首相として最初の出張は静岡

岸田文雄首相の就任後初の地方出張が、7日の静岡県訪問となることが明らかになった。
参院・静岡選挙区の補欠選挙の応援演説が主な目的だが、この際、岸田派の事務総長を務め2019年に死去した望月義夫元環境相の墓参を行う予定だ。

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岸田氏が墓参する故・望月元環境相は、静岡4区選出で、岸田派事務総長として「岸田さんを首相に」との思いで岸田氏を支えてきた。しかし、2019年に癌が見つかり、「岸田首相誕生」を見ることなく72歳でこの世を去った。
当時、岸田派以外にも自民党内に多くの人脈を持っていた望月氏の死に、「岸田氏は懐刀で調整役を担った大切な存在を失った」との声が相次いだ。
死去する直前、入院していた東京都内の病院で安倍首相(当時)の見舞いを受けた望月氏は、岸田氏の将来を託せたと思い、「心配ない」と安堵したという。

1年間の「冷や飯」を経て…

しかし、2020年9月の総裁選では、岸田派は他派閥との連携がうまくいかず「ポスト安倍」の座を、主要派閥の連合を形成した菅前首相の前に敗れ、岸田氏は涙を呑んだ。
そして、岸田氏は、1年間の「冷や飯」を経て大きく変わった。
9月の総裁選では、「党役員1期1年3期まで」とする自民党改革で勝負に出る一方、自身の長所である「人の話を聞く力」を全面に出した。
さらに、派閥の組織力や、他派閥、他陣営との連携などが功を奏し、首相の座を射止めた。

かつて望月氏の告別式でも岸田氏の弔辞の言葉は硬く、「女房役が亡くなったのに」との声も出たほどだ。岸田派の先代会長・古賀誠元幹事長が個別のエピソードを交えながら行った弔辞とは対照的だった。
今、就任を誰よりも願っていた女房役の望月氏の墓前に、首相となった岸田氏は、どのような言葉をかけるのだろうか。

政治部
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