンを配信する機能も備わっている。

HUB 秋葉原店 サブマネジャー 清水陽太さん:
少し暇なアイドルタイムとかにクーポンでお客さんの来店動機になればいいなと。客足が増えるのかなと思っています。

ぐるなび イノベーション事業部・伊東翔磨さん:
映像などでしっかりしているところを見せることで集客できるというのが今回のポイント。
混んでいる店、混んでいない店を自分の目で見て判断して欲しいです。

ぐるなびは、来年の1月下旬まで秋葉原の数十店舗で実証実験を行い、反応を見ながら今後の運営について検討するとしている。

プライバシーに配慮し店舗運営の強みに

三田友梨佳キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。
リアルタイムで混雑状況を可視化ということですが、どうご覧になりますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
混雑具合を確認してからお店に行けるのは顧客にとっては嬉しいサービスですよね。
感染を気にして混んでる店には行きたくない、行ったけど満員で入れないなどの失敗を防げるなど、顧客のニーズに寄り添って来店を促せるのは便利です。

いま飲食店が顧客の満足を満たすのが大変な中、今回の取り組みはひとつの答えになっていると思います。

三田キャスター:
外食をする機会を増やしている方も多い一方、 店舗側の深刻な人手不足が伝えられていますよね。

渡辺広明さん:
求人を出しても反応がない、または、時短要請となる可能性もあるため求人そのものをためらっている飲食店も多いんです。

これは日本に限らず世界も同様で、アメリカでは「倹約、ケチ」を表す「skimp」と、値上げを示すインフレーションを組み合わせた "スキンプフレーション"という言葉が使われはじめています。

人手不足のため注文がなかなかできないとか、頼んでも料理が出てくるのが遅いなど見かけや価格は以前と同じでも、サービスが低下しているので事実上の値上げ・インフレになっているということです。

三田キャスター:
人手については新しいテクノロジーの導入によってピンチをチャンスに変えることが求められているのかもしれませんね。

渡辺広明さん:
コンビニやスーパーなどの小売業に比べ飲食業界は顧客行動のデータ分析の遅れが指摘されています。

今回の動画を活用した試みによってデータの蓄積が進むと、来店時間や来店人数、店内の顧客分析ができて店舗運営の強みになってくると思います。

三田キャスター:
クリアすべき課題として上げられるものにどんなものがありますか?

渡辺広明さん:
例えば、動画の活用は情報量が多いのでマーケティング的には有効ですが、プライバシーへの配慮が欠かせません。
データ収集は顧客の満足を引き上げるためのもので、顧客の反発を招いてしまっては本末転倒です。

顧客ニーズに寄り添った店舗運営を心がけることが最も大切だと考えます。

三田キャスター:
感染拡大によって混雑を避けたお店選びの意識が高まっていますから、安心安全に外食が楽しめる環境が整うことは飲食店にとっても顧客にとっても新たな価値を提供することに繋がりそうです。

(「Live News α」11月15日放送分)