定額制で商品やサービスを利用できる「サブスクリプション(サブスク)」。便利なはずのこの“自動支払い”で予期せぬ、請求のトラブルが相次いでいる。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターには2021年度以降、サブスクに関する相談が毎月500件程度寄せられていて、次のような相談事例があるという。

・メーカーの公式サイトと勘違いして有料質問サイトを利用し、月額料金を請求された
・動画配信サービスの解約を忘れ、利用していないにもかかわらず代金を請求された
・通販サイトの有料会員に登録したメールアドレスがわからず、解約できない
・1週間の無料体験のためにダイエットトレーニングアプリをダウンロードした後、退会したと思っていたら継続課金になっていた

このほか、契約内容などを正しく認識しないまま契約し、請求に気付いてトラブルになるケースもあるとのことだ。相談事例を見ても、消費者の認識にずれがある印象も受ける。

サブスクのイメージ(画像提供:国民生活センター)
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サブスクはインターネットで簡単に申し込め、動画配信や音楽配信など、さまざまなサービスで展開されている。契約期間内は使い放題・見放題というものも多い。

その反面、支払いは契約を解約するまで続く。想定外の出費やトラブルに遭遇しないために、私たちはどんなことに気を付けたらよいのだろうか。

サブスクと知らずに契約してしまう

注意喚起を行った国民生活センターに話を聞くと、思わぬ落とし穴があることも分かった。

――サブスクについての相談は増えている?

サブスクについての相談件数は2021年度から統計を取り始めたので、過去との比較は分かりません。ただ、コロナ禍によるおうち時間もあり、サブスクの契約やサブスクを扱う事業者は増えていると思われます。それを考えると、相談やトラブルも増えていると思われます。

参考として、動画配信サービスに限っての相談件数の推移はお伝えできます。2016年度が1646件、17年度が1799件、18年度が1987件、19年度が1771件、20年度が3309件、21年度(9月末時点)が1517件です。こちらは増えていますね。

おうち時間の増加が影響か(画像はイメージ)

――サブスクの相談内容にはどんな特徴がある?

消費者がサブスクの仕組みを理解していない傾向にあります。実際の相談では、70歳以上の男性が“有料の質問サイト”を契約したケースが目立ちました。パソコンや法律の専門家が質問に答える、医師が病気の質問に答えるといったものです。

契約の背景ですが、ネット検索を行うとウェブページの上部に「リスティング広告」(検索連動型広告)が表示されます。ここに質問サイトが表示されてアクセスし、サブスクの契約形態であることに気付かず利用してしまうのです。

サブスクであることを知らずに契約する(画像はイメージ)

当然、契約時にはクレジットカード情報を求められますが、消費者は「そういうものなんだ」と入力してしまうそうです。ネットに不慣れな高齢者が被害に遭いやすいと言えます。


――年齢の違いで契約してしまうサブスクに傾向はある?

70代以上は先ほどお伝えした通りです。他の年齢層では20歳未満は漫画を読めるサイト、SNS向けの写真加工アプリ、ゲームなどです。20代~30代は婚活やマッチングアプリ、40代以上は動画配信サービスや質問サイトが目立ちました。相談内容は意図せずに課金してしまった、無料だと思っていた、解約を忘れていた、解約方法が分からない…などがありました。

相談内容を年齢層と性別で分類した結果(画像提供:国民生活センター)

――想定外の金額が請求されたケースはある?

金額の大きさよりは、契約したことを知らなかったパターンが多かったです。無料のつもりが料金を請求されたというものですね。ポイントを貯める“ポイ活”の一環で、サブスクをどんどん申し込んでしまい、請求されてしまったという例もあります。

利用時に注意すべき4つの注意点とは?

――消費者はなぜ、勘違いして契約をしてしまう?

サブスクの広告やサイトでは「無料トライアル」「無料体験」といった言葉を、強調して表示していることが多いです。消費者はそれを見て無料だろう、有料となる時は知らせてくれるだろうと思い込んでしまいます。事業者ごとに対応は異なるので、親切で優しい企業ばかりではないという認識を持つことも必要かもしれません。

実際の相談だと、無料体験の翌月以降はお金がかかることが小さな文字で書かれていて、高齢で視力が弱い方が見逃すということもありました。また、解約方法が分かりにくかったり、ウェブサイトのページを深く進まないと解約ができないというケースもみられました。

小さな文字で見逃すケースもあるという(画像はイメージ)

小さな文字は事業者が意図的に書いているものか、悪意があるかを判別するのは難しくもありますが、解約方法はあまりに分かりづらいと、特定商取引法における「意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に該当するおそれがあります。


――サブスクの利用ではどんなことを注意すべき?

大きく4つの注意点があります。1つ目は「無料となる条件を確認してから申し込むこと」です。2つ目は「解約方法を事業者のウェブサイトで確認すること」です。サブスクのスマホアプリを削除すれば、解約できると勘違いをしていたケースもありましたので、解約方法を確認してその通りに手続きしましょう。

スマホアプリを削除しても解約はできない(画像はイメージ)

3つ目は「申し込む前にサービス名や事業者名を確認しておくこと」です。アカウントのIDやパスワードを忘れると解約が難しくなるので、こちらも控えておいてください。4つ目は「クレジットカードの利用明細を定期的に確認すること」です。サブスクは利用していなくても引き落とされるので、利用明細を確認しましょう。


――サブスクを契約した覚えがなくても、請求は支払わなければならない?

契約した覚えがなければ不正利用の場合もありますが、一般的な不正利用は転売できる家電の購入などで行われることが多く、サブスクでは考えにくいです。自身に覚えがないだけでポイ活で登録したり、どこかで申し込んでしまったと考えられます。

料金の支払いや返金については利用規約に記載されているので、そこに返金ができないとあれば従う必要が出てきます。事業者によっては、サイトによくある質問をFAQでまとめてあることもありますので、少なくとも読んでおいた方が良いでしょう。

利用規約は確認しておこう(画像はイメージ)

――契約を解約したいときはどうすればいい?

事業者に直接、問い合わせをするほかありません。各地の消費生活センターでは相談の受付やアドバイスも行っていますが、基本はご自身での交渉となります。最近はインターネット上でアカウントにログインして問い合わせる仕組みが多いので、IDやパスワードを忘れると解約ができないということも考えられます。アカウントの持ち主と証明できれば解約できることもあるので、電話番号や住所などで照合できないかも交渉してみるべきでしょう。


国民生活センターは、ネットでの契約は自分だけの判断で思い込まないこと、分からないことは確認することが重要とも指摘した。電話で相談できる「188(消費者ホットライン)」もあるのでサブスク関連での不安やトラブルを抱えても、落ち着いて対処しよう。