忙しい朝、着替えを済ませた子どもたちをよくよく見てみると、服が裏返し!

慌てて脱がせて服をひっくり返し、再び着せたはいいけれど、今度は前後が逆になっていた…と、思いがけないタイムロスをしてしまうなんてことはないだろうか。

そんなストレスがなくなりそうな「前後・裏表の区別がない子ども用ズボン」が話題になっている。

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それが、子ども服ブランド「アルトタスカル」から販売されている、その名も「ぜんぶおもて」というサルエルパンツ。

「裏返しても着ることができる」というだけなら、リバーシブルタイプの服がすでにたくさんあるだろうが、この「ぜんぶおもて」はファスナーやホックなどの金具がなく、ポケットも体の真横についているため、「表と裏」だけでなく「前と後ろ」の区別もないデザインとなっているのだ。

画像左の状態から、生地を裏返したのが写真右。
画像左の状態から、生地を裏返したのが写真右。

試しにクルリと生地を裏返してみても、見た目はほぼ一緒!

名前の通り「全部がおもて」のため、子どもたちが「ちゃんとうらおもてを確認してから履いて!」と怒られることもなくなるはずだし、親から見れば、洗濯機に入れる前に生地が裏返しになっていないかチェックする一手間も省ける。

SNSでは「めっちゃいいなこれ!」「ストレスが減る」「これは完全に神商品」という声の他、「大人用も欲しい」という要望も挙がっていた。

「アルトタスカル」公式サイトより
「アルトタスカル」公式サイトより

「ぜんぶおもて」の他にも、裏表がないTシャツ「どっちもおもて」など、ちょっとしたストレスから助けてくれそうなアイテムを数多く販売しているアルトタスカル。

こだわった点は?そして子ども服ブランドではあるが、大人もちょっと欲しくなる気持ちも分かる。大人向け商品は登場しないものだろうか?

アルトタスカルを運営している、株式会社チルドレン通信の担当者にお話を聞いた。

子育て中のメンバー「ふつうに欲しいものを作っている」

――「ぜんぶおもて」を作ったきっかけは?

当初は、裏表がない子ども用Tシャツの「どっちもおもて」を発売しました。とても好評だったのですが、Twitterで「ぜんぶおもてな製品もほしい」という声を多数いただき、今回の「ぜんぶおもて」を開発することになった、というのが経緯です。ただ、もっとシンプルに言えば、自分たちがふつうに欲しいものを作っているというのが、本音だったりします。

「どっちもおもて」シャツ
「どっちもおもて」シャツ

――これらのアイテム、こだわった点はどこ?

「どっちもおもて」Tシャツについては、表と裏をなくすため、縫製部分が綺麗に見えるように「フラットシーマ」というミシンを使って、できるだけ凹凸ができないように縫製しました。

また、表と裏がないので、保育園等で必要な“おなまえネーム”をどこに付けるのかという課題がありました。そこで、名前が書けるスペースをデザインの中に組み込んだチケットを裾部分に挟み込んで縫い付け、この課題を解決しました。

リバーシブル仕様にしたこともあり、襟のブランドネームや脇の洗濯ネームなど、お子様の肌の刺激になるものは縫い付けていませんので、縫い目がフラットなことと併せて、肌が敏感なお子様にも優しい仕様となっています。

こだわりの縫い目は裏返したときのフラットさを重視
こだわりの縫い目は裏返したときのフラットさを重視

「ぜんぶおもて」サルエルパンツについて、技術的に苦労したことは3点です。まずは、前と後ろの差をなくしつつ、履き心地も考えたシルエットを作ること。これはゆったりとしたサルエルパンツをベースに、試作を重ねることで解決しました。

続いて、ポケットを付ける位置や、その形状の工夫についてです。前後をなくすためにサイドポケット(カーゴポケット)にしたことと、着用時に足の指がポケットに引っかかってケガをしないよう、フラップ(ふた)付きのポケットにしました。

最後に、使用する生地の種類です。2枚重ねの仕様のため、厚すぎず、一定の伸縮性もある素材を選びました。

ふた付きのポケットは履きやすさへのこだわり
ふた付きのポケットは履きやすさへのこだわり

――これまでの販売数は?

「どっちもおもて」については、2021年1月にクラウドファンディングを開始し、目標の2倍を超えるご支援をいただいた後、3月に一般発売を始めました。これまで、累計で約700枚の販売実績となっています。

その後「ぜんぶおもて」サルエルパンツを2021年9月に発売しました。これまでに約300枚の販売実績となっています。

カラーバリエーションは4種類
カラーバリエーションは4種類

裏表のないTシャツ「どっちもおもて」の販売後、ユーザーからの要望を受けて開発したという「ぜんぶおもて」。

「どっちもおもて」は裏返してもチクチクしないフラットな縫い目、「ぜんぶおもて」は前後の区別をなくすためのシルエットなどの工夫が光っている。開発チームは子育てをしているメンバーで構成されているということで、日々の育児の中で実際に自分たちが「あると助かる」と思える「ちょっとした改善をした子供服」を作っているという。

今後大人向けアイテムにも「チャレンジしてみたい」

――実際に「ぜんぶおもて」を購入したひとからの声は…

「まさに“あると助かる”服だ」「“ぜんぶおもて”のTシャツや靴下もあれば良いのに!」「大人用も欲しい!」というような嬉しいお声をいただいております。


――そんな声を受け、今後「ぜんぶおもて」シリーズに追加されるアイテムはある?

はい、2022年の春夏物として、Tシャツや肌着の発売も予定しています。あと「大人用も欲しい!」という声がとても多かったので、そちらにもチャレンジしてみたいという気持ちはあります。それ以降のシーズンにおいても「ぜんぶおもて」の企画を増やしていければと考えています。

「ぜんぶおもて」は「ブラック」「チャコール」「ブラック×ウィンドウペン」「グレー×迷彩」の4種類で1点1,980円(税込)。アルトタスカルの公式サイトから購入できる。

他にも、丈が長めでおなかが出にくくなっている肌着「おなかでぬ」や、医療ケアが必要な子どもたちが着替えやすい前開き型の服「おしゃれバリアフリー」シリーズなどが販売されている。

親と子ども、どちらにも優しい服たち。「ぜんぶおもて」シリーズからは今後大人用商品が発売される可能性もありそうなので、「大人用もあると助かる!」と思っていた人はぜひ楽しみに待っていてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。