「旅するチョウ」と呼ばれるアサギマダラ。水色の羽は美しく、ステンドグラスのように透けているように見える。

南は台湾、南西諸島から北は北海道まで。春と秋に年2回、2000kmをも旅するチョウとして知られていて、この時期は福岡に飛来しているという。

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「もう一度見たい」と自転車でチョウ探し

人間を怖がりもせず、ひらひらと優雅に宙を舞う様子はまるでチョウの楽園。

まだ謎が多いこの不思議なチョウにすっかり魅了されてしまったのが、福岡県遠賀町に住む小学6年の新留かんなさん(11)。

新留かんなさん:
羽がボロボロだから多分、長い旅をしてきたんだと思う。かわいい、飛び方がふわふわしているところが好き

アサギマダラとの出会いは、かんなさんが5歳の時。旅行で訪れた大分県の姫島でのことだった。

その光景に心を奪われたかんなさん。「福岡でもアサギマダラを見たい」という衝動に駆られ、小学2年の時に自宅近くの片道2時間のサイクリングロードへ。自転車を借りて探したところ…。

新留かんなさん:
行きはアサギマダラを見つけることができなかったから、帰ろうと思って。自転車でこいで帰っている時、自分の目の前にアサギマダラが1頭、ふわーっと飛んできた

なぜ偶然アサギマダラを見つけることができたのか?その疑問を解くカギは「フジバカマ」という花にあった。

アサギマダラのオスは2000kmの旅の途中、特定の花の蜜を吸う習性があるが、かんなさんがアサギマダラを見つけたすぐ近くの海岸にも、やはり好物の花が群生していた。

この偶然の出会いをきっかけに、かんなさんの次なる挑戦が始まる。

チョウのためホテル敷地内に“旅の拠点”

――ここは何ですか?

新留かんなさん:
これは私たちが作ったアサギマダラ花園です

アサギマダラが好む秋に咲く花、フジバカマ。旅するチョウが立ち寄れる拠点を作れば、多くの人に見てもらえるのではないかと考えたのだ。

場所は、宗像市にあるロイヤルホテルの敷地内。10カ所ほどホテルにあたり断られ続けたが、最後に電話した宗像のホテルが、かんなさんの情熱を知り、3年前から土地の一部を無償で貸し出している。

ホテルではアサギマダラの問い合わせも増えていて、アサギマダラをイメージしたケーキもティーラウンジで味わえる(期間限定)。

父親の等さんのサポートを得ながら、かんなさんは水やりや次の春に向けた花壇の土作りに汗を流す。

――疲れない?

新留かんなさん:
腰が痛い…

――お父さんはどうですか?

父親・新留等さん:
ようやるなと思いますけどね。しょうがないね、みんなに見てもらうためやけんね

ネットでも情報発信…目標は?

学校がある日も休みの日も、世話を続けてコツコツ花の株を増やしていった。こうした努力が実を結び、2019年の秋に初めて8匹のアサギマダラが飛来。

そして、2021年の秋。かんなさんが育てたフジバカマの花壇はアサギマダラが集まる楽園になった。なんと毎日、100匹以上がやってくる。

新留かんなさん:
うれしいです

アサギマダラを見に訪れた人:
飛来してくるってことが、ずっと飛んでくる、それが素敵よね。いいことしてるね。どんどん増やしていったらいいね

アサギマダラを見に訪れた人:
こんなたくさん飛んでるのは初めて。福岡=アサギマダラみたいな感じで、芦屋からの海岸沿いの1つのラインが、福岡の売りになってくるのでは

大人たちも目を見張るほどのかんなさんの行動力。こうしたアサギマダラの旅の拠点を県内にもっと増やすのが夢だという。

最近では動画も編集して、アサギマダラの飛来情報や活動を紹介するホームページでの情報発信にも積極的に取り組んでいる。

新留かんなさん:
アサギマダラもお客さんも増やしたい。アサギマダラにとっても、私やお客さんにとっても天国になってほしいです

旅するチョウは秋の深まりに合わせて福岡を離れ、南の島で冬を越したあと、来年の春に再び福岡に飛来してくるとみられている。

(テレビ西日本)

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