コロナの影響で、1年以上もテレワーク(リモートワーク)を続けている人もいることだろう。
そのような中でNTTが9月28日、withコロナ・afterコロナの社会を見据え、「分散型ネットワーク社会に対応した新たな経営スタイル」を推進していくと発表した。
2022年度に、社員の働き方はリモートワークを基本とし、自ら働く場所を選択できるようにするというのだ。また、転勤や単身赴任は不要とし、リモートワークを前提とした社員の採用や、サテライトオフィスの拡大も予定している。
リモートワークを基本とし、転勤や単身赴任を不要とする新たな経営スタイル。
昨年はカルビーが、オフィスで働く社員は在宅勤務など“テレワークを原則”とし、単身赴任をしている社員についてはテレワークでも業務に支障がないと会社が認めた場合は、“単身赴任を解除”する新たな働き方を導入した。
(参考記事:原則テレワークで「単身赴任」の解除も…カルビーが7月から新たな働き方を導入するワケ)
このようなスタイルは少しずつ増えてきているようだが、一方で「実現が難しそう」という印象も受ける。NTTでは、社員のどのような働き方を想定しているのか? また、この働き方にはどのような課題があるのか?
担当者に話を聞いた。
自ら働く場所の選択が可能になります
――経営スタイルを大幅に見直す狙いは?
「withコロナ/afterコロナ社会」に向けて、リモート・分散型社会への対応が求められる中、「分散型ネットワーク社会に対応した新たな経営スタイル」を推進する必要があると考えました。
――「社員の働き方はリモートワークを基本」。これはどのような働き方を想定している?
現在、具体的な検討を進めているところです。リモートワークは現在も推進しておりますが、間接部門の社員は在宅やサテライトオフィスなどからバーチャルで会議に参加するなど、オフィスに集まることなく、業務の運営を実施しております。
また、お客様情報を扱うコールセンター業務や設備の保守や工事といった、現地での作業が必要となる業務については、現在、リモート化の取り組みを進めているところです。例えば、コールセンターにおいては、リモート環境時のセキュリティ強化、設備の保守や工事においては、設備点検業務の自動化などを進めています。
リモートワークが基本となるなか、オフィスについては対面の交流などによるアイデア創出、共創の場として位置付ける考えです。
――転勤や単身赴任が果たしていた役割はどのように補う?
従来は、業務が場所に紐づいていたため、人事異動の際、転勤や単身赴任が伴うケースがありました。リモートワークが基本となると、業務に働く場所が制限されることがなくなるため、自ら働く場所の選択が可能になります。
結果的に転勤・単身赴任が不要になります。
海外含め約30万人の全社員が対象
――「リモートワークを基本」や「転勤・単身赴任の不要」はNTTの全社員が対象?
NTTの全社員が対象です。社員数は海外含めて、約30万人です。社員個人個人が自身の働き方や生活にあわせて、職場を選べるようになるということを目的にしています。
――現状、課題だと感じていることは?
これまで以上に、「働く時間」と「働く場所」の自由度を高めていくことが必要になります。
そのためには、これまで導入、見直してきた諸制度、たとえば、「分断勤務」や「スーパーフレックス」などの、さらなる推進と定着を図ります。「分断勤務」は、一日の所定労働時間を分けて勤務することができるようにする制度です。
例えば、以下のようなスケジュールを可能としております。
・9時~15時:勤務
・15時~19時:育児
・19時~21時:勤務
「スーパーフレックス」は、時間的な制約にとらわれない柔軟な働き方で、生産性の向上を目的に設置された制度です。
以前は、10時~15時は固定勤務時間としておりましたが、スーパーフレックスは固定勤務時間自体を取り払った働き方を可能としております。また、同時にワークプレイスの見直しや、サテライトオフィスの充実などの環境面の整備を進めます。
そして、リモートワークを基本とする働き方の促進に向けて、業務プロセスや情報管理などの社内ルール、評価や人材育成などをリモートワークに対応させていくように見直していく考えです。
NTTが推進していく、リモートワークを基本とした、転勤や単身赴任を不要とする新たな経営スタイル。現状、具体的な働き方は検討中で、課題もあるようだ。
コロナ禍をきっかけにこれまでの“当たり前”がそうではなくなってきた今、時計の針を逆に戻すことなく多様な働き方ができる社会へと変化していく取り組みは必要だろう。