10月は臓器移植への理解を深める「臓器移植普及推進月間」。
週に3回の人工透析を続けながら臓器移植を待つ男性にスポットをあて、臓器移植の現状と課題を考える。

山本富士夫さん:
こことこっち使ってるんだけど、ここから1分間に200ccの血液を機械に取り込まれて、そして(きれいになった血液)200ccを裏に返している

山本富士夫さん
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山本富士夫さん、61歳。約30年前に腎臓を悪くし、週に3回の透析を受けながら仕事を続けている。

カリウムが多くなると心臓が止まることも

仕事を終えて向かったのが、人工透析。

山本富士夫さん:
今から透析のために浅ノ川総合病院に行きます

山本さんの場合、一度の透析にかかる時間は4時間。終わった頃にはあたりは暗くなっていた。

ーー体調は大丈夫ですか

山本富士夫さん:
大丈夫です。今では慣れなんですけど、やっときょう1日が終わったなという感じ

山本さんはこんな生活を18年続けている。山本さんのように人工透析を受けている患者は全国で34万人あまり。この数は年々増加している。

金沢大学附属病院 臓器移植センター・角野佳史先生:
成人病というか、生活習慣病が悪化するとそういう状態になる。たとえば高血圧を長い間ほっておいたりとか、ひどい糖尿病をほっておいたりとか。生活習慣病の一環として、腎臓の働きが徐々に悪くなることが多くなっている

腎臓の機能が悪いと、老廃物や水分などを体の外に出すことが出来なくなる。

このため、血液から人工的に余分なものを取り除く人工透析が必要となる。特にカリウムが多いと心臓が突然止まることもあるそう。

山本さんの妻・外茂子さん:
お野菜はカリウムが入っているので、ゆでたものを使います。腎臓が悪いので食べる前にゆでて、カリウムを抜きます

山本さんの妻、外茂子さん。

山本さんの妻・外茂子さん:
塩昆布をパラパラとかけて漬けたものです。本人が塩分を気にするので、くどいものを出すと絶対食べません

山本富士夫さん:
こういう食事を作ってくれて助かってます。普通に食べていたものが急に食べれなくなったので、これからどうなるのかなと思いました

「透析を受けられなくなったら命がない」

山本さんは今、県内の腎臓病患者でつくる団体で理事長を務めている。この日は、県に対し臓器提供を呼びかける活動に協力を求めた。

山本富士夫さん:
移植医療は、移植でしか治療できない患者と、死後に臓器を提供してもいいという方をつなぐ医療です。どちらか一方の思いでなり立つ医療ではありません

年齢を重ねると血管が細くなるため、人工透析はいつまでも続けられるわけではない。そのため、臓器提供を受けて腎臓移植することが唯一の治療法になる。

山本富士夫さん:
将来血管が細くなって透析を受けられなくなったら、命がないもので、移植しかないなと思って、(透析導入後)すぐに登録しました。そろそろ当たってもいいと言われているんですけど、なかなか当たらないのが現実です

移植には2つの方法がある。家族などから2つある腎臓のうち1つを提供してもらう生体腎移植と、脳死や心停止状態となった人から提供を受ける献腎移植。
2019年、日本で行われた腎移植は2057件。このうち献腎移植は、わずか230件だった。

金沢大学附属病院 臓器移植センター・角野佳史先生:
腎臓に関しては毎年1万3000人くらいの方が臓器提供を待っている状況で、年間200件くらいの(献腎)移植だということになると不均衡があるなとわかる

山本富士夫さん:
石川県では120人ほど移植を希望しているが、当たるのはそのうちの1人か2人なので。こんな状態だと、いつ当たるかわからない。ほとんど当たらない

山本富士夫さん:
私も死後の臓器提供は腎臓は無理ですけど、ほかの血管とか目の角膜とか、そうしたのはできるので、それは希望しているので…是非この機会に、臓器提供の意思表示をしていただきたいと思っています

脳死の人から臓器の提供が出来るようになって24年。移植医療のハードルは低くなっているものの、ドナーが思うように増えないのが現実。

山本さんたちは少しでも現実を知ってもらえればと活動を続けている。

(石川テレビ)