10代で妊娠・出産する少女迎えるシェルター開設

社会から見過ごされてきた、貧困や暴力の中で生きる沖縄の少女たち。その調査・支援を続け、その現実を2冊の本「裸足で逃げる」「海をあげる」に綴り、現実を伝えてきた琉球大学の上間陽子教教。
その上間さんがこのほど、10代で妊娠・出産する少女たちのために、シェルター「おにわ」を開設。この4年間で10代で母となった77人の少女の声を聞き取った。

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琉球大学 教育学部 上間陽子教授:
ほんとに調査の子たちは過酷でした。団地の階段の下で寝てたよっていう子がいたりとか、友達の家転々としてたよって子がいたり、DVを受けながら出産したよって子もいますしね。
シェルターを早く作らないと、間に合わないとは思っていました

本来は行政がしなければならない仕事、でも、それを待っていたら間に合わない…
上間さんは、オリオン奨学財団を通じた助成金を活用してシェルターを運営。今後、3年間で不足が見込まれる700万円については、寄付で賄っていくことを決めた。

琉球大学 教育学部 上間陽子教授:
自分がまだ子供である課題、思春期課題とかも全部背負ったまま母になるんですよね。子どもの事をケアができるようになるっていうのは、その子の資質ではなくて、応援なんですね。そこがあるとママになっていけるので、それを支える、やろうってことで、集まりました

シェルターでは、助産師・看護師をはじめ教育・福祉に携わるスタッフが24時間 交代で少女たちに寄り添う。定員は妊婦2人。妊娠8か月頃から赤ちゃんが笑うようになる頃とされる産後3か月までの間、少女たちに伴走する寮母さんもいる。

助産婦 東さよみさん
ただ本当においしいご飯、温かいご飯と安心して眠れる場所と飯炊きおばさんになって、しっかり体休めて、気持ちも休めて。この先ずっと続く育児の出発点になる

少女たちのサポートに医師も名乗り

さらにシェルターには、心強い助っ人がいる。少女たちの出産のサポートに名乗りを上げたのは、琉球大学病院周産母子センター部長の銘苅桂子医師。

琉球大学病院周産母子センター部長 銘苅桂子医師:
若年妊娠ほど早産のリスクがあったり、赤ちゃんが小さく育ってしまったり、医学的なリスクもあります。精神的な問題が非常に大きい。
その背景には、虐待・DVを受けてきたりといったことを抱えている方々がいますので、助産師・医師含めて、そうしたトラウマをケアしながら診ていくっていのうのは役割かなと思っています

沖縄県内で2020年に19歳以下で出産した少女は277人、割合は1.9%と、全国平均の0.8%の実に2倍に上っていて、そのサポートは喫緊の課題だ。

沖縄の少女たちの現実を伝えようと、上間陽子さんが紡いだ言葉は人々のハートを揺らしている。
2021年9月22日には、歌手の星野源さんがラジオ番組で、自身の楽曲「不思議」の制作時に上間さんの本を読んでいたことを明かした。歌詞には出てきてないが、『裸足で逃げる』の中で出てくる方々の耳にどうやって染み込んでいくのか、どうやったら響くのかをずっと考えながら曲を作っていたと、全国のリスナーに語った。

1人でも幸せなママと赤ちゃんを…

琉球大学 教育学部 上間陽子教授:
星野さんが、遠くまで届けようとしたんだなぁと思った。見てくれる人がたくさんいるんだなと思えると、現場も踏ん張りやすいので、ちゃんといい場所を作って、1人でも幸せなママと赤ちゃんをと思ってます

新米ママを迎えることになる「おにわ」には、10年前に上間さんがサポートしたかつての少女たち=先輩ママからの贈り物も届けられていた。

琉球大学 教育学部 上間陽子教授:
10年後には、ここに入ってきた子たちが次世代を応援できる人になると思います。
どんな状況でも命が邪険に扱われないんだなって、そんな所をつくっていくことになるんだなって思いますね

10月1日、「おにわ」はひとりの妊婦を迎えた。
「おにわ」は、ママと赤ちゃん二人の出発を優しく後押しする。この助成事業は3年間の予定で、上間さんはその後は行政の事業に移行したいとしている。

(沖縄テレビ)