専用サイトから好みのコーヒー作成

映画館の一角にオープンした「カスタムコーヒー」の専門店。

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登録不要の専用サイトからミルクの有無や味の濃さなどを選び、好みのコーヒーを作ることができる。

選べるのは「味」だけではない。
「ラベル」をカスタマイズするサービスも行っている。

店員:
こちらのラベルで「ブラック オリジナル無糖」で間違いないでしょうか?

2000を超える絵柄と自由に入力できるメッセージを組み合わせて、自分好みのボトルが作れる。

好きなアイドルなどの名前を入れた「推しラベル」を作る人も多く、特に女性を中心に人気だというが、当初の実証実験では全く別の目的で導入されたそうだ。

サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部・高橋大樹さん:
(実証店舗で)取り間違いがないように色のバナーをつけることで「私のこれだ」と分かる設計でした。
そこからSNSで、色がカスタムできて可愛いコーヒー屋さんがあると女性を中心に店舗に来ていただいて、お客様のニーズがあるのならもう少し進化させた新しいサービスに転換した方が良いのでは、という議論があって新しいコーヒースタンドを作りました。

カスタマイズが想像以上の反響で今回の出店が実現。
運営側は今後の展開に期待を寄せる。

サントリー食品インターナショナル・高橋大樹さん:
コーヒーをきっかけにコミュニケーションが生まれるところに新しいコーヒーの広がりを感じています。
映画館にこだわらず、シーンやお客様の気持ちにあうところは広げていきたいです。

今後は"パーソナライズ消費"へと進化

三田友梨佳キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。
今回の試みは様々な商品開発を手がけてきた渡辺さんの目にはどう映りましたか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
非日常を味わいに行く映画館で、カスタマイズされた"推しラベル"でコーヒーを飲めば気分が上がります。「気分が上がる」ことは消費を押し上げるカギで、例えば、「鬼滅の刃」とコラボした缶コーヒーは発売1ヶ月で1.5倍の売り上げになりました。

今回の試みは先々、様々なビジネス展開が可能で期待できます。
例えば、上映映画とのコラボ企画ができたら映画館に行くきっかけになりますし、絵柄が毎週変わったら、毎週映画館に行くファンもいるのではと思います。

三田キャスター:
今回の試みは映画館でしたが、こうした楽しみは様々な商品や場所で展開できますよね。

渡辺広明さん:
コンサートやスポーツイベントなどとの親和性が高く、イベントはその瞬間を楽しむ「トキ(時)消費」を演出するものなので、そのアイテムとしては商機が広がると思います。

私はドラゴンズのファンで、自分の名前が入ったユニフォームのレプリカが出来たら気分が上がると思います。

カスタマイズ商品は、ファンコミュニティーの中で消費を増やす効果も期待できると思います。

三田キャスター:
確かに自分流のカスタマイズが出来る、これは消費者にとって大きな魅力ですよね。

渡辺広明さん:
カスタマイズは、マーケティングの視点では消費者が参加して新たな価値を創造する「共創型商品」とされています。

ただ、車やオートバイなどをカスタマイズすると、クオリティを上げて他者と差別化を図れる一方、高いコスト負担が求められて来ました。

それが今回はデジタルのチカラで、コストをかけずに価格を抑えながら自分流にカスタマイズできることが素晴らしいと思います。

三田キャスター:
これからデジタルの力によって商品のカスタム化はどう変化していくのでしょうか?

渡辺広明さん:
今回、スマホを使って手軽に自分好みのカスタム発注が出来るようになる意味は大きいです。

また、個人の自由な発想でマイ製品をつくることができると、カスタマイズのみならず、自分仕様に進化したパーソナライズ商品へと進化していく可能性も高いのではと思われます。

実際、大手メーカーのナイキやリーバイスでも究極の差別化商品としてカスタマイズサービスを展開しています。

今後、自分好みのカスタマイズ商品が増えて、パーソナライズにさらに進化した消費は、ますます存在感を示していくと考えます。

三田キャスター:
今回はボトルでしたが、飲み物であっても味だけでなくて、購入者が楽しめたり、SNSで思わず人に伝えたくなる要素というのが、これからの時代さらに大きな価値となっていくのかもしれません。

(「Live News α」10月13日放送分)