自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、twitterに育児絵日記などを投稿している、臨床心理士のゆんぼ(@yumbo2510)さんのこんなエピソード。
子どもの気持ちに寄り添う声かけを考える🐕(1/2)#育児漫画 #コミックエッセイ pic.twitter.com/4Tf4jGdPHA
— ゆんぼ (@yumbo2510) October 10, 2021
「お散歩中、犬に吠えられて怖くなって泣いてしまった4歳の長男。安心させようと『怖くないよ~大丈夫!』と声をかけると、『こわいものはこわいでしょ!』と反論が。すぐに『怖かったよね、泣いちゃうよね』とやり直すと、『こわかったし、びっくりした』と答えが…」
犬に吠えられたことが「怖い記憶」になってしまって、これから先もずっと犬が苦手になってしまったらどうしよう…そんな親ゴコロから出た「怖くないよ!」の言葉。でも、子どもたちにとっては「今、怖い!」の気持ちに注目してくれるほうが、安心できるのかも?
この記事の画像(9枚)初めて見るものがいっぱいの子どもたちには「怖い!」と思うものがたくさん。大人から見ればつい「怖くないよ!」と声をかけたくなるものもあるけれど…こんな時、子どもたちにはどんな声かけをしてあげるのがいいの?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
「心地いい体験」を作ってケアする
――子どもの「怖い!」に「怖くないよ!」か「怖かったね」…どう答えてあげるのがいいの?
状況により使い分けるのが望ましいと私は考えています。
すでに子どもが「怖い」という気持ちになっている場合はその気持ちに寄り添い、そうでない場合は「怖さ」を植えつけない計らいをするのがおすすめです。
今回の場合は「怖い」という感情がすでにそこに生じてしまっていますので、ママの「怖くないよ」のひと言では収まりにくいものです。この子の返答「こわいものはこわいでしょ!」によく表れているのですが、感じ方というのは人それぞれですので、それを打ち消す言い方だと、子どもも飲み込みにくくなってしまうのです。
ただ、そのままだと犬への怖さがぬぐえないままになってしまいます。そこで「怖さ」を植えつけない計らいが生きてくるのですが、これはなにかというと、その刺激がない状態のときに(=怖いという思いになっていない時間に)、たとえば犬のかわいい写真を一緒にインスタで見たり、犬のぬいぐるみで遊びながら「○○くん、大好き~」「なでて、なでて~」のように、「犬は怖くない」という印象をインプットできる時間をあえて作ったりという“心地いい体験”を指します。もし何かに対し、異常なほど怖がるようになると、瞬時に恐怖心が想起されてしまうようになるので、そこまで行かないうちに、日常のご機嫌な時間を利用して、その対象に対して心地いい体験をしていくのがおすすめです。
今回の事例で感じたのは、この子は4歳ながらとてもしっかりしているということです。きっと多くの子は、親から「怖くないよ」と言われたら、「ママはボクのことをわかってくれない」といじけてしまうのではないかと。ちゃんと自分の思いを伝えられたのは素晴らしいですね。
子どもの「怖い」のきっかけを親が作ってしまう
パパママは子どもたちの「怖い!」の気持ちを理解しつつ、一度感じてしまった怖さを後に残さないようフォローしてあげるのが大切。
でも、大人にも「これだけはなかなか慣れなくて、怖い…」というものはもちろんあるはず。たとえば毎日乗る車に「怖い!」と思ってしまったらちょっと大変だけれど、たまにしか乗らない飛行機を「怖い!」と思っても「仕方ないか…」と受け入れてしまいそうだが…
――身近な物とそうでないもの、子どもが怖がる対象でケアの方法は変わってくる?
「恐怖症」という観点から見れば、犬であっても飛行機であっても、「怖い」という気持ちの起こり方は同じです。何らかのきっかけで怖いものだとインプットされてしまうと、怖いと感じるようになってしまうのです。恐怖心自体は犬でも飛行機でも原理は同じなので、フォローの仕方も基本的には変わりません。その場では受け止めつつ、それ以外のときにケアをしていくのがおすすめです。
そして何より大事なのは予防です。恐怖心というのはいったん生じてしまうと、それを解くのがなかなか難しいものなので、はじめから起こさないようにするのが一番なのです。
実は子どもが「怖い」と思うようになるきっかけを、親が作っていることがけっこうあります。私が知っている例を見ても、親が「そんなことしたら噛まれるよ」「怖いからやめなさい」のようなメッセージを頻繁に送っていたり、自分自身が子どもの前で怖がる様子を見せたりすると、子どもが慎重になってしまうことは多いようです。たとえば、家の中に虫が入ってきたときに、悲鳴をあげたり、家中を逃げ回ったりなどです。
以前、虫嫌いのママが「子どもに虫を持ってこられたら困るから、怖がってくれた方がいい」とも言っていましたが、心理学的な視点から見れば、怖いと感じる存在は少ないに越したことはありません。
とくに犬や猫のように日常的に出会う対象ではないものは、工夫をすればより避けやすいと思います。たとえば、ニュースで大きな事故や自然災害の報道をしているとき、激しい映像に思わず、「うわ~怖い」「やだやだ、飛行機はもう乗りたくないわ」のようなコメントをしたくなりますが、それをあえて飲み込むことで恐怖のインプットを防ぐなどは1つの方法でしょう。とくに小さい子は、レポーターが話している言葉は理解できず、映像のみが焼きついてしまうことが予想されますので、災害時には、自分が見ていないテレビは消しておくというのも、結果的に「怖い」を減らすことにつながると思います。
あなたの投稿が漫画になる!エピソード募集中
「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?
・「もういらない」と言ったからママが代わりに食べたおやつ。あとから「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、あなたの投稿が漫画になるかもしれません。
※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。
(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)