ブームが続くサウナ。北海道内でも趣向を凝らしたものが増えている。そんな中、各地でサウナを観光資源にという動きが広がっている。
コロナ後を見据え、北海道観光復活のカギとなるのだろうか?

客:
最高のサウナ

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客:
大自然の真ん中で寝られる

釧路湿原が広がる北海道東部の標茶町。ここにしかないサウナが誕生した。

八木 隆太郎 キャスター:
釧路湿原の涼しげで開放的な景色が広がっていて、大自然の中で気持ちがすっきりとします

今、北海道内でサウナを観光に生かす動きが広がっている。

ワインの熟成樽を使った、甘い香り漂う「ワイン樽サウナ」。

世界遺産・知床と、冬には流氷を見ることができる「流氷ビューサウナ」。
これらを目当てに、周辺を旅するサウナツーリズム。

一方、自治体が旗振り役になるところも。
アフターコロナを見据え、北海道観光復活のカギを握るサウナの可能性を探った。

自然を満喫できる場所に誕生したサウナ

人口約7300人、北海道東部の標茶町。釧路湿原の雄大な自然に恵まれ、酪農が基幹産業の町だ。

オーナーの達川慶輔さんが東京でのサラリーマン生活に幕を引き、2020年オープンした。

THE GEEK 達川 慶輔さん:
SLがさっそうと駆けていく。こんな美しい自然が残っている場所が、まだ日本にあったのか。裸でサウナに入って、見知らぬ人と話す空間。コロナ禍ではあるが、それが落ち着けば

つながりが生まれる空間に…

コロナ禍で失われつつあった人のつながり。裸の付き合いができるサウナには、様々な垣根をなくすだけでなく、共にストレスを発散し、赤の他人同士でも一瞬でつながりを感じられる力があると言う。

そんな達川さんこだわりのサウナ。コンセプトはこの土地ならではのものだった。

THE GEEK 達川 慶輔さん:
ドアノブも汽車で使われるものをイメージ。丸窓などいろいろな仕掛けを用いて、サウナというより、SLの車窓からの眺めのような空間づくりをしています。ヒノキの湾曲したサウナベンチは、チェーンソーで3週間かけて作りました。水風呂へのアプローチは、フィンランドのサウナ後に湖に飛び込むイメージ

煙突から出る煙は、まるで湿原を走るSLのよう。
利用者の反応は?

利用客:
絶景サウナは他にもありますが、ここは線路・列車・駅・沼が見え、あまり他で見たことがないシチュエーションです

利用客:
景色がいい。壁がなく、広々と見られるのがいいです

標茶町で楽しめるのはサウナだけではない。

利用客:
釧路市街から阿寒湖まで車で行けるので、カヌーや阿寒湖、釧路市街など楽しみがたくさんあります

楽しみいっぱいのロケーション

こちらで推奨しているのが「サウナツーリズム」だ。標茶町は北海道東部地域のちょうど真ん中に位置する。

これまで長期滞在型の宿が少なかったのだが、こちらでは釧路川でのカヌー体験や、乗馬などのアクティビティツアーを紹介している。

また、餌にパイナップルを与えることでやわらかく、うまみの強い肉質となる地元産のブランド牛。

これを使ったバーベキューなど、ゲストハウスを中心に様々な体験ができるサウナツーリズムの拠点となるのだ。

THE GEEK 達川 慶輔さん:
コロナ禍で、ワーケーションや多拠点居住などが注目されている。ここをハブとして、普段味わえない体験をしてほしいです

一方、北海道北部の当麻町では町が主体となって、サウナで町おこしをしようとしている。仕掛け人は村椿 哲朗町長だ。

サウナで町おこしを…その主役は「バス」

当麻町 村椿 哲朗 町長:
「キャンピングサウナバス」というのものを作りました。コロナ禍なので密を避け、自然の中でリフレッシュして、心身ともに“ととのう”ということに使ってもらいたいです

人口約6300人の当麻町。林業が基幹産業だ。豊かな自然を気の知れた仲間と気軽に楽しんでもらいたいと、地元の工業会社と約500万円かけてサウナバスを作った。

八木 隆太郎 キャスター:
キャンピングカーを改造したサウナバス。内装は当麻町産のトドマツを使用し、木の町・当麻を感じられます。移動しながら好きな場所でできるのはいいですね

このサウナバスは1泊2日で3万円からレンタルでき、当麻町のふるさと納税の返礼品としても利用可能だ。

「自由に移動できる」サウナ

移動式にすることで町としては当麻の名前をPRでき、利用者は自分の好きな場所でリフレッシュできる。

当麻町 村椿 哲朗 町長:
北海道は、山・湖・海・川と開放的なロケーションがあります。それぞれの気持ちに任せて、天候に合わせて行って、蒸された後に海にダイブしたり、冬はパウダースノーにダイブしたりして楽しむのがオススメです

"おじさん"が入るものというイメージから、いまや観光資源になっているサウナ。
アフターコロナを見据え、今後どういったものが求められるのか。専門家は…

カギは「サウナツーリズム」

日本サウナ学会 代表理事 加藤 容崇 医師:
サウナに来たくなる仕掛けが大事になってきます。サウナとアート・木材・伝統工芸など、地場産業とのコラボが増えてくるのではないかと思っています。サウナは観光資源に十分なるが1か所では厳しいので、2泊3日で巡り、地域の特色を出し、他地域との連携も大切です

汗をかき、日々のストレスから解放してくれるサウナ。
今後は北海道の自然を生かし、そこでしか体験できない観光のカギとなるのかもしれない。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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